ヒノキ科ビャクシン属
漢字:鼠刺
別名:ネズ
名前の由来:ネズミの穴にこの葉を詰めておくと痛いのでネズミの害を防ぐ。
樹形:常緑小高木
花:雌雄異株
花期:4月頃
種子:球果、液果状で緑色→黒紫色で表面に白い蝋質あり
種期:翌年または翌々年の10月頃
備考:
鋭く尖った硬質の葉はさわると痛い。
球果を乾燥させたものは生薬の「杜松子(としょうし)/杜松実(としょうじつ)」と呼び、利尿、尿道炎、リュウマチ、神経痛などに用いる。
投稿者: kona
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ネジバナ Spiranthes sinensis var. amoena
ラン科ネジバナ属
漢字:捩花
別名:モジズリ(捩摺)
名前の由来:
花序が螺旋状にねじれている。
「モジズリ(捩摺)」は、捩(もじ)れ模様に染めた絹織物の一種で、ねじれた花序をこれにたとえた。
葉:根生
花:穂状花序、淡紅色ときに白色
花期:5~8月
習性:多年草
備考:
花序は左巻き、右巻きの両方あり。
花粉を運ぶハチが横から花にもぐり込む習性に合わせ、花は横向きに咲く。
視覚で花を探すハチを呼ぶには、小さな花が集まった方が効果的なため、小さな花を螺旋につけることで重心を安定させ、細い茎を直立させた。
<花粉塊(かふんかい)>
ラン科の花は、花粉を塊ごと虫の体にくっつける仕掛けを備えている。花粉の塊は、粘着体につながっており、ハチなどが花から出る時に頭などに粘着体が貼りつき、粘着体につながっている花粉塊も引きずり出される。花粉塊が運び去られた花では、粘液のある雌しべが露出して、花粉塊をつけたハチが訪れると受粉する。長期花粉塊が運び去られないと、花粉塊が柱頭に接合して自家受粉する。
<ラン菌>
ラン科植物の微細な種子は、栄養を貯蔵していないため自力では発芽できない。地面に種子が落ちると、ランの共生菌(ラン菌)の菌糸が集まってきて種子を包む。種子は菌糸から栄養を吸収して発芽し、根の中に菌糸を取り込んで菌根をつくって成長する。光合成で栄養をまかなうことができるようになると、菌糸を分解して自分の栄養にする。共生ではなく、ランがラン菌に「寄生」して一方的に栄養を搾取している。
ラン菌は、ふだんは土中の有機物(枯葉や枯れ枝)を分解することで生きていけるのに対して、ランは、ラン菌を利用しなければ生きられない。 -
ネジキ Lyonia ovalifolia var. elliptica
ツツジ科ネジキ属
漢字:捩木
名前の由来:生長するにしたがって幹が捩じれる。幹の縦筋が捩じれていることでわかる。
樹形:落葉小高木
葉:互生
花:両性花、総状花序、白色
花期:5~7月
果実:蒴果
果期:9~10月
備考:
日本固有種。
乾燥地に多く生える。
葉縁は波打つ。
葉裏の脈上に白い毛があり、若枝は紅色で艶あり。
下垂する壺形の花を咲かせるが、花が散ると花柄は上向きに反転し、果実は上向きに熟す。
材は堅く、櫛や傘の柄、製糸用鼓車(こしゃ)などに用いた。
枝葉は有毒で、蛆(うじ)殺しなどに用いた。 -
ヌルデ Rhus javanica var. roxburghii
ウルシ科ウルシ属
漢字:白膠木
名前の由来:幹を傷つけると出る白い漆のような樹液を器に塗った「塗る手」が転訛した。
樹形:落葉小高木
葉:互生、奇数羽状複葉
花:雌雄異株、円錐花序、白色
花期:8~9月
果実:核果、黄赤色、核は黄褐色
果期:10~11月
備考:
先駆樹種(パイオニアツリー)。陽樹。
