アオイ科シナノキ属
漢字:科の木
名前の由来:
アイヌ語で「縛る、結ぶ」を意味する「シナ」説(備考の樹皮繊維の記事参照)、
樹皮が「しなしなしている」「よくしなる」説あり。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:両性花、集散花序、淡黄色
花期:6~7月
果実:堅果
果期:10~11月
備考:
日本固有種。
葉裏は脈液に褐色の毛叢がある。それ以外は無毛。
葉腋から一枚のヘラ状の苞葉をつけた花序を出し、苞葉の中間付近まで、苞葉の主脈と花序の柄は合着している。果実は苞葉により風に乗って種子散布される。
花は甘い香りが強く、蜜は濃厚で良質なため蜂蜜「シナ蜜」とした。
樹皮繊維は縦に裂きやすく強靭で、湿気に強いため、織物(科布(しなぬの))や綱・縄に用いた。
材は軟らかく加工しやすく、材質が均質で狂いにくく安価だが、耐久性は劣るため、シナ合板の他、割り箸、マッチの軸、鉛筆材、アイスクリームのヘラなどに用いた。
カテゴリー: 木本
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シナノキ Tilia japonica
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シナアブラギリ Aleurites fordii
トウダイグサ科アブラギリ属
漢字:支那油桐
名前の由来:
「シナ(支那)」は、中国原産。
「アブラギリ(油桐)」は、葉がキリに似ていて、種子から油(桐油:とうゆ)を採った。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄同株、円錐花序、白色
花期:5月
果実:堅果、種子は4,5個
果期:10~11月
備考:
果実が大きく、アブラギリより桐油がたくさん採れることから、油を採る目的で中国から移入され、野生化している。
葉は楕円形または、3浅裂するものあり。葉身基部に2個蜜腺が隆起している。
種子を乾燥して温庄搾(おんあっさく)して得られる桐油は、和紙に染み込ませて油紙とし、和傘や提灯、雨合羽などに用いたり、印刷用インク、ニスなどにも用いた。毒性あり。
材は床板や下駄材、樹皮はタンニンを多く含むため、革のなめし剤や染色剤に用いた。 -
シキミ Illicium anisatum
マツブサ科シキミ属
漢字:梻/樒
名前の由来:
有毒の実から「悪しき実」の「あ」が取れた説が有力、
他、四季に芽が出ることから「四季芽」が転じた説など諸説あり。
樹形:常緑小高木
葉:互生
花:両性花、黄白色
花期:3~4月
果実:袋果が集まった集合果
果期:9月頃
備考:
葉を日に透かすと細かい油点が多数見え、傷付けると芳香あり。
全体が有毒で、特に実は猛毒(劇物)。
仏花(ぶっか)として、仏檀や墓前に供える。
葉や樹皮は、線香や抹香(まっこう、お焼香で用いられる粉末状のお香)の原料に用いた。 -
サンショウバラ Rosa hirtula
バラ科バラ属
漢字:山椒薔薇
名前の由来:とげの着き方や葉の形が「サンショウ」に似ているバラ。
樹形:落葉小高木
葉:互生、奇数羽状複葉
花:両性花、淡紅色
花期:6月
果実:バラ状果(集合果)
果期:9~10月
備考:富士山周辺の静岡・神奈川・山梨県に分布が限られる準絶滅危惧種。 -
サンショウ Zanthoxylum piperitum
ミカン科サンショウ属
漢字:山椒
名前の由来:古くから辛いものをあらわす「椒」の字をあて、「山の辛味」という意味。
樹形:落葉低木
葉:互生、奇数羽状複葉
花:雌雄異株、円錐花序、淡黄緑色
