マツブサ科サネカズラ属
漢字:実蔓/真蔓
別名:ビナンカズラ(美男蔓)
名前の由来:
サネは実を指し、実の美しい、あるいは実の目立つ蔓植物。
「ビナンカズラ(美男蔓)」は、樹皮を剥いで潰して水に浸すことで出てくる透明の粘液を、昔武士などが整髪用に利用した。
樹形:蔓性常緑木本、左巻き(ネジと同一方向として)
葉:互生
花:雌雄異株(雌雄同株もあり)、淡黄白色
花期:8月
果実:液果が集まった集合果(和菓子の鹿の子(かのこ)のような形)、赤色
果期:11月
備考:
形成層の外側に粘液を出す緑色のゼリー状の粘液のある組織が並んでいる。
赤く熟した果実を乾燥させたものは、生薬「南五味子(ナンゴミシ)」と呼び、煎じて滋養、強壮、鎮咳薬に用いる。
投稿者: kona
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サネカズラ kadsura japonica
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サツキ Rhododendron indicum
ツツジ科ツツジ属
漢字:皐月
別名:サツキツツジ(皐月躑躅)
名前の由来:陰暦の5月(皐月)に花が咲く。
樹形:半落葉低木
葉:互生
花:両性花、朱赤色
花期:5~7月
果実:蒴果
果期:9~12月
備考:ツツジについては、ヤマツツジの備考参照。 -
サザンカ Camellia sasanqua
ツバキ科ツバキ属
漢字:山茶花、「山茶花」は中国ではツバキのことで誤用。
名前の由来:漢字「山茶花」の読み「サンサカ」→「ササンカ」→「サザンカ」の説あり。
樹形:常緑高木
葉:互生
花:両性花、白色(原種)
花期:10~12月
果実:蒴果、種子は褐色
果期:翌年の9~10月
備考:
ヤブツバキの備考参照。
種子からとる油はヤブツバキより質が劣るといわれる。
交配や改良を重ねた栽培品種を「カンツバキ(寒椿)」と呼ぶことあり。サザンカとの違いは、高さ2m程度の低木で、葉柄は無毛。サザンカにも八重咲き品があるが、カンツバキは全て八重咲き。 -
サクラタデ Persicaria macrantha ssp. conspicua
タデ科イヌタデ属
漢字:桜蓼
名前の由来:
「サクラ(桜)」は、花色が淡紅色で大きく開きサクラに似る。
「タデ(蓼)」は、イヌタデの名前の由来参照。
葉:互生
花:穂状花序、単花被花(花冠なし萼のみ)、淡紅色
花期:8~10月
果実:瘦果
習性:多年草
備考:
水辺や湿地に生える。
鞘状の托葉の縁には長い毛が並んで生えている。
<異型花柱性>
短花柱花と長花柱花の2型の花がある。
本種は、花柱3個、雄しべ8個。
自分を含む同形の花から受粉しても結実しない(自家不和合性)。
短花柱花:雌しべの長さが雄しべより短く、雄しべは花被から突き出る。
長花柱花:短花柱花の逆で雌しべは花被から突き出る。 -
サギゴケ Mazus miquelii
ハエドクソウ科サギゴケ属
漢字:鷺苔
別名:ムラサキサギゴケ
名前の由来:
「サギ(鷺)」は、白花(白花をサギゴケ、紫花をムラサキサギゴケとして区別する考えあり)の花の様子をサギに見立てた。
「ゴケ(苔)」は、地面を這うよう広がる。
葉:対生
花:淡紫色~紅紫色
花期:4~5月
果実:蒴果
習性:多年草
備考:
<柱頭運動>
花柱の先は上下に広がって2裂し、その内側が柱頭になっている。柱頭に触れると分かれていた花柱の先が閉じ、しばらくするとまた開く。花粉を着けた虫が触れると、その刺激で閉じて虫の体に着いた花粉をつかみ取る仕組み。トキワハゼなどにも見られる。 -
サカキ Cleyera japonica
サカキ科サカキ属
漢字:榊
名前の由来:
常緑なので栄える意味の「栄木(さかえき)」説、
神と人間の境界を示す「境木(さかき)」説など諸説あり。
漢字名「榊」は、枝葉を神事に使うため「神に捧げる木」を表した。
樹形:常緑高木
葉:互生
花:両性花、白色→黄色味を帯びる
花期:6~7月
果実:液果、黒紫色、先端に長い柱頭が残る
果期:11~12月
備考:
枝先端の芽(冬芽)が細長く尖り、湾曲しているのが他との区別点。
神事に使われ、神社によく植えられている。
<神事に用いられた理由>
当時日本文化の中心であった関西地方に多く生えていた。
枝葉が水平に出ており全体が三角形をなすように広がっているため、形が神が降臨する依代にふさわしく、玉串として使いやすい形状。
先端の芽が細長く、鎌状に湾曲しており、形が勾玉(まがたま)に似ている。
枝葉を燃やすとパチパチ音を出し、音が邪気を祓うと考えた。
材は強靭、堅硬で農機具や杵、天秤棒、舟の竿に用いたほか、昔は床柱や桁材などにも用いた。 -
ゴンズイ Euscaphis japonica
ミツバウツギ科ゴンズイ属
漢字:権萃
名前の由来:
材に利用価値がないため、役に立たない魚のゴンズイの名が付けられた説、
樹皮に入る縦筋がゴンズイの模様に似ている説など諸説あり。
漢字「権萃」は当て字。
樹形:落葉小高木
葉:対生、奇数羽状複葉
花:両性花、円錐花序、黄緑色
花期:5~6月
果実:袋果/蒴果、果皮は赤色、種子は光沢のある黒色(二色効果)
果期:9~11月
備考:
枝葉に臭気がある。
新芽は食べられる。
コストのかからないアントシアニンで染めた赤い果皮で鳥を誘い、栄養のない種子を食べさせる。 -
ゴヨウマツ Pinus parvifloa
マツ科マツ属
漢字:五葉松
別名:ヒメコマツ(姫小松)
名前の由来:葉が短枝上に5個束生している。
樹形:落葉高木
花:雌雄同株(雄花は新枝の下部、雌花は新枝の頂上)
花期:5~6月
種子:球果
種期:翌年の10月頃
備考:
葉はややよじれ、アカマツやクロマツに比べて短く、柔らかい。
五葉松類は樹脂が多く、マツクイムシの被害が少ない。
材は木目がねじれておらず通直で、肌目も均質で緻密かつ狂いが少ないため、ピアノの鍵盤下地やバイオリンなどの弦楽器の腹板(ふくばん)に柾目材を用いた。また、軽軟で切削加工性に優れているため、鋳造用木型(ちゅうぞうようきがた)に用いた。