ブドウ科ノブドウ属
漢字:野葡萄
名前の由来:野に生える「ブドウ」。
樹形:蔓性落葉低木
葉:互生
花:両性花、集散花序、緑色、葉に対生
花期:7~8月
果実:液果、白色/水色/赤色/紫色/瑠璃色
果期:9~11月
備考:
葉の形に変異が多い。
巻髭は花序のつかない節で葉に対生し、2又に分かれる。
果実は、ブドウタマバエやブドウトガリバチの幼虫が寄生して虫えいを作ることが多く、色が鮮やかになり肥大化する。また、まずくて食べられない。
茎や葉は「蛇葡萄(じゃほとう)」、根は「蛇葡萄根(じゃほとうこん)」の生薬名で呼ばれ、関節痛などに煎じて飲用する。または、若い茎葉をすり潰して、小麦粉と酢を混ぜたものを関節痛の患部に塗布する。
<ブドウ属>
ヤマブドウの備考参照。
<ブドウ属の花序の違い>
エビヅル、サンカクヅル、ヤマブドウ:円錐花序
ノブドウ:集散花序
(参考)
総状花序:花序軸は長く伸び、ほぼ均等に花柄がつき、花柄の先に花がつく。
円錐花序:総状花序の花に当たるところに総状花序がつく。
集散花序:花序軸の先端に花がつき、その下からは花柄が出て先に花がつく。花は上から下に向かって開花していく。
カテゴリー: 木本
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ノブドウ Ampelopsis brevipedunculata
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ノイバラ Rosa multiflora
バラ科バラ属
漢字:野茨
名前の由来:トゲのことを「茨」といい、茎にトゲを持ち野に生える。
樹形:落葉低木
葉:互生、奇数羽状複葉
花:両性花、円錐花序、白色、芳香あり
花期:5~6月
果実:バラ状果(集合果)、赤色
果期:9~11月
備考:
枝にかぎ状に湾曲した鋭いトゲが対生する。
托葉は葉柄の基部に合着し、羽状で、先端は細かく分かれ腺となっている。
赤い果実は、冬に落葉しても残って越冬する。ローズヒップと呼ばれ、食べられる。
果実を青みがかかったうちに採取して乾燥させたものを生薬の「営実(えいじつ)」と呼び、下剤、利尿薬に用いた。
(参考)
子房が肥大した「真果」に対して、子房以外の萼や花床(花托)などが肥大した果実を「偽果」という。バラ属、リンゴ属、ナシ属は発達した花床(花托)が肥大して偽果を形づくっている。 -
ネムノキ Albizia julibrissin
マメ科ネムノキ属
漢字:合歓木
名前の由来:
暗くなると小葉群が葉をたたんで垂れ下がり、眠るように見える就眠運動(備考参照)をする。
「合歓木」は、「歓びが合わさるのでめでたい木」という中国名「合歓(ごうかん)」に由来。
樹形:落葉高木
葉:互生、2回偶数羽状複葉
花:両性花、頭状花序、淡紅色
花期:6~7月
果実:豆果、褐色
果期:10~12月
備考:
10本の雄しべは、花糸が3cm以上の長さがあり、上半分が淡紅色で目立つ。
小葉の葉脈の位置が真ん中でなく偏っている。
花は暗くなると咲いて夜行性の蛾を集め、翌日にしぼむ。
冬芽は「隠芽(いんが)」で、葉痕に隠れていて見えない。
生薬で樹皮を乾燥させたものを「合歓皮(ごうかんひ)」、花と蕾を「合歓花(ごうかんか)」と呼び、強壮、鎮痛、利尿、駆虫薬、打撲、捻挫などに用いる。
若芽は茹でて食用にされた。
材は加工が容易なため、器具材や桶、屋根板に用いた。
地震を予知する働きがあるといわれる。根の先端の生長点が地震の前に起こる地層の歪みによって発生する電流を感じて、ネムノキの生体電位が変化する。
<就眠運動>
1日の中で葉が開閉したり、上下に動いたりすること。
葉のつけ根にある小葉沈が蝶番(ちょうつがい)の役割をするためで、昼間は水分をたくさん含んで葉が広がり、夜には水分が欠乏して葉が閉じるという細胞の膨圧変化による。
<雄性先熟>
最初に雄しべが立つ、雌しべは垂れた状態、その後、雌しべが立ち上がり、雄しべが垂れ下がってくる。自家受粉を避ける仕組み。 -
ネズミモチ Ligustrum japonicum
モクセイ科イボタノキ属
漢字:鼠黐
名前の由来:黒紫色に熟した果実がネズミの糞に似ていることと、葉がモチノキに似ている。
樹形:常緑小高木
葉:対生
花:両性花、円錐花序、白色
花期:6月
