リョウブ科リョウブ属
漢字:令法
名前の由来:律令制の時代(平安時代)に農民にリョウブを植えさせ、葉を救荒食として貯蔵することを命ずる官令が発せられ、この官令(令法)がそのまま名前になった説あり。
樹形:落葉高木
葉:互生、枝先に輪生状につく
花:両性花、総状花序、白色
花期:6~8月
果実:蒴果
果期:10~11月
備考:
若葉を茹でてから陰干しして保存し、ご飯に混ぜたり、粉にした葉を米や粟の粉に混ぜて団子にしたりして食べた。十分乾燥した葉は1年以上保存でき、夏に土用干しして竈(かまど)で燻(いぶ)したものは、5年程度保存が効くため重要な救荒食だった。
樹皮が剥げ落ちた跡が縦に長くはっきりとした模様を描く。
材は緻密で堅く、器具や洋傘の柄、木炭に用いた。また、ヒメシャラやサルスベリなどど同じように皮付き丸太が茶室などの床柱に用いられる。
<同時枝>
腋芽が休眠して越冬することなく主軸と同時に側枝も伸びる(先発枝:腋芽が休眠して越冬した後に伸び出す)。
リョウブの場合は、冬芽の頂芽は大きいが、側芽は発達しない。春、頂芽が伸びて、その先に花序をつけて主軸の伸びが止まる頃、その枝につく葉の葉腋から新しい芽が伸び出してきて側枝となる(同時枝)。花をつけない枝も同様。
このため、木全体の枝振りを見ると太めの枝がほとんどで、枝分かれの頻度も少ない。
カテゴリー: 木本
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リョウブ Clethra barbinervis
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ラクウショウ Taxodium distichum
ヒノキ科ヌマスギ属
漢字:落羽松
別名:ヌマスギ(沼杉)
名前の由来:
小枝ごと落葉する葉が水平に並んでつく様子を鳥の羽に見立てた。
「ヌマスギ(沼杉)」は、沼地などの湿地に生える。
樹形:落葉高木
葉:側枝に互生
花:雌雄同株
花期:3~4月
種子:球果、緑白→褐色、種子は褐色
種期:11~12月
備考:
北アメリカ原産。
地中の根から直立する太い呼吸根(膝根(しっこん))を地上に出す。膝根の由来は、膝を立てたところに似ていることから。
落葉する際は小枝(側枝)ごと落ちる。枝の葉痕のようなものは枝痕。
<メタセコイアとの違い>
メタセコイアの備考参照。 -
ユリノキ Liriodendron tulipifera
モクレン科ユリノキ属
漢字:百合の木
別名:ハンテンボク(半纏木)、チューリップツリー
名前の由来:
大正天皇が皇太子の時に小石川植物園でこの木を見て命名した説、
属名の Liriodendron(lirion ユリ + dendron 木)を「ユリノキ」と訳した説あり。
「ハンテンボク(半纏木)」は、葉を上下ひっくり返すと半纏(はんてん)のように見える。
「チューリップツリー」は、チューリップのような花を咲かせる。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:両性花、黄緑色(基部にオレンジ色の斑紋あり)、萼は緑白色、芳香あり
花期:5~6月
果実:翼果が上向きに集まった集合果
果期:10~3月
備考:
北アメリカ原産。
モクレン科の中では蜜あり。
花弁にあるオレンジ色の斑紋部分から多量の蜜を分泌して、萼片などに溜まり蜜源となる。
葉柄基部の托葉は、大きく目立つ。
材は軽軟だが狂いが少なく、加工性もよく、合板に用いる。 -
ヤマモモ Myrica rubra
ヤマモモ科ヤマモモ属
漢字:山桃
漢名:楊梅(ようばい/ヤンメイ)
名前の由来:
山に生える「モモ」。
「モモ(桃)」は、「桃」のことではなく、「丸い実」を意味する説、
数が多い「百(もも)」を意味し実がたくさん説、
