ヤナギ科ヤナギ属
漢字:跋扈柳
別名:ヤマネコヤナギ(山猫柳)
名前の由来:
「バッコ」は、「婆っこ(お婆さん)」のことで、灰白色の雌花序を老女の白髪に見立てた説など諸説あり。
「ヤナギ(柳)」は、アカメヤナギの名前の由来参照。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄異株、穂状花序、無花被花(萼と花冠なし)
花期:3~5月
果実:蒴果、柄があり開出した短い毛が密生し先は尖り柱頭が4つに分かれる
果期:5月
備考:
日本固有種。
枝を剥皮すると、縦長に隆起した筋が多数あり。
葉裏面は白綿毛を密生。
カテゴリー: 木本
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バッコヤナギ Salix bakko
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ハゼノキ Rhus succedanea
ウルシ科ウルシ属
漢字:櫨/黄櫨
名前の由来:
「埴締(ハニシメ):蝋を採ること」の略→ハニシ→ハジ→ハゼ。と転訛した説、
紅葉の色が、埴土(ハニツチ:埴輪を作る粘土)の色に似ている。ハニシ(埴師:埴輪をつくる工人)→ハジ→ハゼ。と転訛した説あり。
樹形:落葉高木
葉:互生、奇数羽状複葉
花:雌雄異株、円錐花序、黄緑色
花期:5~6月
果実:核果、淡褐色
果期:9~10月
備考:
中国原産。
樹液に触れるとかぶれることがある。
果実の中果皮にあるロウ(脂肪分)を木蝋として採取し、和蝋燭の原料にした他、整髪料・口紅などの化粧品やクレヨン・色鉛筆などに用いた。
材は寄木(よせぎ)、木像嵌(もくぞうがん)などに用いる。
<ヤマウルシやヤマハゼとの違い>
ヤマウルシやヤマハゼは、葉に毛があるが、ハゼノキの葉は無毛。
葉の先端は長く尖る。ヤマウルシの備考参照。 -
ハコネウツギ Weigela coraeensis
スイカズラ科タニウツギ属
漢字:箱根空木
名前の由来:箱根に生え、枝が空洞であることかららしいが、箱根の山中には生えておらず(低地には生えている)、枝の髄は白く充実している。
樹形:落葉低木
葉:対生
花:両性花、白色→紅色
花期:5~6月
果実:蒴果
果期:11月頃
備考:
日本固有種。
花は白から、(アントシアニンが合成されて)赤に変わる。
花色の変化は、虫に花の熟度を知らせるサインになる。
白(フラボン色素)は紫外線を吸収し、紫外色を見ることができるハチの目には目立つ色。ハチは花の色(白/赤)を学習して効率的に蜜を吸い、花はハチに未受粉の花を集中的に巡回させる相利関係が成立している。
<ニシキウツギとの違い>花冠 葉裏の主脈 ハコネウツギ 花筒下部で急に角ばり細くなる ほとんど無毛 ニシキウツギ 花筒下部で徐々に細くなる 白い伏毛が密生 -
ハクモクレン Magnolia heptapeta
モクレン科モクレン属
漢字:白木蘭/白木蓮
名前の由来:
「ハク(白)」は、花の色が白い。
「モクレン(木蓮)」は、花が蓮(ハス)に似ている木説、
漢名「木蘭」が転訛した説あり。
樹形:落葉高木
葉:互生、葉先が短く尖る
花:両性花、同花被花(花冠と萼が同形で区別できない)、白色、強い香りあり
花期:3~4月
果実:袋果が集まった集合果、種子は赤色
果期:10月
備考:
中国原産。
中国で改良された園芸品種で、山には生えていない。ほとんど実がならない。コブシの苗木に枝を接ぎ木して増やされる。
<モクレン科の花>
コブシの備考参照。 -
ハウチワカエデ Acer japonicum
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ノリウツギ Hydrangea paniculata
アジサイ科アジサイ属
漢字:糊空木
名前の由来:
「ノリ(糊)」は、樹皮の内皮に粘液があって、伐った枝を水に浸けると靭皮から糊状の粘液が出る。糊料は、和紙をすく過程で用いた。
「ウツギ(空木)」は、枝の中が空洞の意味だが、枝の髄は白く充実している。
樹形:落葉低木~小高木
葉:対生
