ツバキ科ナツツバキ属
漢字:姫沙羅
名前の由来:
花の小さい「シャラ」。
「シャラ(沙羅)」は、シャラノキ(ナツツバキの別名)。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:両性花、白色
花期:5月
果実:蒴果、5個の果片に裂開する
果期:9~10月
備考:
樹皮は淡赤褐色で薄く細かく剥げ落ちる。樹肌が滑らか。
樹皮を触ると、薄いため冷たく感じる。
若葉の表面には細毛が密生し、触るとふんわりした感触あり。
ツバキと同様花弁の基部が合着しているため、雄しべと一緒に抜け落ちる。
カテゴリー: 木本
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ヒメシャラ Stewartia monadelpha
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ヒメコウゾ Broussonetia kazinoki
クワ科コウゾ属
漢字:姫楮
名前の由来:
小さい「コウゾ」。
「コウゾ(楮)」は、樹皮を和紙の原料にしていた紙麻(かみそ)→カミゾ→コウゾ。
樹形:落葉低木
葉:互生
花:雌雄同株
花期:4~5月
果実:クワ状果(瘦果の集まった複合果)、橙赤色
果期:6~7月
備考:
枝はジグザグに曲がる。
ヤマグワ等のコウゾ属に共通して、同じ枝に着く葉に、裂け目のあるものとないものがある異形葉。
果実は赤く熟して食べられるが、残存する花柱が硬く口当たりはよくない。
平安時代にカジノキが渡来するまでは、靭皮(じんぴ)繊維が重要な繊維材料だった。近年まで重要な和紙原料で、今も手漉き和紙に使われる。
コウゾとして栽培されているものは全て本種とカジノキとの雑種。
<クワ科の植物>
ヤマグワの備考参照。
<ヤマグワとの違い>
ヤマグワの備考参照。 -
ヒノキ Chamaecyparis obtusa
ヒノキ科ヒノキ属
漢字:檜/桧
名前の由来:
幹や枝がこすれるとすぐ火がつく説、
火起こし道具の「火切り板」に多く用いたことから「火の木」から説など諸説あり。
樹形:常緑高木
葉:十字対生(小さな鱗のように見えるのが1個の葉)
花:雌雄同株
花期:4月
種子:球果
種期:10~11月
備考:
日本固有種。
スギに比べると成長は遅いが、乾燥地にも耐えるので、スギに次いで植林されている。
材は緻密で狂いがなく、加工が容易で、光沢があり、香りがよいため、最も優れた建築材とされる。また、耐久性があり、世界最古の木造建築である法隆寺がヒノキでつくられていることは有名。
樹皮はスギの皮と同様、屋根を葺くのに用いられ、葺いた屋根を「檜皮葺(ひわだぶき)」という。
<サワラとの葉の違い>白い気孔帯 側面の葉の先端 ヒノキ Y字形 尖らず内曲 サワラ X字形 尖って開出 -
ヒトツバカエデ Acer distylum
ムクロジ科カエデ属
漢字:一葉楓
別名:マルバカエデ(丸葉楓)
名前の由来:
「ヒトツバ(一葉)」は、葉に切れ込みがない、別名も同様。
「カエデ(楓)」は、イロハカエデの名前の由来参照。
樹形:落葉高木
葉:対生、葉脚は深い心形
花:雌雄同株(ひとつの花序に雄花と両性花が混じる)、総状花序、黄色
花期:5~6月
果実:翼果、翼は鋭角
果期:8~10月 -
ヒサカキ Eurya japonica
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ヒイラギナンテン Mahonia japonica
メギ科ヒイラギナンテン属
漢字:柊南天
名前の由来:
小葉がヒイラギの葉に似ている「ナンテン」。
「ナンテン」は、ナンテンの名前の由来参照。
樹形:常緑低木
葉:互生、奇数羽状複葉
花:両性花、総状花序、黄色
花期:3~4月
果実:液果、紫黒色
果期:6~7月
備考:
中国~ヒマラヤ・台湾原産。
最も基部の小葉1対は小さく、枝に接するように着き、2番目の小葉は、この小葉から離れて着く。
雄しべに触れると内側に曲がり、中心の雌しべの方に動く(内曲運動)。 -
ヒイラギ Osmanthus heterophyllus
モクセイ科モクセイ属
漢字:柊
名前の由来:
とげが刺さるとヒリヒリ痛む「疼(ひい)らぐ」という古語に由来。
漢字「柊」は、冬に花が咲くため。
樹形:常緑小高木
葉:対生
花:雌性両性異株、白色、芳香あり
花期:11~12月
果実:核果、黒紫色
果期:翌年の6~7月
備考:
鋭いとげによって邪気を祓う木と考えられ、庭に植える習慣あり。
材は緻密で堅く、印鑑や将棋の駒などに用いた。
<先祖返り、隔世遺伝>
若木の葉は鋭い鋸歯があるが、老木では全縁になる。幼木の時期は樹高が低く、草食動物などに食べられる危険性が高いためとげで武装し、成長して樹高が高くなるととげの必要性がなくなるからと考えられる(とげを作るのにもコストがかかる)。
<焼嗅(やいか)がし(柊鰯(ひいらぎいわし))>
二月の節分に、ヒイラギやトベラの小枝に焼いたイワシの頭をさして戸口に立て、魔除けにする厄除けの習慣あり。ヒイラギやトベラの生葉を火にくべると葉が膨らんでパチパチと音を立てて弾けながら燃えることがあり、この音が鬼おどしの意味があるとも言われている。 -
ハンノキ Alnus japonica
カバノキ科ハンノキ属
漢字:榛の木
別名:ハリノキ
名前の由来:
古名の「榛(はり)の木」が転化した。
「榛(はり)」は、開墾を意味する古語「墾(はり)」に由来する説あり。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄同株、枝先に雄花序 その基部に雌花序
花期:4月(寒地) 11月(暖地) ※1~3月の記事もあり
果実:堅果が集まった複合果
果期:10月
備考:
水辺や湿原などの過湿地に生える。
冬芽は、ヤシャブシ類の先が尖るのに対し、ハンノキ類は円頭で短い柄がある。
花芽のつく枝の側芽は裸芽になっている(他は芽鱗あり)。
樹皮や果穂はタンニンを含み、茶色染料として用いた。
材は堅く、器具や薪炭に用いた。
幼虫が葉を食べるミドリシジミの食樹。
<ハンノキ属の根粒菌(放線菌)による窒素固定>
ハンノキ属の樹木は、葉から窒素などを回収せずに落葉するために、落ち葉は、黄葉や紅葉せずに緑色のまま。その結果、土壌中に窒素を提供する「肥料木」となる。
根に「根粒菌(細菌の一種)」が寄生して根粒を形成している。根粒菌は、根粒内部で空気中の窒素を植物が利用できる窒素化合物(アンモニア)に変換(窒素固定)している。根粒菌により大気中の窒素を吸収することができるため、落葉時に窒素などを回収する必要がない。植物側からは、光合成生産物の糖などを根粒菌に提供し、相利共生関係が成立している。