漢名の「楊梅(ヤンメイ)」に丸い実を意味する「モモ」を付けて「ヤンメイモモ」が転訛した説など諸説あり。
樹形:常緑高木
葉:互生、枝先に集まる
花:雌雄異株、無花被花(萼と花冠なし)
花期:3~4月
果実:核果、緑→紅→赤褐色
果期:6~7月
備考:
赤く熟した果肉の部分は、外果皮が液質に肥大したもの?甘酸っぱくて食べられ、ジャムなどに用いた。
樹皮にはタンニンを多く含み、黄~褐色の染料に用いた。
根に根粒菌が共生し、空中窒素を固定するため、痩せた土地でもよく生育する。
枝が伸びすぎず、樹形が自然に整うので街路樹や公園に植えられる。 -
ヤマボウシ Cornus kousa
ミズキ科ミズキ属
漢字:山法師
名前の由来:複合果を(比叡山の)僧兵の頭、白い総苞片を白頭巾に見立てた。
樹形:落葉高木
葉:対生
花:両性花、頭状花、淡黄緑色
花期:5~7月
果実:核果が集まった複合果、紅色
果期:9~10月
備考:
4枚の大きな白色の総苞片(つぼみのとき花序を保護するために囲んでいた苞葉)。中心部に20~30個の小さな花が球状に集まっている。
葉の4~5対ある側脈の走り方はミズキと同じように、わん曲して先端に向かい、葉縁に届かない。
葉裏の脈液に褐色の毛叢あり。
果実は秋に果肉が紅色に熟して甘くなり食べられる。山ではサルなどのフルーツ好きの動物が食べて種子を散布する(鳥には大きすぎる)。
材は重硬で割れにくく、槌や農機具の柄、かんな台、撞木(しゅもく)、水車の歯車、餅つきの杵(きね)材に用いた。
<ハナミズキ(アメリカヤマボウシ)との違い>総苞片の先端 果実 ヤマボウシ 尖る 核果が集まった複合果 ハナミズキ 窪む 核果(単果) <総苞片の先端が異なる理由>
ヤマボウシ:
総苞に包まれた蕾は、早春につくられるので、蕾の先端は寒さの影響がなく、そのまま尖っている。
ハナミズキ:
総苞に包まれた蕾は、前年の秋につくられて冬を越す。冬の寒さで蕾の先端の細胞が壊れてしまい、春に総苞片が開くと、その先に茶色の傷が残って、先がくびれる。 -
ヤマブドウ Vitis coignetiae
ブドウ科ブドウ属
漢字:山葡萄
名前の由来:山に生える「ブドウ」。
樹形:蔓性落葉木本
葉:互生
花:雌雄異株、円錐花序、黄緑色
花期:6~7月
果実:液果、緑→黒紫色
果期:10月頃
備考:
葉は、五角形で長さ、幅とも10~30cmと大きく、基部は深く切れ込み、裏側は赤褐色のフェルトのような毛で覆われている。
果実は、霜が降りる頃には甘くなっておいしい。ジャムやジュース、ワインにする。
蔓の内部繊維は強靭で、綱の代用になる。また、表皮は細く剥いで履き物や編み袋、カバンなど生活用具を作るのに用いた。
<ブドウ属>
葉に対生する巻髭は、2節出て1節出ず(葉のみ)、先は2,3本に分かれる。花序の基部にも巻髭あり。
5個の花弁は先端で互いにくっついているが、下部では花床から離れて落ちる。 -
ヤマブキ Kerria japonica
バラ科ヤマブキ属
漢字:山吹
名前の由来:
しなやかな枝が風に揺れる様子の「山振り」が転訛した説、
春に咲く花が山を黄金色に染める「山春黄」が「山吹」に変化した説、
花の色がフキノトウに似て美しい説など諸説あり。
樹形:落葉低木
葉:互生
花:両性花、黄色
花期:4~5月
果実:瘦果、暗褐色、種子は淡褐色
果期:9月頃
備考:
茎は根本から株立ちし、直立しないでしだれる。
白くて太い髄は「山吹髄」と呼び、釣りの浮きや目印、灯心の代用、玩具の竹鉄砲の弾、顕微鏡用の切片を切り取るピスなどに用いた。
一重咲きのものは結実するが、八重咲きのものは園芸品種で、雄しべが花弁に変化して八重になったもので、雌しべも退化しており結実しない。 -
ヤマハンノキ Alnus hirsuta var. sibirica