キク科ヤマボクチ属
漢字:葉場山火口
名前の由来:
「ハバヤマ(葉場山)」は、葉場山(草刈り場のある山)に生える。
「ボクチ(火口)」は、葉裏の綿毛を集めて火口(ほくち:火打ち石でだした火花を移しとるもの)とした。
葉:茎葉は互生
花:筒状花の集まった頭状花序、黒紫色
花期:10月
果実:瘦果
習性:多年草
備考:
根生葉の裏面には白い綿毛が密生する。
<オヤマボクチとの違い>
本種は根生葉の基部が横にはり出してとがる。
投稿者: kona
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ハハコグサ Gnaphalium affine
キク科ハハコグサ属
漢字:母子草
別名:ホオコグサ、オギョウ
名前の由来:
葉や茎が白い綿毛に覆われている様子を、母親が子を包み混んでいるように見立てた説、
葉を餅に入れて草団子にして食べた「葉っこ草」が転訛した説など諸説あり。
「ホオコグサ」は、茎の白毛、頭花の冠毛がほおけ立っている。
葉:互生
花:頭状花序、筒状花(中心の両性花の周りに雌花)、黄色
花期:4~6月
果実:瘦果、黄白色の冠毛あり
習性:2年草
備考:
春の七草のオギョウ(御行)はロゼット。
全草を細かく刻んで乾燥させたものは生薬「鼠麹草(そきくそう)」と呼び、咳止め、痰切りに用いた。
かつてはハハコグサを摘んで蒸してついて「母子餅(ほうこもち)」を食べる習慣があったが、「母と子を臼と杵でつくのは縁起がよくない」として、ヨモギが草餅に使われるようになった。 -
ハナイカダ Helwingia japonica
ハナイカダ科ハナイカダ属
漢字:花筏
名前の由来:葉を筏、その上に乗る花や実を船頭に見立てた。
樹形:落葉低木
葉:互生
花:雌雄異株、淡緑色
花期:4~6月
果実:核果、紫黒色
果期:8~10月
備考:
葉腋から出た花柄が葉の主脈と合着している。
新芽(若葉)は軟らかく、菜飯(なめし)や汁の実、おひたし、炒め物、天ぷら、炊き込みご飯にする。
葉や果実は民間薬として下痢止めに、根は咳止めに用いた。
熟した果実は甘くて食べれるようだが、渋くてまずい記述もあり。 -
バッコヤナギ Salix bakko
ヤナギ科ヤナギ属
漢字:跋扈柳
別名:ヤマネコヤナギ(山猫柳)
名前の由来:
「バッコ」は、「婆っこ(お婆さん)」のことで、灰白色の雌花序を老女の白髪に見立てた説など諸説あり。
「ヤナギ(柳)」は、アカメヤナギの名前の由来参照。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄異株、穂状花序、無花被花(萼と花冠なし)
花期:3~5月
果実:蒴果、柄があり開出した短い毛が密生し先は尖り柱頭が4つに分かれる
果期:5月
備考:
日本固有種。
枝を剥皮すると、縦長に隆起した筋が多数あり。
葉裏面は白綿毛を密生。 -
ハゼノキ Rhus succedanea
ウルシ科ウルシ属
漢字:櫨/黄櫨
名前の由来:
「埴締(ハニシメ):蝋を採ること」の略→ハニシ→ハジ→ハゼ。と転訛した説、
紅葉の色が、埴土(ハニツチ:埴輪を作る粘土)の色に似ている。ハニシ(埴師:埴輪をつくる工人)→ハジ→ハゼ。と転訛した説あり。
樹形:落葉高木
葉:互生、奇数羽状複葉
花:雌雄異株、円錐花序、黄緑色
花期:5~6月
果実:核果、淡褐色
果期:9~10月
備考:
中国原産。
樹液に触れるとかぶれることがある。
果実の中果皮にあるロウ(脂肪分)を木蝋として採取し、和蝋燭の原料にした他、整髪料・口紅などの化粧品やクレヨン・色鉛筆などに用いた。
材は寄木(よせぎ)、木像嵌(もくぞうがん)などに用いる。
