ブナ科クリ属
漢字:栗
名前の由来:実が黒褐色になるので「黒い実」→「黒実(くろみ)」→「くろ」が転じた説が有力。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄同株、雄花 穂状花序(尾状花序)、雌花 雄花穂の基部につく
花期:5~6月
果実:堅果、とげのある総苞(いが)に包まれ熟すと4裂する
果期:秋
備考:
果実は、コナラ属のようにタンニンが含まれていないため、生でも食べられる。
ブナ属、コナラ属が風媒花であるのに対して、虫媒花であり強い香りあり(男性の前立腺腋に含まれるスペルミンに例えられる)。
材は強度に優れ水湿に強く耐久性があることから、建築の土台、風呂などの水回り材、鉄道の枕木や鉱山の杭木(くいき)として用いられた。木目も美しいので、家具、器具、漆器木地などにも用いられた。
乾燥させた葉や樹皮、いがは煎じて、やけどやあせも、ウルシかぶれの患部洗浄に用いた。
クリタマバチ(体長3mm程度の中国原産のハチ)が、7月頃、葉のつけ根にある越冬芽に産卵し、翌年の4月頃から芽を寄生肥大させて虫えいをつくる。枯れる原因になっている。
鬼皮に穴の空いたものあり。クリシギゾウムシが、10月頃、鬼皮と渋皮の間に産卵したもの。幼虫が果実を食べ、老熟した幼虫は10月下旬に果実を脱出して土中に潜って越冬し、2、3年後の秋に成虫になる。
<二重雌雄異熟性(雄花穂の雄花→雄雌花穂の雌花→雄雌花穂の雄花)>
雄雌花穂は花穂の付け根に雌花あり。自家不和合性で他家受粉。周囲の雄花穂が咲き終わったころに雌花のついた花序が開花して、他のクリの花粉を着けた虫が雌花の上を通って、雄花に来るのを待つ。
<クヌギとの違い>
とげ状の鋸歯の先端 | 側脈の数 | 葉の裏 | 冬芽の先端 | |
クリ | 緑色(葉緑素あり)で短い | 20対前後 | 腺点あり | 丸い(クリ属) |
クヌギ | 茶色で長い | クリより少ない | 腺点なし | 尖る(コナラ属) |