基本情報
- 学名:Fagus crenata
- 科名・属名:ブナ科ブナ属
- 漢字名:橅/椈/山毛欅
- 別名:シロブナ
名前の由来
- 「ブナ」は用途が広いが腐りやすく、歩合がよくないことから「歩の合わない木」が転訛した説など諸説あり
- 「橅」は昔は材が狂いやすく腐りやすく「木で無い」として「橅」の字が当てられた
生育地
- 日本固有種
- 冷温帯の夏緑樹林の代表的な樹種、ミズナラとよく混生
- 標高800~2000mの山地、北海道と東北では平地も
樹形
- 落葉高木
樹皮
- 灰白色でなめらか。地衣類や蘚苔類が着生していることが多い
葉
- 葉序:互生
- 葉形:卵形、葉身長5~13cm
- 葉縁:波状の鋸歯
- 葉脈:7~11対、ブナ属の側脈の先端は、鋸歯の凹端に連なる(多くは凸端に連なる)
- 葉質:裏面の毛はほとんどない
- 葉柄:0.4~1cm
花
- 花性: 雌雄同株/異花
- 花序:
- 雄花序:新枝の下部の葉腋から下垂、長さ1~3cm、軟毛密生、6~15個の雄花が頭状に集まってつく
- 雌花序:新枝の上部の葉腋に上向きにつく
- 花被:単花被花(花冠なし萼のみ)
- 雄花:花被は長さ5mmほどで、長い軟毛におおわれる。雄しべ12個。葯は花被の外にでる
- 雌花:直径1cmmほどの総苞の中に2個。総苞4裂、外側は線形の鱗片におおわれる。花柱は線形で3個。柱頭は赤い
- 開花期:5月、葉の展開と同時
- 送粉方法:風媒
果実
- 種類:堅果
- 殻斗:とげ状の突起におおわれる
- 成熟期:10月。殻斗が4つに割れ、堅果が2個現れる
- 食用:可。生でも炒っても食べられる
種子
- 数:2個
- 散布方法:重力散布または動物(貯食)散布
冬芽
- 鱗芽
- 長さ1~3cmの披針形。茶褐色の芽鱗多数
- 側芽は葉痕の上ではなく、斜め上につく
葉痕
- 形:
- 維管束痕:
用途
- 材:かたく光沢もあり、近年は防腐処理の技術が確立して、合板、家具、床板などに用いられる
特記事項
- 雄大で美しい姿から「森の女王」とよばれる
- 陰樹(幼樹の成長が遅く、開花結実までの年数が長い)で、冷温帯の極相林を形成
- 1993年に、白神山地のブナ林が世界自然遺産に登録された
- ブナの場合、数年に一回、広い区域にわたって果実の豊作が見られ(マスティング)、それ以外の年はほとんど果実をつけない
- 豊凶を引き起こすしくみ(至近要因)
- 気象シグナル仮設:気温の変化など気象条件の年変動に反応して、同種個体が一斉に開花
- 資源収支仮設:繁殖には植物体内の貯蔵物質が必要なため、大量の開花および結実によって貯蔵物質が消費され、その蓄積に数年かかる
- 豊凶が進化した意義(究極要因)
- 受粉効率仮説:大量に開花することで、受粉効率が高まり、多くの果実を実らせる
- 種子捕食者飽食仮設:種子食動物を飽食させ、一部の種子(果実)が食べられずに残る。種子食動物の個体数は一時的に増えるが、種子(果実)の少ない年は、種子食動物の個体数も減るため、種子(果実)豊作時は食い尽くされることはなくなる
- 豊凶を引き起こすしくみ(至近要因)
- イヌブナとの違い
| 葉 | 側脈の数 | 幹回り | 雌花 | 堅果を包む総苞 | |
| ブナ | 長さ:4~8cm 幅:2~4cm 裏面は無毛 | 7~11対 | 株立ち状にならない | 花柄は短く、花も果実も上向き | 長く 種子を完全に包む |
| イヌブナ | 長さ:5~10cm 幅:3~6cm 裏面の葉脈上に白色の長い軟毛が残る ブナより薄い | 10~14対 | 株立ち状になる | 花柄は長く、花も果実も垂れ下がる | 短く 種子の半分以下 |
参考
- スタンダード版 APG牧野植物図:[1-1947]
- 新牧野日本植物圖鑑:[137]
- 山渓ハンディ図鑑 樹に咲く花:[1-216P]
- 山渓ハンディ図鑑 増補改訂 樹木の葉:[356P]
- “しゅんさん”の観察した静岡県の樹木:[下188]
- 観察と発見シリーズ 樹木博士入門:[116P]
- 「読む」植物図鑑:[1-123, 126P]
