<ヤマウルシやヤマハゼとの違い>
ヤマウルシやヤマハゼは、葉に毛があるが、ハゼノキの葉は無毛。
葉の先端は長く尖る。ヤマウルシの備考参照。 -
ハコベ Stellaria neglecta
ナデシコ科ハコベ属
漢字:繁縷
別名:ミドリハコベ
名前の由来:
茎の中にある白い維管束を、絹糸の帛(はく)に見立て、帛糸を引き、群がり繁る草を意味する「帛繁(はくべら)」説、
帛は同じ意味で、五つの花弁が箆(へら)を意味する「帛箆(はくへら)」説、
平安時代の本草書「本草和名(ほんぞうわみょう)」に記された「波久倍良(はくべら)」説など諸説あり。
漢字名「繁縷(はんろう)」は漢名。
葉:対生
花:集散花序、白色
花期:3~11月
果実:蒴果、熟すと6裂する
習性:2年草
備考:
春の七草の一つ。
小鳥の餌にする。
ハコベの仲間は花弁が基部近くまで2列し、花弁が10個あるように見える(実際は5個)。
花柄は花が終わるとだんだん下に向くが、果実が裂開する頃に再び上を向く。
生薬で「繁縷(はんろう)」と呼び、利尿や浄血、催乳などに用いる。
昔は、ハコベを炒って粉にし、塩を混ぜて歯磨き粉に使った。現在も「はこべ塩歯磨」として販売されている。
<アリ散布>
種子にエライオソームと呼ばれる脂肪や糖類に富む付属物が付いていてアリが好んで運搬する。アリは「エライオソーム」をかじりとると、残りの部分(種の本体)を巣の近くの地面に捨てるため、種子を散布させることができ相利共生関係が成立している。
<コハコベ(子繁縷)、ウシハコベ(牛繁縷)との違い>
※コハコベもハコベと呼ぶ場合あり茎の色 花柱と雄しべの数 サイズ ハコベ(ミドリハコべ) 緑色 花柱:3
雄しべ:5~10‐ コハコベ 白緑色~暗紫色 花柱:3
雄しべ:1~7ハコベより小さい ウシハコベ 同上 花柱:5 他より茎葉が大きい コハコベ
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ハコネウツギ Weigela coraeensis
スイカズラ科タニウツギ属
漢字:箱根空木
名前の由来:箱根に生え、枝が空洞であることかららしいが、箱根の山中には生えておらず(低地には生えている)、枝の髄は白く充実している。
樹形:落葉低木
葉:対生
花:両性花、白色→紅色
花期:5~6月
果実:蒴果
果期:11月頃
備考:
日本固有種。
花は白から、(アントシアニンが合成されて)赤に変わる。
花色の変化は、虫に花の熟度を知らせるサインになる。
白(フラボン色素)は紫外線を吸収し、紫外色を見ることができるハチの目には目立つ色。ハチは花の色(白/赤)を学習して効率的に蜜を吸い、花はハチに未受粉の花を集中的に巡回させる相利関係が成立している。
<ニシキウツギとの違い>花冠 葉裏の主脈 ハコネウツギ 花筒下部で急に角ばり細くなる ほとんど無毛 ニシキウツギ 花筒下部で徐々に細くなる 白い伏毛が密生 -
ハクモクレン Magnolia heptapeta
モクレン科モクレン属
漢字:白木蘭/白木蓮
名前の由来:
「ハク(白)」は、花の色が白い。
「モクレン(木蓮)」は、花が蓮(ハス)に似ている木説、
漢名「木蘭」が転訛した説あり。
樹形:落葉高木
葉:互生、葉先が短く尖る
花:両性花、同花被花(花冠と萼が同形で区別できない)、白色、強い香りあり
花期:3~4月
果実:袋果が集まった集合果、種子は赤色
果期:10月
備考:
中国原産。
中国で改良された園芸品種で、山には生えていない。ほとんど実がならない。コブシの苗木に枝を接ぎ木して増やされる。
<モクレン科の花>
コブシの備考参照。