ツバキ科ツバキ属
漢字:藪椿
名前の由来:
「ヤブ(藪)」は、藪に生える。
「ツバキ」は、葉が厚く、艶があるため、「厚葉木(あつばき)」あるいは「艶葉木(つやばき)」に由来する。
樹形:常緑高木
葉:互生
花:両性花、赤色(まれに淡紅色、白色)
花期:11~12月 または 2~4月
果実:蒴果、緑色
果期:9~11月(花期2~4月の場合)
備考:
日本固有種。
種子を絞った油(椿油(つばきあぶら))は、食用(天ぷら油)や化粧用(髪油)に用いる。
材は「一樫、二茱萸(ぐみ)、三椿」という硬い木の順番のことわざがあり、硬く緻密で、将棋の駒やそろばん玉、櫛、漆器の木地などに用いられる。
木炭は、蒔絵や金箔張りの研磨に使われる。
焼いた灰は紫染めの媒染剤。
<鳥媒花>
花は昆虫の活動が少ない冬から早春の寒い時期に咲く。鳥類は赤い色を最も強く感受するため、花は赤い。鳥(ヒヨドリ)のために横向きに咲く。花びらは鳥(メジロ)の体重でも壊れぬように硬くて丈夫(メジロは下側の花びらに爪をかけてしがみつく)。鳥に花の香りはほとんど無意味なため、香りはない。
鳥媒花の条件
・鳥が活動する昼間に開花する。
・鳥の胃袋を満たす薄く大量の蜜を分泌する。
・鳥に認識される鮮やかな赤色である。
<サザンカとの違い>
花の開き方 | 花びらの散り方 | 若枝、葉柄 | 葉を日に透かす | 果実 | |
サザンカ | 平開 | バラバラ | 褐色毛あり | 透けない | 有毛 |
ヤブツバキ | 半開き | 花冠ごと落下 | 無毛 | 主脈、側脈が透ける | 無毛 |
花びらの基部が合着しているため、花びらはバラバラに散らないで、固まってポタッと落ちる。雄しべも基部が合着して花びらに着いているため、花びらと一緒に落ちる。