ウルシ科ウルシ属
漢字:山櫨
名前の由来:
山に生える「ハゼ」。
「ハゼ(櫨)」は、ハゼノキの名前の由来参照。
樹形:落葉小高木
葉:互生、奇数羽状複葉
花:雌雄異株、円錐花序、黄緑色
花期:5~6月
果実:核果、黄褐色
果期:10~11月
備考:
樹液に触れるとかぶれやすい。
ヤマウルシ、ハゼノキ、ヌルデとの違いは、ヤマウルシの備考参照。
投稿者: kona
-
ヤマノイモ Dioscorea japonica
ヤマノイモ科ヤマノイモ属
漢字:山の芋
別名:ジネンジョ(自然薯)
名前の由来:「サトイモ(里芋)」に対して山で育つ「イモ」。
葉:対生
花:雌雄異株、穂状花序、白色、雄花序は立ち雌花序は垂れ下がる
花期:7~8月
果実:蒴果、平たく円形の翼が3個あり、裂けると偏平で円形の翼をもつ種子が飛び散る
習性:蔓性多年草、右巻き(ネジと同一方向として)
備考:
肉質根は毎年新しいものができて、古いものの養分を吸収して肥大する。晩秋に掘りとり、すりおろして食用とする。
葉腋につく株芽(しゅが)は、地上に落ちるとそこから発芽して新たな植物体をつくる栄養繁殖器官。「むかご」と呼ばれ、油で揚げたり、ご飯に炊き込んだりして食べる。
葉は揚げ物や和え物、健康茶に用いる。 -
ヤマツツジ Rhododendron kaempferi
ツツジ科ツツジ属
漢字:山躑躅
名前の由来:
山に生える「ツツジ」。
「ツツジ(躑躅)」は、たくさんの花が咲く様子から「続き咲き(ツヅキサキ)」が転訛した説、
花の筒形で長いオシベが出ていることから「筒咲」が転訛した説など諸説あり。
漢字の「躑躅」は「てきちょく」と読み、「足踏みをする」「たたずむ」「ためらう」「立ち止まる」意味。
この字がツツジにあてられたのは、中国で毒性のあるシナレンゲツツジの葉を羊が食べて足ぶみしてもがいたり、毒であることを知っている羊はシナレンゲツツジを見ると足踏みして進まなくなることに由来している説や、人が足を止めて見とれてしまうような美しさだからという説あり。
樹形:半落葉低木
葉:互生、枝先に集まってつく
花:両性花、朱色(上面に濃紅色の斑点あり)
花期:4~5月
果実:蒴果
果期:8~10月
備考:
<ほのかに甘い蜜>
ツツジのロート形の花びらを抜いて根本を舐めるとほのかに甘い味がする。ただし、レンゲツツジ及びキレンゲツツジは毒があるので注意が必要。
<蝶をターゲット>
ツツジの花は、花冠の上の裂片に蜜標あり。
雌しべも雄しべも少し上向きに湾曲している。蝶をターゲットにしたもの。蝶が飛来した時、雌しべが最も長いため、蝶の体に着いている他の花の花粉がつく。花に近づくと、雄しべの先から花粉がずるずると引き出され新たに体につく。
<半落葉(半常緑)>
春出る葉は秋には落葉し、夏~秋に出る葉も翌年の春には新しい葉が出ると落葉し、1枚の葉が1年間着いていない。
ヤマツツジ節はすべて半落葉。ミツバツツジやレンゲツツジは落葉。
<ツツジ型菌根(エリコイド菌根)>
ツツジ類やシャクナゲなどは、多量の鉄分等を要求するため酸性土壌を好む。このために根に菌根を形成する。酸性土壌で植物に害作用を示す重金属類の吸収を抑制するため、ツツジ類が岩場や泥炭、火山灰など酸性条件下で生育できる。 -
ヤマトウバナ Clinopodium multicaule
シソ科トウバナ属
漢字:山塔花
名前の由来:
山に生える「トウバナ」。
「トウバナ(塔花)」は、トウバナの名前の由来参照。
葉:対生
花:唇形花、白色
花期:6~7月
果実:4個の分果
習性:多年草
備考:茎は四角形。 -
ヤマコウバシ Lindera glauca
クスノキ科クロモジ属
漢字:山香し
名前の由来:
山に生える「コウバシ」。
「コウバシ(香し)」は、枝を折ると良い香りがする?