花:両性花、円錐花序、白色、装飾花は種子が熟すと淡緑色→淡紅色
花期:7~8月
果実:蒴果、花柱が残る、種子は赤褐色
果期:9~11月
備考:
葉柄は赤みを帯びる。
花序は枯れても、翌年まで枝先に付いている。
材は白くて堅く、傘の柄や杖、輪カンジキ、楊枝などに用いた。根本付近の材で煙管(キセル)「サビタパイプ」が作られた。 -
ノブドウ Ampelopsis brevipedunculata
ブドウ科ノブドウ属
漢字:野葡萄
名前の由来:野に生える「ブドウ」。
樹形:蔓性落葉低木
葉:互生
花:両性花、集散花序、緑色、葉に対生
花期:7~8月
果実:液果、白色/水色/赤色/紫色/瑠璃色
果期:9~11月
備考:
葉の形に変異が多い。
巻髭は花序のつかない節で葉に対生し、2又に分かれる。
果実は、ブドウタマバエやブドウトガリバチの幼虫が寄生して虫えいを作ることが多く、色が鮮やかになり肥大化する。また、まずくて食べられない。
茎や葉は「蛇葡萄(じゃほとう)」、根は「蛇葡萄根(じゃほとうこん)」の生薬名で呼ばれ、関節痛などに煎じて飲用する。または、若い茎葉をすり潰して、小麦粉と酢を混ぜたものを関節痛の患部に塗布する。
<ブドウ属>
ヤマブドウの備考参照。
<ブドウ属の花序の違い>
エビヅル、サンカクヅル、ヤマブドウ:円錐花序
ノブドウ:集散花序
(参考)
総状花序:花序軸は長く伸び、ほぼ均等に花柄がつき、花柄の先に花がつく。
円錐花序:総状花序の花に当たるところに総状花序がつく。
集散花序:花序軸の先端に花がつき、その下からは花柄が出て先に花がつく。花は上から下に向かって開花していく。 -
ノイバラ Rosa multiflora
バラ科バラ属
漢字:野茨
名前の由来:トゲのことを「茨」といい、茎にトゲを持ち野に生える。
樹形:落葉低木
葉:互生、奇数羽状複葉
花:両性花、円錐花序、白色、芳香あり
花期:5~6月
果実:バラ状果(集合果)、赤色
果期:9~11月
備考:
枝にかぎ状に湾曲した鋭いトゲが対生する。
托葉は葉柄の基部に合着し、羽状で、先端は細かく分かれ腺となっている。
赤い果実は、冬に落葉しても残って越冬する。ローズヒップと呼ばれ、食べられる。
果実を青みがかかったうちに採取して乾燥させたものを生薬の「営実(えいじつ)」と呼び、下剤、利尿薬に用いた。
(参考)
子房が肥大した「真果」に対して、子房以外の萼や花床(花托)などが肥大した果実を「偽果」という。バラ属、リンゴ属、ナシ属は発達した花床(花托)が肥大して偽果を形づくっている。 -
ネムノキ Albizia julibrissin
マメ科ネムノキ属
漢字:合歓木
名前の由来:
暗くなると小葉群が葉をたたんで垂れ下がり、眠るように見える就眠運動(備考参照)をする。
「合歓木」は、「歓びが合わさるのでめでたい木」という中国名「合歓(ごうかん)」に由来。
樹形:落葉高木
葉:互生、2回偶数羽状複葉
花:両性花、頭状花序、淡紅色
花期:6~7月
果実:豆果、褐色
果期:10~12月
備考:
10本の雄しべは、花糸が3cm以上の長さがあり、上半分が淡紅色で目立つ。
小葉の葉脈の位置が真ん中でなく偏っている。
花は暗くなると咲いて夜行性の蛾を集め、翌日にしぼむ。
冬芽は「隠芽(いんが)」で、葉痕に隠れていて見えない。
生薬で樹皮を乾燥させたものを「合歓皮(ごうかんひ)」、花と蕾を「合歓花(ごうかんか)」と呼び、強壮、鎮痛、利尿、駆虫薬、打撲、捻挫などに用いる。
若芽は茹でて食用にされた。
材は加工が容易なため、器具材や桶、屋根板に用いた。
地震を予知する働きがあるといわれる。根の先端の生長点が地震の前に起こる地層の歪みによって発生する電流を感じて、ネムノキの生体電位が変化する。
<就眠運動>
1日の中で葉が開閉したり、上下に動いたりすること。
葉のつけ根にある小葉沈が蝶番(ちょうつがい)の役割をするためで、昼間は水分をたくさん含んで葉が広がり、夜には水分が欠乏して葉が閉じるという細胞の膨圧変化による。
<雄性先熟>
最初に雄しべが立つ、雌しべは垂れた状態、その後、雌しべが立ち上がり、雄しべが垂れ下がってくる。自家受粉を避ける仕組み。