スイカズラ科ツグバネウツギ属
漢字:衝羽根空木
名前の由来:
「ツクバネ(衝羽根)」は、花が落ちた後も果実の先に5枚の萼片が残り、羽根つきの羽根(衝羽根)に似ている。
「ウツギ(空木)」は、木の姿がウツギに似る。
樹形:落葉低木
葉:対生
花:両性花、集散花序、白色ときに淡黄色や淡紅色
花期:5~6月
果実:瘦果
果期:9~11月
備考:中国原産の「シナツクバネウツギ」との交配種「ハナゾノツクバネウツギ(アベリア)」あり。
カテゴリー: 木本
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ツガ Tsuga sieboldii
マツ科ツガ属
漢字:栂
名前の由来:
木が曲がる意味の「とが」が転訛した説、
枝についた葉が下側に長い葉、上側に短い葉と並ぶことから、「継ぎあう」とか「番(つが)う」を意味する「つがう木(組み合わせる木)」と表現した説、
かつて咎人(とがにん)を張り付ける木として使われたため、トガがツガになった説などあり。
漢字名「栂」は、落葉した葉が厚く堆積して肥料となり台地を育むため、母のごとき木とした説、
楕円形の球果が、母指(おやゆび)ぐらいの大きさ説、
幹から出る白っぽい樹液(樹脂)を母乳に見立てた説など諸説あり。
樹形:常緑高木
花:雌雄同株
花期:4~6月
種子:球果
種期:10月頃
備考:
ツガ属の球果は下垂し、種鱗は脱落しない。
葉は偏平な針状、表面は黄色がかった緑色で艶あり、主脈に沿ってくぼみあり。裏面は二本の白い気孔帯が明瞭、葉先は少しくぼむが、モミのように尖らず丸まっている。
材は針葉樹材の中では重硬で、節やアテ材が比較的多く、加工性は容易ではない。また、ほとんどが天然性のため、成長が遅く、年輪が詰まった美しい柾目面が取れ、建築材としては柱や土台、長押(なげし)や鴨居、床柱に用いられた他、線路の枕木や器具材、指物(さしもの)、家具材、船舶材、彫刻材などにも用いた。
<コメツガとの違い>生息域 若枝 球果の長さ(mm) 果柄 冬芽 ツガ 本州中部標高1600付近
下部無毛、光沢あり 20~30 下向きに曲がる 先端尖り気味 コメツガ 本州中部標高1600付近
上部褐色の短毛あり、光沢なし 15~20 斜め下に曲がる程度 先端丸目気味 -
チドリノキ Acer carpinifolium
ムクロジ科カエデ属
漢字:千鳥の木
別名:ヤマシバカエデ(山柴楓)
名前の由来:翼果の形を千鳥が飛ぶ姿に見立てた。
樹形:落葉高木
葉:対生
花:雌雄異株、総状花序、淡黄色
花期:4~5月
果実:翼果
果期:8~10月
備考:
日本固有種。
黄葉した葉は落葉しにくく、春まで着いているものが多い。 -
ダンコウバイ Lindera obtusiloba
クスノキ科クロモジ属
漢字:檀香梅
名前の由来:
「檀香梅」は、中国原産のロウバイの品種の漢名で、これを和名に転用した説あり。檀香は、白檀(ビャクダン)など香木の総称。材が白檀のような香りがあり、花がウメ(梅)に似ているため転用したらしい。
樹形:落葉低木
葉:互生
花:雌雄異株、散形花序、黄色、芳香あり
花期:2~4月
果実:液果、赤色→黒紫色
果期:9~10月
備考:
葉は、3浅裂の有無の異形葉性を示す。
花、枝を折ったり、葉を揉むと芳香あり。
<アブラチャンとの違い>
アブラチャンの備考参照。 -
