バラ科キジムシロ属
漢字:蛇苺
名前の由来:ヤブヘビイチゴの漢名「蛇苺」に由来する。ヘビが食べるから?
葉:互生、3出複葉
花:黄色
花期:4~6月
果実:イチゴ状果(花床がふくらんだ表面に瘦果の集まった集合果)
習性:多年草
備考:
果実は食べられるがおしくない(俗説では有毒されているが実際は無毒)。
<ヤブヘビイチゴとの違い>
全形がやや小型、花床は真紅色でなく細毛あり、瘦果の表面はしわがよる。
投稿者: kona
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ヘクソカズラ Paederia scandens
アカネ科ヘクソカズラ属
漢字:屁糞蔓・屁臭蔓
別名:ヤイトバナ(灸花)/サオトメバナ(早乙女花)
名前の由来:
花、葉、果実をもんだり、つぶしたりすると悪臭がある。
「ヤイトバナ(灸花)」は、お灸を意味する花、筒状の花を伏せた様子が艾(もぐさ)を盛り上げた形に見える、あるいは花の内側が赤色でお灸をすえたように見える。
「サオトメバナ(早乙女花)」は、花を水の上に逆さに浮かべて花相撲をして遊んだ様子を、水田で働く乙女たち(早乙女)に見立てた、あるいは花の形が早乙女たちのかぶる菅笠の形に似ている。
葉:対生
花:集散花序、白色(内側は紅紫色)
花期:8~9月
果実:核果、黄褐色
習性:蔓性多年草
備考:
花筒の内側には白い「腺毛」が密生し、粘液のような物質がついており、アリなどの侵入を防いでいる。
悪臭は葉や蔓を食害する昆虫類への防御とされ、限られた昆虫(スズメガ科のホウジャクやホシホウジャクの幼虫等)しか本種などアカネ科の植物を食草としない。
<毒を利用する昆虫>
ヘクソカズラヒゲナガアブラムシ
ヘクソカズラのペデロシドを排泄も分解もせずにそのまま自分の体にため込む。
食べた中から特定の成分だけを体内に蓄積(選択蓄積)する。
「まずい」ので、天敵のテントウムシにも襲われずに済む。
植物の防衛物質を自分の防衛に利用している。
目立つピンク色の色彩は、自分がまずくて危険な存在であることを誇示する「警戒色(警告色)」。 -
ブナ Fagus crenata
ブナ科ブナ属
漢字:橅/椈/山毛欅
名前の由来:
ブナは用途が広いが腐りやすく、歩合がよくないことから「歩の合わない木」が転訛した説など諸説あり。
「橅」は昔は材が狂いやすく腐りやすく「木で無い」として「橅」の字が当てられた。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄同株
花期:5月頃
果実:堅果、とげのある殻斗に包まれ熟すと4裂する
果期:10月頃
備考:
日本固有種。
風媒花。
冷温帯の夏緑樹林の代表的な樹種。
雄大で美しい姿から「森の女王」とよばれる。
陰樹(幼樹の成長が遅く、開花結実までの年数が長い)で、冷温帯の極相林を形成。
1993年に、白神山地のブナ林が世界自然遺産に登録された。
果実は、生でも炒っても食べられおいしい。
ブナ属の側脈の先端は、鋸歯の凹端に連なる(多くは凸端に連なる)。
<果実生産に豊凶がみられる件>
ブナの場合、数年に一回、広い区域にわたって果実の豊作が見られ(マスティング)、それ以外の年は殆ど果実をつけない。
・豊凶を引き起こすしくみ(至近要因)
気象シグナル仮設:
気温の変化など気象条件の年変動に反応して、同種個体が一斉に開花。
資源収支仮設:
繁殖には植物体内の貯蔵物質が必要なため、大量の開花および結実によって貯蔵物質が消費され、その蓄積に数年かかる。
・豊凶が進化した意義(究極要因)
受粉効率仮説:
大量に開花することで、受粉効率が高まり、多くの果実を実らせる。
種子捕食者飽食仮設:
種子食動物を飽食させ、一部の種子(果実)が食べられずに残る。種子食動物の個体数は一時的に増えるが、種子(果実)の少ない年は、種子食動物の個体数も減るため、種子(果実)豊作時は食い尽くされることはなくなる。
<イヌブナとの違い>葉 側脈の数 幹回り 雌花 堅果を包む総苞 ブナ 長さ:4~8cm
幅:2~4cm
裏面は無毛7~11対 株立ち状にならない 花柄は短く、花も果実も上向き 長く
種子を完全に包むイヌブナ 長さ:5~10cm
幅:3~6cm
裏面の葉脈上に白色の長い軟毛が残る
ブナより薄い10~14対 株立ち状になる 花柄は長く、花も果実も垂れ下がる 短く
種子の半分以下 -
フジアザミ Cirsium purpuratum
キク科アザミ属
漢字:富士薊
名前の由来:
「フジ(富士)」は、富士山麓に多く生える。
「アザミ(薊)」は、ノアザミの名前の由来参照。
葉:茎葉は互生、根生葉はとげが多い
花:筒状花の集まった頭状花序、紅紫色、下向き
花期:8~10月
習性:多年草
備考:
頭花は直径10cmにもなる。
根は食用になる。 -
フジ Wisteria floribunda
マメ科フジ属
漢字:藤
別名:ノダフジ(野田藤)
名前の由来:花びらが風に吹かれ舞い散る様子から「吹き散る」が転訛したなど諸説あり。
樹形:蔓性落葉木本、左巻き(ネジと同一方向として)
葉:互生、奇数羽状複葉
花:両性花、総状花序、蝶形花、紫色、下垂、芳香あり
花期:5月
果実:豆果、熟すと2裂し種子をはじき飛ばす、種子は茶褐色
果期:10~12月
備考:
種子は、昔、おはじきに使った。
種子は、炒って食べると美味しいが、下剤にもなるので食べすぎに注意。
古い茎や枝にこぶ状の「藤瘤(ふじこぶ)」ができ、粉末にしたものは、胃がんの制癌剤に用いる。