果実:液果状の核果、黒紫色
果期:10~12月
備考:
<トウネズミモチとの違い>葉を日に透かした場合の羽状脈(葉の厚み) 葉身の長さ 葉の先端 葉の最大幅の位置 花序の大きさ ネズミモチ 透けて見えない
(厚い)4~8cm ー 中央 10cm前後 トウネズミモチ 透けて見える
(薄い)6~12cm やや長鋭尖する 基部より 20cm前後 -
ネジキ Lyonia ovalifolia var. elliptica
ツツジ科ネジキ属
漢字:捩木
名前の由来:生長するにしたがって幹が捩じれる。幹の縦筋が捩じれていることでわかる。
樹形:落葉小高木
葉:互生
花:両性花、総状花序、白色
花期:5~7月
果実:蒴果
果期:9~10月
備考:
日本固有種。
乾燥地に多く生える。
葉縁は波打つ。
葉裏の脈上に白い毛があり、若枝は紅色で艶あり。
下垂する壺形の花を咲かせるが、花が散ると花柄は上向きに反転し、果実は上向きに熟す。
材は堅く、櫛や傘の柄、製糸用鼓車(こしゃ)などに用いた。
枝葉は有毒で、蛆(うじ)殺しなどに用いた。 -
ヌルデ Rhus javanica var. roxburghii
ウルシ科ウルシ属
漢字:白膠木
名前の由来:幹を傷つけると出る白い漆のような樹液を器に塗った「塗る手」が転訛した。
樹形:落葉小高木
葉:互生、奇数羽状複葉
花:雌雄異株、円錐花序、白色
花期:8~9月
果実:核果、黄赤色、核は黄褐色
果期:10~11月
備考:
先駆樹種(パイオニアツリー)。陽樹。
<先駆樹種(パイオニアツリー)><シードバンク(埋土種子)>については、アカメガシワの備考参照。
小葉の間の葉軸に翼がある。
ウルシ属のなかでは、ほとんどかぶれない。
枝を切ると白い樹液がにじみ出るウルシ溝が、形成層の外側に並んでいる。
果実の表面に白い結晶(リンゴ酸カルシウム)が浮き出ていて、舐めると塩辛い味がし塩の代用品にした。
日干しにして乾燥させた果実は、生薬の「塩麩子(えんふし)」として、下痢、たん、咳などに用いた。
材は比較的軽い割には耐腐朽性が高く、水を吸いにくいため、杭や農器具、浮き、箱物、シイタケ原木に用い、樹皮は染料に、実から蝋を採り、春の若芽は山菜とした。
<五倍子(ごばいし、ふし)>
葉にヌルデオオミミフシアブラムシ、ヌルデシロアブラムシなどのアブラムシが「虫えい形成物質」を注入して虫えいを作る。この虫えいを採取して乾燥させたものを「五倍子」と呼ぶ。タンニンが多く、染料や写真現像液、インキ、白髪染め、お歯黒の媒染剤に用いた。 -
ニワトコ Sambucus racemosa
ガマズミ科ニワトコ属
漢字:接骨木
別名:セッコツボク(接骨木)
名前の由来:
薬用木として庭に常に植えられたから「庭常(にわとこ)」説、
造木(みやつこぎ:宮仕う木の意味で、小正月に神前などに供した木幣(アイヌの祭具のひとつ)の材料)と呼ばれたものが転訛、
ニワツコギ(庭に植えるウコギ)やニワツウツギ(庭に植えるウツギ)が転訛などあり。
「セッコツボク(接骨木)」は、骨折や打撲の患部への湿布薬の材料として用いた(湿布薬:枝葉や幹を煎じて水あめ状にしたものや黒焼きにしたニワトコとうどん粉、そして酢をまぜたもの)。
樹形:落葉低木
葉:対生、奇数羽状複葉
花:両性花、円錐花序、黄白色
花期:3~5月
果実:液果状の核果、暗赤色
果期:6~8月
備考:
髄が太く発達。枝の中心から押し出せる白い髄は発砲スチロール状で、顕微鏡観察の標本用に薄い切片をカミソリで切り出すときの支持材(ピス)に用いた。
蜜腺は花にはなく、複葉の基部に対になって出るツメのような突起(茎蜜腺)、不規則に見られる小葉基部の突起(小葉蜜腺)、まれに見られる葉軸の突起(葉軸蜜腺)があるが、葉が成長する頃には無くなる。
熟した果実は果実酒の材料に用いる。 -
ニシキギ Euonymus alatus
ニシキギ科ニシキギ属
漢字:錦木
名前の由来:秋の紅葉が錦のように美しい。
樹形:落葉低木
葉:対生
花:両性花、集散花序、淡緑色
花期:5~6月
果実:蒴果、仮種皮は橙赤色
果期:10~11月
備考:
一年枝は緑色で四稜があり、この稜にコルクで硬い茶褐色の翼がある。翼の補強があるため、枝を水平、斜め上に伸ばせる説あり。
翼の発達しないものは「コマユミ」という。
種子は有毒で、昔は毛ジラミを殺すのに用いた。