花期:4~5月
果実:蒴果(2個の分果)、赤褐色、種子は艶のある黒色で強い辛味あり
果期:9~10月
備考:
葉に強い芳香あり。
雄花は「花山椒(はなざんしょう)」として食用にする。
若葉は「木(こ)の芽」と呼ばれ、ツマ、薬味として使われる。葉を手で叩くのは、葉の形を崩さないで油点を壊し香りを出すため。
熟す前の緑の果実は「実山椒(みざんしょう)」と呼ばれ、佃煮にしたり、抗菌作用があるとされ糠床に入れる。
果皮は粉末にして「粉山椒(こさんしょう)」と呼ばれ、薬味や七味唐辛子の材料にする。また、生薬「山椒」として健胃、鎮痛、利尿、駆虫に用いる。
材に解毒作用あるとされ、擂り粉木(すりこぎ)に用いる。
サンショウ属の葉は、アゲハチョウ類の食草。
<イヌザンショウとの違い>
イヌザンショウの葉の匂いは、サンショウのように良いにおいではない。
サンショウのとげは、葉の基部両側に対生してつくのに対して、
イヌザンショウのとげは、1本づつ、葉の位置に関係なく枝に不規則につく。 -
サンゴジュ Viburnum odoratissimum
ガマズミ科ガマズミ属
漢字:珊瑚樹
名前の由来:赤い果実がたくさんつき、果序の枝も赤く染まる様子をサンゴに見立てた。
樹形:常緑小高木
葉:対生
花:両性花、円錐花序、白色
花期:6~7月
果実:核果、赤色→黒色(二色効果)
果期:9~10月
備考:分厚く光沢のある葉は水分が多く燃えにくいことから、防火樹として人家の周りも植えられる。 -
サワラ Chamaecyparis pisifera
ヒノキ科ヒノキ属
漢字:椹
名前の由来:ヒノキに比べ材が「さわらか(軽く粗い)」なので「さわら木」と呼んだ。
樹形:常緑高木
葉:十字対生(小さな鱗のように見えるのが1個の葉)
花:雌雄同株
花期:4月頃
種子:球果
種期:10月頃
備考:
材は軽軟で強度的にはヒノキに劣るが、割裂性に優れ、建具や箱、漆器木地、また、耐水性に優れ、桶や樽材に用いた。
<ヒノキとの葉の違い>
ヒノキの備考参照。 -
サワフタギ Symplocos chinensis var. leucocarpa f. pilosa
ハイノキ科ハイノキ属
漢字:沢蓋木
別名:ルリミノウシコロシ(瑠璃実の牛殺し)、ニシゴリ(錦織木)
名前の由来:
よく枝分かれして横に広がり、沢に蓋をするように生える。
「ルリミノウシコロシ(瑠璃実の牛殺し)」は、牛の鼻輪として「牛の動き」を制御した。
「ニシゴリ(錦織木)」は、木の灰汁(あく)を紫根(しこん)染めの媒染剤に用いた。
樹形:落葉低木
葉:互生
花:両性花、円錐花序、白色
花期:5~6月
果実:核果、瑠璃(藍)色
果期:9~10月
備考:
材は堅くて強靭で、器具材、鎌の柄、細工用のツゲ材の代用に用いた。
<タンナサワフタギとの違い>葉序 葉形 葉先 基部 鋸歯 葉の毛 果実 樹皮 サワフタギ らせん互生 長楕円~倒卵形 短く尖る 楔状に細くなる 細かくて鋭い 両面に毛がありざらつく 青藍色(瑠璃色) 灰褐色・縦に裂ける タンナサワフタギ 2列互生 広倒卵~倒卵形 長く尖る 広い楔状 粗い 裏の脈上に白い毛あり 黒藍色 灰白色・薄片に剥げる -
サワシバ Carpinus cordata
カバノキ科クマシデ属
漢字:沢柴
名前の由来:沢に多く生え、柴(大きくない雑木やその枝)として利用された。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄同株、尾状花序、雄花序 緑黄色、雌花序 緑色
花期:4~5月
果実:堅果が集まった複合果
果期:8~10月
備考:
<クマシデ属の葉と果穂の違い>
イヌシデの備考参照。