タデ科イヌタデ属
漢字:犬蓼
別名:アカマンマ/アカノマンマ
名前の由来:
「イヌ(犬)」は、ヤナギタデのような辛味がなく食用にならないタデ。
「タデ(蓼)」は、中国の漢名の蓼(たで)を音読みにして、多天(たで)と和名をつけた説あり。
「アカマンマ/アカノマンマ」は、小さな赤い花を赤飯に見立てた。子どもがままごとに使った。
葉:互生
花:穂状花序、単花被花(花冠なし萼のみ)、紅色(まれに白色)
花期:6~10月
果実:瘦果、黒色
習性:1年草
備考:托葉鞘は長さ7~8mmの筒形で、縁に長い毛あり。
投稿者: kona
-
イヌシデ Carpinus tschonoskii
カバノキ科クマシデ属
漢字:犬四手
名前の由来:
「イヌ」は、クマシデやアカシデよりも特徴がない説、
花序の様子を子犬に見立てた説あり。
「シデ」は、果穂が、神前に供えたり飾ったりする玉串や注連縄(しめなわ)などに付ける白い布や紙の「四手」に似ている。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄同株、雄花 褐黄色、雌花 淡緑色
花期:3~4月
果実:堅果が集まった複合果
果期:10月頃
備考:
<クマシデ属の葉と果穂の違い>側脈 葉脚 葉形 葉身 果穂 アカシデ 7~15対 広い楔形 長卵形 6cm前後 細長い イヌシデ 12~15対 広い楔形 卵形 4~8cm 短い クマシデ 20~24対 浅心形 長楕円形 6~11cm 太い サワシバ 15~23対 心形 倒卵形 4~14cm 太い -
イヌザンショウ Zanthoxylum schinifolium
ミカン科サンショウ属
漢字:犬山椒
名前の由来:サンショウに似るが香りが悪い。
樹形:落葉低木
葉:互生、奇数羽状複葉
花:雌雄異株、散房花序、淡緑色
花期:7~8月
果実:蒴果(3個の分果)、褐色
果期:9~10月
備考:
果実は生薬の「青椒(せいしょう)」と呼ばれ、種子の精油を煎じたものを咳止めや消炎薬とした。
<サンショウとの違い>
サンショウの備考参照。 -
イヌコリヤナギ Salix integra
ヤナギ科ヤナギ属
漢字:犬行李柳
名前の由来:
「イヌコリ(犬行李)」は、柳行李(やなぎごうり:コリヤナギの皮をはいだ枝を編んで作った行李(こうり))を作るコリヤナギ(行李柳)に似ているが役に立たない。
「ヤナギ(柳)」は、アカメヤナギの名前の由来参照。
樹形:落葉低木
葉:対生(互生もあり) ※逆の記述もあり
花:雌雄異株、穂状花序、無花被花(萼と花冠なし)
花期:3月、葉の展開前
果実:蒴果、2片に裂け白綿毛のある種子がとび出す
果期:5月 -
イヌガヤ Chephalotaxus harringtonia
イチイ科イヌガヤ属
漢字:犬榧
名前の由来:
木材としてカヤに比べて劣る説、
カヤに似るが核が苦くて食べられない説あり。
「カヤ」は、カヤの名前の由来参照。
樹形:常緑小高木
花:雌雄異株、雄花:クリーム色、雌花:淡黄緑色
花期:3~4月
種子:核果状、緑色→紅褐色
種期:翌年の9~10月
備考:
種子は臭気あり。
熟した種子の肉質種皮(外種皮)は、柔らかく多汁で甘味があるため食べられ、果実酒にもした。胚乳はヤニ臭く、カヤのように食べられない。
胚乳から搾った油は、冬でも凍らず、炎が明るく煤が出ないため、優れた灯明油(とうみょうあぶら)とされた。
材は堅く強靭で耐久性も高いため、縄文時代の弓材とされ、現在も輪カンジキの材料に使う地域あり。