タラヨウ Ilex latifolia
モチノキ科モチノキ属
漢字:多羅葉
名前の由来:葉裏面を傷つけると黒変して字が書ける(備考の記事参照)ことを、昔、インドで葉に経文(きょうもん)を書いたバイタラヨウ(貝多羅葉)の葉にたとえた。
樹形:常緑高木
葉:互生
花:雌雄異株、黄緑色
花期:5~6月
果実:核果、赤色
果期:10~12月
備考:
この葉の裏を棒などで引っ掻くと、黒く変色して文字を書くことができる。傷口を黒い物質で固めることで、病原菌の侵入を防ぐ。黒く文字が浮き出るのは、傷つけられた細胞内の酸化酵素が水溶性のタンニンを酸化させ、不溶性のタンニンが生じて黒褐色になるからといわれる。
ネズミモチ、トウネズミモチ、アオキ、ヤツデなどの葉も同様。
「葉書の樹」とも呼ばれ、郵便局のシンボルツリーとなっている。
葉はお茶の代用となり、材は轆轤(ろくろ)細工に用いられる。
モチノキ、ヤマグルマ、クロガネモチ、ナナミノキ、ソヨゴ同様に樹皮から「鳥モチ」が採れる。 -
タラノキ Aralia elata
ウコギ科タラノキ属
漢字:楤木
名前の由来:朝鮮語に由来する説あり。
樹形:落葉低木
葉:互生、2回奇数羽状複葉
花:雌雄同株(枝の上部の花序に両性花、下方の花序に雄花が多い)、複散形花序、淡緑白色
花期:8~9月
果実:液果、黒紫色
果期:9~10月
備考:
とげのある真っ直ぐな幹に、直接葉がついた樹形で、とげが多い(葉柄、葉軸、小葉軸、小葉の表裏にとげあり)。
新芽(タラノメ)は「山菜の王様」や「山のバター」と呼ばれ、脂質とタンパク質が多く栄養価が高い。
最初に出る芽を採っても枯れることはないが、二番目あるいは三番目に出る芽を採ると枯れることがある(三番目採取で6~7割が枯死)。
葉軸基部に接する所の小葉は1枚しかない。
樹皮や根皮は、糖尿や腎臓、胃腸病に用いる。また、根を煎じたものは糖尿病の民間薬、茎にあるトゲは煎じて高血圧、葉は健胃整腸薬として用いた。 -
タムシバ Magnolia salicifolia
モクレン科モクレン属
漢字:田虫葉など
別名:カムシバ(噛柴)、ニオイコブシ(匂辛夷)
名前の由来:
葉を噛むとグリーンガムのような香りと少し甘い味がするので、カムシバ(噛む柴)から転訛した説が有力、
他、花が咲くのを田んぼの準備の目安とした「田の柴」説、
葉にタムシのような斑点ができる「田虫の葉」説あり。
「ニオイコブシ(匂辛夷)」は、枝に含まれた精油成分が香りを発する。
樹形:落葉高木
葉:互生、裏は白色を帯びる
花:両性花、白色、芳香あり
花期:4~5月
果実:袋果が集まった集合果、種子は赤色
果期:10月
備考:コブシの備考参照。 -
タマアジサイ Hydrangea involucrata
アジサイ科アジサイ属
漢字:玉紫陽花
別名:ヤマタバコ(山煙草)
名前の由来:
「タマ(玉)」は、枝の先端の蕾(総苞に包まれた花序)が径2~3cmの球形。
「アジサイ(紫陽花)」は、コアジサイの名前の由来参照。
「ヤマタバコ(山煙草)」は、タバコが品薄だった戦時中に、葉を乾燥させてタバコの葉に混ぜる増量剤として出荷された。
樹形:落葉低木
葉:対生
花:両性花、散房花序、淡紫色、装飾花(萼片4枚)は白色
花期:7~9月
果実:蒴果
果期:9~11月
備考:
葉の両面に硬い毛が密生しザラザラしている。
樹皮は薄く大きくはがれる。