樹形:落葉低木
葉:互生
花:雌雄異株(雄株なし)、散形花序、淡黄色
花期:4月
果実:液果、黒色、多少辛味あり
果期:10~11月
備考:
クロモジの仲間は黄葉するが、ヤマコウバシは紅葉する。
紅葉が進むと茶色く枯れるが落葉せずに冬を越し、春に新葉の展開とともに落葉する。「落ちない葉っぱ」は、受験生のお守りとされることもある。
<アブラチャンとの違い>
アブラチャンの備考参照。 -
ヤマグワ Morus australis
クワ科クワ属
漢字:山桑
別名:クワ(桑)
名前の由来:
山に生える「クワ」。
「クワ(桑)」は、カイコ(蚕)の「食葉(くは)」、あるいは、「蚕葉(こは)」が転訛した説が有力。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄異株、穂状花序、単花被花(花冠なし萼のみ)、淡黄色
花期:4~5月
果実:クワ状果(瘦果の集まった複合果)、赤色→黒紫色
果期:6~7月
備考:
マグワの葉は、養蚕のカイコの餌として知られる。ヤマグワの葉はマグワの代用として用いた。
同じ枝に着く葉に、裂け目のあるものとないものがある異形葉。
葉身基部は側脈から始まり、葉面は基部から少し離れて張り出す。
果実は赤色から黒紫色に熟して、甘くておいしい。
材は重硬・強靭で、床柱、高級な家具材、琵琶や三味線などの和楽器、碁笥(ごけ)などに用いられる。
<クワ科の植物>
若い枝や葉を傷つけると白い乳液が出る。虫の食害や微生物、菌などの侵入から身を守る(カイコはこの防御機構を克服した)。
<ヒメコウゾとの違い>
花や果実で見分けられる。花や果実がない時期(夏~秋)冬芽 葉 ヤマグワ 芽鱗4~7個
枝に密着しないー ヒメコウゾ 芽鱗2個
枝に密着するヤマグワに比べて
・薄い
・葉柄に毛がある
・鋸歯が細かい<マグワとの違い>
葉 花柱 果実 ヤマグワ 先端が尾状に尖る 長くY字形になる マグワに比べて
・小さい
・長い花柱が残るマグワ 先端は尖らない 短くV字形になる ー -
ヤマグルマ Trochodendron aralioides
ヤマグルマ科ヤマグルマ属
漢字:山車
別名:トリモチノキ
名前の由来:
山に生え、枝先の葉が車輪状。
「トリモチノキ」は、樹皮から良質の鳥もちが採れた。
樹形:常緑高木
葉:互生、枝先に輪生状に集まってつく
花:両性花、総状花序、無花被花(萼と花冠なし)、黄緑色
花期:5~6月
果実:袋果が集まった集合果
果期:10月頃
備考:
枝先に集まる葉は、下のものが大きくて葉柄も長く、上のものほど葉身が小さく葉柄も短くなっており、重ならないでどの葉にも日が当たるようになっている。
広葉樹に普通な道管がなく「無孔材」といい、針葉樹と同じ仮道管のみ。
<雌雄異熟性>
「雄性先熟」と「雌性先熟」の2種類の株あり。自家受粉を避ける仕組み。 -
ヤマオダマキ Aquilegia buergeriana
キンポウゲ科オダマキ属
漢字:山苧環
名前の由来:
山に生える「オダマキ」。
「オダマキ(苧環)」は、距の立った花の形が、カラムシ(苧)やアサ(麻)の繊維を枠糸巻きに巻いて中空の玉にした苧玉(おだま)に似ている。
葉:根生葉 2回3出複葉、茎葉 3出複葉
花:萼片 紫褐色、花弁 上部は淡黄色で基部の距は紫褐色
花期:5月下旬~8月
果実:5つの袋果が合体した集合果、熟すと先端が開いて黒色の光沢のある種子が出る
習性:多年草
備考:
花全体がクリーム色の黄花種(var. buergeriana f. flavescens)は「キバナノヤマオダマキ(黄花山苧環)」
<距>
萼片や花弁の一部が突き出した細長い袋状になった部分で、この中に蜜がたまっている。距の中にハナバチなどの昆虫が蜜を求めて入ろうとするが、この狭い距を通らせることで、昆虫たちを花粉まみれにして他家受粉をさせる戦略。
<キンポウゲ科>
キンポウゲ科の多くは有毒植物。葉や茎を折ったり、傷つけたりすると、毒成分のある汁がつくられる。皮膚に触れると皮膚炎や水疱を発生させ、誤食すれば胃腸炎を引き起こす。キバナノヤマオダマキ