アヤメ科アヤメ属
漢字:野花菖蒲
名前の由来:
野に生える「ハナショウブ」。
「ハナショウブ(花菖蒲)」は、「ショウブ」に似た葉を持ち、花が美しい。
「ショウブ(菖蒲)」は、中国名「白菖」だが、生薬の「菖蒲根」から「菖蒲」とした説あり。
葉:互生
花:赤紫色、外花被片の中央基部に黄色の細い斑紋あり
花期:6~7月
果実:蒴果
習性:多年草
備考:
ハナショウブの原種。
湿地に生える。
カテゴリー: 草本
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ノアザミ Cirsium japonicum
キク科アザミ属
漢字:野薊
名前の由来:
「ノ(野)」は、野原に多い。
「アザミ(薊)」は、トゲに触れて「あざむ(興ざめする)」に由来する。
葉:茎葉は互生、基部は茎を抱く、とげが多い
花:筒状花の集まった頭状花序、紅紫色
花期:5~8月
習性:多年草
備考:
総苞片は6~7裂で直立し、粘着する。
<雄性先熟>
アザミの仲間は花に虫が触ると、その刺激で筒状の葯(葯筒)の花糸が弓形に縮み、葯筒の中の花柱にある毛(集粉毛)が葯筒の上部にある花粉を外へ押し出す。この時、雌しべは成熟していないので受粉はしない。自分の株の花粉がなくなった頃、成熟して他の株の花粉を受粉する。 -
ネジバナ Spiranthes sinensis var. amoena
ラン科ネジバナ属
漢字:捩花
別名:モジズリ(捩摺)
名前の由来:
花序が螺旋状にねじれている。
「モジズリ(捩摺)」は、捩(もじ)れ模様に染めた絹織物の一種で、ねじれた花序をこれにたとえた。
葉:根生
花:穂状花序、淡紅色ときに白色
花期:5~8月
習性:多年草
備考:
花序は左巻き、右巻きの両方あり。
花粉を運ぶハチが横から花にもぐり込む習性に合わせ、花は横向きに咲く。
視覚で花を探すハチを呼ぶには、小さな花が集まった方が効果的なため、小さな花を螺旋につけることで重心を安定させ、細い茎を直立させた。
<花粉塊(かふんかい)>
ラン科の花は、花粉を塊ごと虫の体にくっつける仕掛けを備えている。花粉の塊は、粘着体につながっており、ハチなどが花から出る時に頭などに粘着体が貼りつき、粘着体につながっている花粉塊も引きずり出される。花粉塊が運び去られた花では、粘液のある雌しべが露出して、花粉塊をつけたハチが訪れると受粉する。長期花粉塊が運び去られないと、花粉塊が柱頭に接合して自家受粉する。
<ラン菌>
ラン科植物の微細な種子は、栄養を貯蔵していないため自力では発芽できない。地面に種子が落ちると、ランの共生菌(ラン菌)の菌糸が集まってきて種子を包む。種子は菌糸から栄養を吸収して発芽し、根の中に菌糸を取り込んで菌根をつくって成長する。光合成で栄養をまかなうことができるようになると、菌糸を分解して自分の栄養にする。共生ではなく、ランがラン菌に「寄生」して一方的に栄養を搾取している。
ラン菌は、ふだんは土中の有機物(枯葉や枯れ枝)を分解することで生きていけるのに対して、ランは、ラン菌を利用しなければ生きられない。 -
ヌスビトハギ Desmodium podocarpum ssp. oxyphyllum var. japonicum
マメ科ヌスビトハギ属
漢字:盗人萩
名前の由来:
「ヌスビト(盗人)」は、半円形の果実の形が、盗みをする人が足の裏の縁だけを地面につけて忍び足で歩く足跡に似ている説、
盗みに入ったが、知らぬうちに衣類に果実を貼りつけて帰る説あり。
「ハギ(萩)」は、ヤマハギの名前の由来参照。
葉:互生、3出羽状複葉
花:総状花序、蝶形花、淡紅色
花期:7~9月
果実:節果、半円形の小節果が2個並ぶ
果期:10~12月
習性:多年草
備考:節果の表面にはかぎ状の毛があり、衣服などにくっついて種子を散布する。 -
ナズナ Capsella bursa-pastoris
アブラナ科ナズナ属
漢字:薺
別名:ペンペングサ
名前の由来:
撫でたいほどかわいい花を意味する「撫菜(なでな)」が転訛した説、
秋から春には生えているが、夏には生えて無い「夏無(なつな)」が転訛した説、
朝鮮で本種を指す言葉 Nazi と野菜の「菜」に由来する説など諸説あり。
「ペンペングサ」は、果実の形が三味線のバチに似るので、三味線の音をとった。
葉:根生葉は束生
花:総状花序、白色
花期:2~6月
果実:蒴果、ハート型(軍配型)で、2室に割れて種子を出す
習性:越年草
備考:
春の七草の一つ。七草がゆに入れる。
<同花受粉>
咲いてから時間がたつと、長い4本の雄しべは雌しべの柱頭にゆっくりと近づき、自らの花粉をなすりつける。積極的に同花受粉(同一の花の中で受粉すること(自家受粉の一型))を行い確実に実を結ぶ。近親交配の弊害があるが、一年草のナズナの場合、以下のような事情と想定される。
・子の質より子の確保が先決
・ハナアブという虫への信頼性の低さ -
ドクダミ Houttuynia cordata
ドクダミ科ドクダミ属
漢字:蕺草
別名:ジュウヤク(十薬)
名前の由来:
「毒矯め(どくため)」が転訛した説あり。矯めは「直す、改める」意味。
「ジュウヤク(十薬)」は、10種類の薬効があるという意味。
葉:互生
花:無花被花(白い花冠のように見えるのは総苞片(つぼみのとき花全体を包んでいたもの))
花期:6~7月
果実:蒴果
習性:多年草
備考:
全体に特有の臭気あり。細菌やカビの増殖を抑える働きあり。
地下茎や葉は民間薬に用いる。
日本の本種は3倍体で、無融合生殖(単位生殖)で受粉せずに結実する(花は意味なし)。
無融合生殖は、セイヨウタンポポの備考参照。無融合生殖に加え、地下茎を伸ばして広がるので繁殖力が高い。
<総苞片の大きさが違う理由>
総苞片は外側の一番大きなものから順番に開き始める。最も外側から蕾を包んでいる総苞片は、包む面積が大きいので最大サイズになる。逆に、四番目に開く最も内側の総苞片は、包む面積が最小なので最小の総苞片になる。