アブラナ科ナズナ属
漢字:薺
別名:ペンペングサ
名前の由来:
撫でたいほどかわいい花を意味する「撫菜(なでな)」が転訛した説、
秋から春には生えているが、夏には生えて無い「夏無(なつな)」が転訛した説、
朝鮮で本種を指す言葉 Nazi と野菜の「菜」に由来する説など諸説あり。
「ペンペングサ」は、果実の形が三味線のバチに似るので、三味線の音をとった。
葉:根生葉は束生
花:総状花序、白色
花期:2~6月
果実:蒴果、ハート型(軍配型)で、2室に割れて種子を出す
習性:越年草
備考:
春の七草の一つ。七草がゆに入れる。
<同花受粉>
咲いてから時間がたつと、長い4本の雄しべは雌しべの柱頭にゆっくりと近づき、自らの花粉をなすりつける。積極的に同花受粉(同一の花の中で受粉すること(自家受粉の一型))を行い確実に実を結ぶ。近親交配の弊害があるが、一年草のナズナの場合、以下のような事情と想定される。
・子の質より子の確保が先決
・ハナアブという虫への信頼性の低さ
投稿者: kona
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ナズナ Capsella bursa-pastoris
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トベラ Pittosporum tobira
トベラ科トベラ属
漢字:扉
名前の由来:扉の木から転訛(扉については備考の”焼嗅がし”参照)。
樹形:常緑低木
葉:互生、枝先に輪生状につく
花:雌雄異株、集散花序、白色→淡黄色、芳香あり
花期:4~6月
果実:蒴果、灰褐色、熟すと3裂し赤い粘りのある種子を出す
果期:10~12月
備考:
葉を揉んだり、枝を折ると青臭い独特の匂いあり。燃やすと臭気が強くなる。
<海岸植物>
潮風に強く、植え込みや生け垣などに利用される。
クチクラ層を発達させ、水分の蒸発を防いだり、強い日光を跳ね返すとともに、塩分や砂を付着しにくくしている。
海岸の環境で風がきても、葉裏の気孔からの蒸散を防ぐために、葉の縁が葉裏を隠すように丸まっている。
<焼嗅(やいか)がし(柊鰯(ひいらぎいわし))>
ヒイラギの備考参照。 -
トチノキ Aesculus turbinata
ムクロジ科トチノキ属
漢字:栃/橡の木
名前の由来:
アイヌの人々が実を「トチ」、幹を「トチニ」と呼んだことに由来する説、
トは「十」、チは「千」を表わし、果実がたくさんなる説あり。
樹形:落葉高木
葉:対生、掌状複葉
花:雌雄同株(ひとつの花序に雄花(上部)と両性花(下部)が混じる)、円錐花序、白色
花期:5~6月
果実:蒴果、熟すと果皮が3裂し、種子が1,2個現れる
果期:9~10月
備考:
花は円錐花序の下から咲きあがり、白い花びらには黄色い蜜標(ガイドマーク)があり、花粉や蜜がなくなると赤色に変わる。蜜標は、送粉者であるマルハナバチ類に対するもので、マルハナバチの仲間は、黄色と赤色を識別している。
寒さと乾燥や虫から保護するため、冬芽の頂芽は、冬の間、樹液が浸み出して樹脂状になり粘る。
種子は最大クラス、そのままではシブくて食べられないが、アク抜きしてもち米と一緒について「栃餅」にする。
花は蜜蜂の重要な蜜源の一つ。
材は堅く模様(杢:もく)が美しいため、家具類やお盆、椀、建築材などに用いる。
大きな葉は光合成の能力が高く、成長を速くする。ただし、水分の蒸散も激しく、根からの供給が追いつかなければ水不足になる。分布が沢沿いに多いのはこのため。 -
トサミズキ Corylopsis spicata
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ドクダミ Houttuynia cordata
ドクダミ科ドクダミ属
漢字:蕺草
別名:ジュウヤク(十薬)
名前の由来:
「毒矯め(どくため)」が転訛した説あり。矯めは「直す、改める」意味。
「ジュウヤク(十薬)」は、10種類の薬効があるという意味。
葉:互生
花:無花被花(白い花冠のように見えるのは総苞片(つぼみのとき花全体を包んでいたもの))
花期:6~7月
果実:蒴果
習性:多年草
備考:
全体に特有の臭気あり。細菌やカビの増殖を抑える働きあり。
地下茎や葉は民間薬に用いる。
日本の本種は3倍体で、無融合生殖(単位生殖)で受粉せずに結実する(花は意味なし)。
無融合生殖は、セイヨウタンポポの備考参照。無融合生殖に加え、地下茎を伸ばして広がるので繁殖力が高い。
<総苞片の大きさが違う理由>
総苞片は外側の一番大きなものから順番に開き始める。最も外側から蕾を包んでいる総苞片は、包む面積が大きいので最大サイズになる。逆に、四番目に開く最も内側の総苞片は、包む面積が最小なので最小の総苞片になる。 -
ドクウツギ Coriaria japonica
ドクウツギ科ドクウツギ属
漢字:毒空木
別名:イチロベエゴロシ(一郎(市郎)兵衛殺し)
名前の由来:「ウツギ(アジサイ科)」に似て有毒。
樹形:落葉低木
葉:対生(羽状複葉に見えるが単葉)
花:雌雄同株(同じ葉腋から短い雄花序と長い雌花序がでる)、総状花序、黄緑色
花期:4~5月
果実:5個の分果からなる瘦果、花弁に包まれる、紅色→黒紫色
果期:8~9月
備考:
日本固有種。
全体に毒があり、生葉24gが致死量とされる猛毒植物。トリカブト(キンポウゲ科)、ドクゼリ(セリ科)とともに3大毒草とされる。
根に根粒菌が共生し、空中窒素を固定して養分にしている。 -
トウヒ Picea jezoensis
マツ科トウヒ属
漢字:唐檜
名前の由来:漢字「唐檜」は、見た目が唐の国(中国)の木のようであり、材がヒノキの代用になる。
樹形:常緑高木
花:雌雄同株
花期:5~6月
種子:球果
種期:秋
備考:
日本固有種。
亜高山帯で、シラビソ、オオシラビソ、コメツガなどと混生。
エゾマツ(北海道のみに生える)の変種。
葉の裏面に2本の気孔帯があり、内側に曲がり気孔帯に日があたらないようにしている。
葉の断面は扁平。
葉の先端は尖り、老木では鈍頭になる。
トウヒ属は、葉の付け根の葉枕が隆起している。
トウヒ属の球果は、下垂し種子だけ飛び散る、種鱗は脱落せずに球果は丸ごと落ちる。
カサアブラムシが虫えいを作る。
材は音響効果がよく、バイオリンの甲板やピアノの響盤に用いる。