モチノキ科モチノキ属
漢字:黒鉄黐
名前の由来:
「クロガネ(黒鉄)」は、若い枝や葉柄が紫黒色を帯び、この色を黒鉄色と見立てた。
「モチ(黐)」は、モチノキに似る。
樹形:常緑高木
葉:互生
花:雌雄異株、散形花序、白または淡紫色
花期:5~6月
果実:核果、赤色
果期:11~12月
備考:モチノキの備考参照。
カテゴリー: 木本
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クリ Castanea crenata
ブナ科クリ属
漢字:栗
名前の由来:実が黒褐色になるので「黒い実」→「黒実(くろみ)」→「くろ」が転じた説が有力。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄同株、雄花 穂状花序(尾状花序)、雌花 雄花穂の基部につく
花期:5~6月
果実:堅果、とげのある総苞(いが)に包まれ熟すと4裂する
果期:秋
備考:
果実は、コナラ属のようにタンニンが含まれていないため、生でも食べられる。
ブナ属、コナラ属が風媒花であるのに対して、虫媒花であり強い香りあり(男性の前立腺腋に含まれるスペルミンに例えられる)。
材は強度に優れ水湿に強く耐久性があることから、建築の土台、風呂などの水回り材、鉄道の枕木や鉱山の杭木(くいき)として用いられた。木目も美しいので、家具、器具、漆器木地などにも用いられた。
乾燥させた葉や樹皮、いがは煎じて、やけどやあせも、ウルシかぶれの患部洗浄に用いた。
クリタマバチ(体長3mm程度の中国原産のハチ)が、7月頃、葉のつけ根にある越冬芽に産卵し、翌年の4月頃から芽を寄生肥大させて虫えいをつくる。枯れる原因になっている。
鬼皮に穴の空いたものあり。クリシギゾウムシが、10月頃、鬼皮と渋皮の間に産卵したもの。幼虫が果実を食べ、老熟した幼虫は10月下旬に果実を脱出して土中に潜って越冬し、2、3年後の秋に成虫になる。
<二重雌雄異熟性(雄花穂の雄花→雄雌花穂の雌花→雄雌花穂の雄花)>
雄雌花穂は花穂の付け根に雌花あり。自家不和合性で他家受粉。周囲の雄花穂が咲き終わったころに雌花のついた花序が開花して、他のクリの花粉を着けた虫が雌花の上を通って、雄花に来るのを待つ。
<クヌギとの違い>とげ状の鋸歯の先端 側脈の数 葉の裏 冬芽の先端 クリ 緑色(葉緑素あり)で短い 20対前後 腺点あり 丸い(クリ属) クヌギ 茶色で長い クリより少ない 腺点なし 尖る(コナラ属) -
クマシデ Carpinus japonica
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クヌギ Quercus acutissima
ブナ科コナラ属
漢字:橡、椚など
名前の由来:
日本書紀の伝承説話からきた「国木(くにき)」説、
ドングリが食べられることから「食之木(くのき)」説、
葉の形がクリによく似ていることから「栗似木(くりにぎ)」説など諸説あり。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄同株
花期:4~5月
果実:堅果、褐色、殻斗は大型の椀形で線形の長い鱗片が密生
果期:翌年の秋
備考:
シイタケの原木栽培のほだ木や薪炭材として用いられる。萌芽力があるため、適当な太さになる15~20年生で伐採して、その後の更新は萌芽で行う。
クワガタやカブトムシは、この木の樹液を最も好む。
<クリとの違い>
クリの備考参照。 -
クチナシ Gardenia jasminoides
アカネ科アリドオシ属
漢字:梔子
名前の由来:
果実が熟しても裂開しないので「口無し」説、
宿存するくちばし状の萼をクチ、細かい種子のある果実をナシに見立てた説など諸説あり。
漢字名「梔子」は、中国の酒器徳利「巵(し)」の形に似ているため、これに木偏をつけた。
樹形:常緑低木
葉:対生
花:両性花、白色
花期:6~7月
果実:液果、橙色/紅黄色、先端に6個の萼片が残る
果期:11~12月
備考:
花の香りがジャスミンに似ている。芳香は真夜中が一番強くなり、夜行性昆虫を引き寄せるためと考えられている。
花は刺身のツマや、酢の物として食用にできる。花弁は僅かに甘味があり、生でも火を通しても食べられる。
果実は黄色染料として布地の染色に用いられた。
無毒なため、近年は食品(栗、きんとん、たくあんなど)の天然着色料に用いられる。
また、生薬の山梔子(さんしし)として、消炎、利尿、止血などに用いる。
碁盤の脚はクチナシの実を象(かたど)ってある。勝負に横から口を挟むのを戒めているという意味。 -
クスノキ Cinnamomum camphora
クスノキ科クスノキ属
漢字:樟
名前の由来:
霊妙、神秘的な木「奇(くす)し木」が語源など諸説あり。
他「臭い木」、「くすぼる木」、「薬の木」、「久須(くす)は朽ちず」の略など。
樹形:常緑高木
葉:互生
花:両性花、円錐花序、黄緑色
花期:5~6月
果実:液果、黒紫色
果期:10~11月
備考:
葉を揉んで嗅ぐと「樟脳」の香りがする。病害虫を防ぐため。
材や枝葉を蒸留して樟脳を生産し、防虫、防臭剤などに用いた。
アオスジアゲハの幼虫は解毒でき、クスノキなどクスノキ科の植物の葉を食べる。
大半の葉は、新芽が伸びる初夏前後に紅葉して1年ほどで落葉する。他の常緑樹の葉のように厚く丈夫にする必要がなく薄いため、光の透過性がよく、光合成の効率がよくなり成長が早い。
材は緻密で軽く加工しやすい。強い芳香があり、建築構造材には使われないが、建築内装、家具、玩具、彫刻材、木魚などに用いられる。
<ダニ部屋/室(ドマティア)>
葉の三行脈の起点付近に小さな一対のふくらみがあり、ここに草食性のフシダニが潜んでいる。フシダニはクスノキにとっては害が少ないため、ダニ部屋にフシダニを住まわせることにより、肉食性のダニをおびき寄せて、他の草食性のダニも含めて食べてもらっている説あり。 -
クサギ Clerodendrum trichotomum
シソ科クサギ属
漢字:臭木
名前の由来:葉や枝をちぎると強い臭気がある。
樹形:落葉小高木
葉:対生
花:両性花、集散花序、花冠 白色 萼 紅紫色、甘い芳香あり
花期:7~9月
果実:核果、藍色
果期:10~11月
備考:
若葉(新芽)は天ぷらなどの山菜になる。
若い枝や葉の脈に軟毛が生えている。
垂直方向につく葉の葉柄は、上側の葉は短く、下側の葉は長くせり上がり平面に並んでいる。1枚1枚の葉が重ならないように配置され、光合成を効率よく行う仕組み。
果実が藍色、開いた萼の内側が紅色で、鳥に目立つ「二色効果」あり。
夏の葉は小枝ごと刈り取って乾燥させ、煎液をつくってリウマチや高血圧症、腫れ物、痔に用いた。
根皮は利尿、健胃剤に用いた。
果実は青色の染料として用いた。
<雄性先熟>
自家受粉を避ける仕組み。
雄性期:最初に4本の雄しべが伸びて、1本の長い雌しべは下にうなだれている。
雌性期:雄しべがしおれると、雌しべが起き上がって伸び始める。