<先駆樹種(パイオニアツリー)><シードバンク(埋土種子)>については、アカメガシワの備考参照。
小葉の間の葉軸に翼がある。
ウルシ属のなかでは、ほとんどかぶれない。
枝を切ると白い樹液がにじみ出るウルシ溝が、形成層の外側に並んでいる。
果実の表面に白い結晶(リンゴ酸カルシウム)が浮き出ていて、舐めると塩辛い味がし塩の代用品にした。
日干しにして乾燥させた果実は、生薬の「塩麩子(えんふし)」として、下痢、たん、咳などに用いた。
材は比較的軽い割には耐腐朽性が高く、水を吸いにくいため、杭や農器具、浮き、箱物、シイタケ原木に用い、樹皮は染料に、実から蝋を採り、春の若芽は山菜とした。
<五倍子(ごばいし、ふし)>
葉にヌルデオオミミフシアブラムシ、ヌルデシロアブラムシなどのアブラムシが「虫えい形成物質」を注入して虫えいを作る。この虫えいを採取して乾燥させたものを「五倍子」と呼ぶ。タンニンが多く、染料や写真現像液、インキ、白髪染め、お歯黒の媒染剤に用いた。 -
ヌスビトハギ Desmodium podocarpum ssp. oxyphyllum var. japonicum
マメ科ヌスビトハギ属
漢字:盗人萩
名前の由来:
「ヌスビト(盗人)」は、半円形の果実の形が、盗みをする人が足の裏の縁だけを地面につけて忍び足で歩く足跡に似ている説、
盗みに入ったが、知らぬうちに衣類に果実を貼りつけて帰る説あり。
「ハギ(萩)」は、ヤマハギの名前の由来参照。
葉:互生、3出羽状複葉
花:総状花序、蝶形花、淡紅色
花期:7~9月
果実:節果、半円形の小節果が2個並ぶ
果期:10~12月
習性:多年草
備考:節果の表面にはかぎ状の毛があり、衣服などにくっついて種子を散布する。 -
ニワトコ Sambucus racemosa
ガマズミ科ニワトコ属
漢字:接骨木
別名:セッコツボク(接骨木)
名前の由来:
薬用木として庭に常に植えられたから「庭常(にわとこ)」説、
造木(みやつこぎ:宮仕う木の意味で、小正月に神前などに供した木幣(アイヌの祭具のひとつ)の材料)と呼ばれたものが転訛、
ニワツコギ(庭に植えるウコギ)やニワツウツギ(庭に植えるウツギ)が転訛などあり。
「セッコツボク(接骨木)」は、骨折や打撲の患部への湿布薬の材料として用いた(湿布薬:枝葉や幹を煎じて水あめ状にしたものや黒焼きにしたニワトコとうどん粉、そして酢をまぜたもの)。
樹形:落葉低木
葉:対生、奇数羽状複葉
花:両性花、円錐花序、黄白色
花期:3~5月
果実:液果状の核果、暗赤色
果期:6~8月
備考:
髄が太く発達。枝の中心から押し出せる白い髄は発砲スチロール状で、顕微鏡観察の標本用に薄い切片をカミソリで切り出すときの支持材(ピス)に用いた。
蜜腺は花にはなく、複葉の基部に対になって出るツメのような突起(茎蜜腺)、不規則に見られる小葉基部の突起(小葉蜜腺)、まれに見られる葉軸の突起(葉軸蜜腺)があるが、葉が成長する頃には無くなる。
熟した果実は果実酒の材料に用いる。 -
ニシキギ Euonymus alatus
ニシキギ科ニシキギ属
漢字:錦木
名前の由来:秋の紅葉が錦のように美しい。
樹形:落葉低木
葉:対生
花:両性花、集散花序、淡緑色
花期:5~6月
果実:蒴果、仮種皮は橙赤色
果期:10~11月
備考:
一年枝は緑色で四稜があり、この稜にコルクで硬い茶褐色の翼がある。翼の補強があるため、枝を水平、斜め上に伸ばせる説あり。
翼の発達しないものは「コマユミ」という。
種子は有毒で、昔は毛ジラミを殺すのに用いた。