キク科ハハコグサ属
漢字:母子草
別名:ホオコグサ、オギョウ
名前の由来:
葉や茎が白い綿毛に覆われている様子を、母親が子を包み混んでいるように見立てた説、
葉を餅に入れて草団子にして食べた「葉っこ草」が転訛した説など諸説あり。
「ホオコグサ」は、茎の白毛、頭花の冠毛がほおけ立っている。
葉:互生
花:頭状花序、筒状花(中心の両性花の周りに雌花)、黄色
花期:4~6月
果実:瘦果、黄白色の冠毛あり
習性:2年草
備考:
春の七草のオギョウ(御行)はロゼット。
全草を細かく刻んで乾燥させたものは生薬「鼠麹草(そきくそう)」と呼び、咳止め、痰切りに用いた。
かつてはハハコグサを摘んで蒸してついて「母子餅(ほうこもち)」を食べる習慣があったが、「母と子を臼と杵でつくのは縁起がよくない」として、ヨモギが草餅に使われるようになった。
カテゴリー: 草本
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ハハコグサ Gnaphalium affine
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ハコベ Stellaria neglecta
ナデシコ科ハコベ属
漢字:繁縷
別名:ミドリハコベ
名前の由来:
茎の中にある白い維管束を、絹糸の帛(はく)に見立て、帛糸を引き、群がり繁る草を意味する「帛繁(はくべら)」説、
帛は同じ意味で、五つの花弁が箆(へら)を意味する「帛箆(はくへら)」説、
平安時代の本草書「本草和名(ほんぞうわみょう)」に記された「波久倍良(はくべら)」説など諸説あり。
漢字名「繁縷(はんろう)」は漢名。
葉:対生
花:集散花序、白色
花期:3~11月
果実:蒴果、熟すと6裂する
習性:2年草
備考:
春の七草の一つ。
小鳥の餌にする。
ハコベの仲間は花弁が基部近くまで2列し、花弁が10個あるように見える(実際は5個)。
花柄は花が終わるとだんだん下に向くが、果実が裂開する頃に再び上を向く。
生薬で「繁縷(はんろう)」と呼び、利尿や浄血、催乳などに用いる。
昔は、ハコベを炒って粉にし、塩を混ぜて歯磨き粉に使った。現在も「はこべ塩歯磨」として販売されている。
<アリ散布>
種子にエライオソームと呼ばれる脂肪や糖類に富む付属物が付いていてアリが好んで運搬する。アリは「エライオソーム」をかじりとると、残りの部分(種の本体)を巣の近くの地面に捨てるため、種子を散布させることができ相利共生関係が成立している。
<コハコベ(子繁縷)、ウシハコベ(牛繁縷)との違い>
※コハコベもハコベと呼ぶ場合あり茎の色 花柱と雄しべの数 サイズ ハコベ(ミドリハコべ) 緑色 花柱:3
雄しべ:5~10‐ コハコベ 白緑色~暗紫色 花柱:3
雄しべ:1~7ハコベより小さい ウシハコベ 同上 花柱:5 他より茎葉が大きい コハコベ
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バアソブ Codonopsis ussuriensis
キキョウ科ツルニンジン属
漢字:婆ソブ
名前の由来:花冠の内側の斑点を老婆の顔のそばかす(ソブ)にたとえた。
葉:
花:花冠の内側の上部は紫色、下半分は濃紫色の斑点あり
花期:7~8月
果実:蒴果
習性:蔓性多年草
備考:
つるを切ると白い乳液が出る。
<ツルニンジン(ジイソブ)との違い>
本種は葉の裏面や縁に白い毛がある -
ノアザミ Cirsium japonicum
キク科アザミ属
漢字:野薊
名前の由来:
「ノ(野)」は、野原に多い。
「アザミ(薊)」は、トゲに触れて「あざむ(興ざめする)」に由来する。
葉:茎葉は互生、基部は茎を抱く、とげが多い
花:筒状花の集まった頭状花序、紅紫色
花期:5~8月
習性:多年草
備考:
総苞片は6~7裂で直立し、粘着する。
<雄性先熟>
アザミの仲間は花に虫が触ると、その刺激で筒状の葯(葯筒)の花糸が弓形に縮み、葯筒の中の花柱にある毛(集粉毛)が葯筒の上部にある花粉を外へ押し出す。この時、雌しべは成熟していないので受粉はしない。自分の株の花粉がなくなった頃、成熟して他の株の花粉を受粉する。 -
ネジバナ Spiranthes sinensis var. amoena
ラン科ネジバナ属
漢字:捩花
別名:モジズリ(捩摺)
名前の由来:
花序が螺旋状にねじれている。
「モジズリ(捩摺)」は、捩(もじ)れ模様に染めた絹織物の一種で、ねじれた花序をこれにたとえた。
葉:根生
花:穂状花序、淡紅色ときに白色
花期:5~8月
習性:多年草
備考:
花序は左巻き、右巻きの両方あり。
花粉を運ぶハチが横から花にもぐり込む習性に合わせ、花は横向きに咲く。
視覚で花を探すハチを呼ぶには、小さな花が集まった方が効果的なため、小さな花を螺旋につけることで重心を安定させ、細い茎を直立させた。
<花粉塊(かふんかい)>
ラン科の花は、花粉を塊ごと虫の体にくっつける仕掛けを備えている。花粉の塊は、粘着体につながっており、ハチなどが花から出る時に頭などに粘着体が貼りつき、粘着体につながっている花粉塊も引きずり出される。花粉塊が運び去られた花では、粘液のある雌しべが露出して、花粉塊をつけたハチが訪れると受粉する。長期花粉塊が運び去られないと、花粉塊が柱頭に接合して自家受粉する。
<ラン菌>
ラン科植物の微細な種子は、栄養を貯蔵していないため自力では発芽できない。地面に種子が落ちると、ランの共生菌(ラン菌)の菌糸が集まってきて種子を包む。種子は菌糸から栄養を吸収して発芽し、根の中に菌糸を取り込んで菌根をつくって成長する。光合成で栄養をまかなうことができるようになると、菌糸を分解して自分の栄養にする。共生ではなく、ランがラン菌に「寄生」して一方的に栄養を搾取している。
ラン菌は、ふだんは土中の有機物(枯葉や枯れ枝)を分解することで生きていけるのに対して、ランは、ラン菌を利用しなければ生きられない。