マメ科ハギ属
漢字:山萩
名前の由来:
山に生える「ハギ」。
「ハギ(萩)」は、古い株から芽を出す生え芽(はえき)から転訛した説あり。
樹形:落葉低木
葉:互生、3出複葉
花:両性花、蝶形花、総状花序、紅紫色
花期:7~9月
果実:豆果
果期:10~11月
備考:
秋の七草の1つ。
<マルバハギとの違い>
ヤマハギの花序は葉より長く突出する。マルバハギの花序は葉より短く葉に抱かれているように見える。
カテゴリー: 木本
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ヤマツツジ Rhododendron kaempferi
ツツジ科ツツジ属
漢字:山躑躅
名前の由来:
山に生える「ツツジ」。
「ツツジ(躑躅)」は、たくさんの花が咲く様子から「続き咲き(ツヅキサキ)」が転訛した説、
花の筒形で長いオシベが出ていることから「筒咲」が転訛した説など諸説あり。
漢字の「躑躅」は「てきちょく」と読み、「足踏みをする」「たたずむ」「ためらう」「立ち止まる」意味。
この字がツツジにあてられたのは、中国で毒性のあるシナレンゲツツジの葉を羊が食べて足ぶみしてもがいたり、毒であることを知っている羊はシナレンゲツツジを見ると足踏みして進まなくなることに由来している説や、人が足を止めて見とれてしまうような美しさだからという説あり。
樹形:半落葉低木
葉:互生、枝先に集まってつく
花:両性花、朱色(上面に濃紅色の斑点あり)
花期:4~5月
果実:蒴果
果期:8~10月
備考:
<ほのかに甘い蜜>
ツツジのロート形の花びらを抜いて根本を舐めるとほのかに甘い味がする。ただし、レンゲツツジ及びキレンゲツツジは毒があるので注意が必要。
<蝶をターゲット>
ツツジの花は、花冠の上の裂片に蜜標あり。
雌しべも雄しべも少し上向きに湾曲している。蝶をターゲットにしたもの。蝶が飛来した時、雌しべが最も長いため、蝶の体に着いている他の花の花粉がつく。花に近づくと、雄しべの先から花粉がずるずると引き出され新たに体につく。
<半落葉(半常緑)>
春出る葉は秋には落葉し、夏~秋に出る葉も翌年の春には新しい葉が出ると落葉し、1枚の葉が1年間着いていない。
ヤマツツジ節はすべて半落葉。ミツバツツジやレンゲツツジは落葉。
<ツツジ型菌根(エリコイド菌根)>
ツツジ類やシャクナゲなどは、多量の鉄分等を要求するため酸性土壌を好む。このために根に菌根を形成する。酸性土壌で植物に害作用を示す重金属類の吸収を抑制するため、ツツジ類が岩場や泥炭、火山灰など酸性条件下で生育できる。 -
ヤマコウバシ Lindera glauca
クスノキ科クロモジ属
漢字:山香し
名前の由来:
山に生える「コウバシ」。
「コウバシ(香し)」は、枝を折ると良い香りがする?
樹形:落葉低木
葉:互生
花:雌雄異株(雄株なし)、散形花序、淡黄色
花期:4月
果実:液果、黒色、多少辛味あり
果期:10~11月
備考:
クロモジの仲間は黄葉するが、ヤマコウバシは紅葉する。
紅葉が進むと茶色く枯れるが落葉せずに冬を越し、春に新葉の展開とともに落葉する。「落ちない葉っぱ」は、受験生のお守りとされることもある。
<アブラチャンとの違い>
アブラチャンの備考参照。 -
ヤマグワ Morus australis
クワ科クワ属
漢字:山桑
別名:クワ(桑)
名前の由来:
山に生える「クワ」。
「クワ(桑)」は、カイコ(蚕)の「食葉(くは)」、あるいは、「蚕葉(こは)」が転訛した説が有力。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄異株、穂状花序、単花被花(花冠なし萼のみ)、淡黄色
花期:4~5月
果実:クワ状果(瘦果の集まった複合果)、赤色→黒紫色
果期:6~7月
備考:
マグワの葉は、養蚕のカイコの餌として知られる。ヤマグワの葉はマグワの代用として用いた。
同じ枝に着く葉に、裂け目のあるものとないものがある異形葉。
葉身基部は側脈から始まり、葉面は基部から少し離れて張り出す。
果実は赤色から黒紫色に熟して、甘くておいしい。
材は重硬・強靭で、床柱、高級な家具材、琵琶や三味線などの和楽器、碁笥(ごけ)などに用いられる。
<クワ科の植物>
若い枝や葉を傷つけると白い乳液が出る。虫の食害や微生物、菌などの侵入から身を守る(カイコはこの防御機構を克服した)。
<ヒメコウゾとの違い>