<カヤとの葉の違い>
カヤの備考参照。 -
イヌエンジュ Maackia amurensis
マメ科イヌエンジュ属
漢字:犬槐
名前の由来:
「イヌ(犬)」は、中国原産のエンジュ(槐)からは、漢方薬の止血剤の槐花(かいか)が作られるが、日本産のイヌエンジュでは用いられなかった。
エンジュ(槐)は、古名「エニス(恵爾須)」の転化で、 エニスは、エンジュの種子を意味する「エス(槐子)」に由来。
樹形:落葉高木
葉:互生、奇数羽状複葉
花:両性花、総状花序、蝶形花、淡黄白色
花期:7~8月
果実:豆果
果期:10~11月
備考:
枝を折るとソラマメに似た匂いがする。
材はエンジュより優れる。堅く強靭で、狂いが少なく粘りがある。床柱、家具、器具材、三味線や鼓(つづみ)の胴に用いる。 -
イチョウ Ginkgo biloba
イチョウ科イチョウ属
漢字:銀杏
漢名:公孫樹
名前の由来:
葉の形が水かきを持つ鴨の脚に似ており、宋時代の中国名「鴨脚」を「ヤーチャオ」と聞き転訛した説あり。
漢字「銀杏」は、種子が銀(白)色で、外種皮が杏(あんず)に似ている。
漢名「公孫樹」は、中国での当て字、孫の代にならないと結実しないことから。
樹形:落葉高木
葉:互生(長枝)、輪生(短枝)
花:雌雄異株、無花被花(萼と花冠なし)、短枝に束生
花期:4~5月
種子:銀杏(胚珠が成長したもので種子であり果実ではない)
種期:10~11月
備考:
中国原産。
起源は古生代にさかのぼり、「生きている化石」といわれる。
葉脈は途中で二股に分かれて広がる「ニ叉状脈(にさじょうみゃく)」。
種子は臭気の強い外種皮につつまれ、取り除くと堅い殻(内種皮)の銀杏があり胚乳は食用。素手で触るのは注意が必要。ウルシ科の植物にかぶれる場合、かぶれる可能性あり。
内種皮を取り除いた種子は生薬の「白果仁(はくかにん)」と呼ばれ、咳止めや痰切りに用いた。
一度に大量のギンナンを食べると、ビタミンB6欠乏症で、嘔吐、下痢、呼吸困難を起こす場合あり。
燃えにくく火災に強いが、過湿な土に弱い。
コケ植物やシダ植物と同様に精子で受精する。
材は白く美しく、ソロバン玉、木魚、碁盤、漆器の木地、まな板に用いる。
<雌雄の違い>
落葉した時の短枝の芽で比べる方法
雄木は膨らんでいる。雌木は小さく尖っている。 -
イチイ Taxus cuspidata
イチイ科イチイ属
漢字:一位
名前の由来:仁徳天皇が、本種に笏(しゃく)をつくる高貴な木として最高位の「正一位(しょういちい)」を授けた説あり。
樹形:常緑高木
花:雌雄異株、雄花は淡黄色、雌花は淡緑色
花期:3~5月
種子:核果状、備考の記事参照
種期:9~10月
備考:
葉や木部、種子は有毒。
肥大して杯状になった仮種皮が種子を包む。仮種皮は肉質で紅朱色になると甘味があって食べることができる。中の種子の外種皮は有毒なので、食べないように、嚙みつぶさないにする。鳥やサルが種を丸ごと食べて平気なのは、外種皮は丈夫で動物は消化できず、糞でそのまま出るため。葉や木部、種子にタキシンやタキソールなどの毒がある。
材は年輪幅が狭く、弾力性と光沢があることから建築材、家具材、彫刻材に用いた。昔は、強靭で粘りがあり折れにくいため、弓材に用いた。
<カヤとの違い>
カヤに比べて葉の先端がやわらかく、触れても痛くない。葉の裏の白色気孔帯が薄い緑で目立たない。
<キャラボクとの違い>
イチイの側枝はほぼ二列に葉が並ぶ。キャラボクは葉がらせん状に並ぶ。