花や果実で見分けられる。花や果実がない時期(夏~秋)冬芽 葉 ヤマグワ 芽鱗4~7個
枝に密着しないー ヒメコウゾ 芽鱗2個
枝に密着するヤマグワに比べて
・薄い
・葉柄に毛がある
・鋸歯が細かい<マグワとの違い>
葉 花柱 果実 ヤマグワ 先端が尾状に尖る 長くY字形になる マグワに比べて
・小さい
・長い花柱が残るマグワ 先端は尖らない 短くV字形になる ー -
ヤマグルマ Trochodendron aralioides
ヤマグルマ科ヤマグルマ属
漢字:山車
別名:トリモチノキ
名前の由来:
山に生え、枝先の葉が車輪状。
「トリモチノキ」は、樹皮から良質の鳥もちが採れた。
樹形:常緑高木
葉:互生、枝先に輪生状に集まってつく
花:両性花、総状花序、無花被花(萼と花冠なし)、黄緑色
花期:5~6月
果実:袋果が集まった集合果
果期:10月頃
備考:
枝先に集まる葉は、下のものが大きくて葉柄も長く、上のものほど葉身が小さく葉柄も短くなっており、重ならないでどの葉にも日が当たるようになっている。
広葉樹に普通な道管がなく「無孔材」といい、針葉樹と同じ仮道管のみ。
<雌雄異熟性>
「雄性先熟」と「雌性先熟」の2種類の株あり。自家受粉を避ける仕組み。 -
ヤマウルシ Rhus trichocarpa
ウルシ科ウルシ属
漢字:山漆
名前の由来:
山に生える「ウルシ」。
「ウルシ(漆)」は、幹に傷をつけると汁(樹液)がしたたることから「潤液(うるしる)」から説、
「塗液(ぬるしる)」が転訛した説など諸説あり。
樹形:落葉低木
葉:互生、奇数羽状複葉
花:雌雄異株、円錐花序、黄緑色
花期:5~6月
果実:核果、粗い毛が密に生える、黄褐色
果期:9~10月
備考:
樹液にウルシオールなどを含み、触れるとかぶれやすい。
若い茎の小葉は粗い鋸歯があるが、古い茎の小葉は全縁。
<ヤマハゼ、ハゼノキ、ヌルデとの違い>葉軸、小葉 幼木の小葉 果実 冬芽 葉痕 ヤマウルシ 葉軸、小葉柄に軟毛が密生、
葉裏の脈上に軟毛が密生
小葉の側脈が主脈と直角に近い角度粗い鋸歯あり 外果皮が刺毛に覆われる 頂芽があり冬芽は裸芽、やや短く円錐~球形で、毛は短い 三角~ハート形で側芽の下 ヤマハゼ 葉軸の上面に軟毛が密生、
葉裏に毛が散生
小葉の側脈が主脈に対してやや鋭角全縁 無毛 頂芽があり冬芽は裸芽、少し長い卵形で、毛は長い 同上 ハゼノキ 無毛 同上 同上 頂芽があり冬芽に芽鱗あり、先端は尖る、無毛 同上 ヌルデ 葉表は主脈以外は無毛、葉裏は軟毛が密生、小葉の間の葉軸に翼あり 粗い鈍鋸歯 外果皮に茶褐色の細毛が密生 頂芽がなく仮頂芽で冬芽に芽鱗あり U/V字形で側芽を囲む -
ヤブムラサキ Callicarpa mollis
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ヤブニッケイ Cinnamomum japonicum
クスノキ科クスノキ属
漢字:藪肉桂
名前の由来:
藪に生える「ニッケイ」。
「ニッケイ(肉桂)」は、中国語由来で日本語の音読み。中国では香木を「桂」と呼び、その中で樹皮の肉厚なシナモン類やその樹皮を肉桂と呼んだ。
樹形:常緑高木
葉:互生
花:両性花、散形花序、淡黄緑色
花期:6月
果実:液果、黒紫色
果期:10~11月
備考:
クスノキ科の樹木には、樹皮や葉に独特の香りがあるが、その中で香りが最も強い。
クスノキ同様、アオスジアゲハの幼虫の食用。
種子からは精油をとり、樹皮や葉はリウマチや腰痛、痛風、打撲の薬に用いる。
材はクスノキより少し緻密で、器具や家具などに用いる。
<ニッケイとの葉の違い>三行脈の側脈(ニ枝脈) 裏面 ヤブニッケイ 葉の肩先付近でなくなる 無毛で淡い緑色 ニッケイ 葉の先端付近に達する 伏毛が密生して粉白色
明確な肉桂の香りあり<クスノキ、ヤブニッケイ、ニッケイ、シロダモ、イヌガシの違い>
葉序 葉の特徴 花の色 花の雌雄 果実の色 クスノキ ‐ 三行脈の交点にダニ部屋あり 淡黄緑色~黄褐色 両性花 黒色 ヤブニッケイ 間隔を空けて不規則な互生状 ‐ 同上 同上 同上 ニッケイ ‐ ‐ 同上 同上 同上 シロダモ 枝から輪生状 若葉は黄褐色の絹毛でおおわれ下垂
成葉の裏面はロウ質で灰白色同上 単性花花/異株 赤色 イヌガシ ‐ 最も細長く、先が鋭く尖る
裏面はロウ質のため粉白色
他のような香りなし暗紅紫色 両性花 黒色 -
ヤブデマリ Viburnum plicatum var.tomentosum