【注意】備忘録。内容に誤りがある可能性あり。

カテゴリー: 木本

  • ヤマボウシ Cornus kousa

    ミズキ科ミズキ属
    漢字:山法師
    名前の由来:複合果を(比叡山の)僧兵の頭、白い総苞片を白頭巾に見立てた。
    樹形:落葉高木
    葉:対生
    花:両性花、頭状花、淡黄緑色
    花期:5~7月
    果実:核果が集まった複合果、紅色
    果期:9~10月
    備考:
    4枚の大きな白色の総苞片(つぼみのとき花序を保護するために囲んでいた苞葉)。中心部に20~30個の小さな花が球状に集まっている。
    葉の4~5対ある側脈の走り方はミズキと同じように、わん曲して先端に向かい、葉縁に届かない。
    葉裏の脈液に褐色の毛叢あり。
    果実は秋に果肉が紅色に熟して甘くなり食べられる。山ではサルなどのフルーツ好きの動物が食べて種子を散布する(鳥には大きすぎる)。
    材は重硬で割れにくく、槌や農機具の柄、かんな台、撞木(しゅもく)、水車の歯車、餅つきの杵(きね)材に用いた。
    <ハナミズキ(アメリカヤマボウシ)との違い>

    総苞片の先端果実
    ヤマボウシ尖る核果が集まった複合果
    ハナミズキ窪む核果(単果)

    <総苞片の先端が異なる理由>
    ヤマボウシ:
    総苞に包まれた蕾は、早春につくられるので、蕾の先端は寒さの影響がなく、そのまま尖っている。
    ハナミズキ:
    総苞に包まれた蕾は、前年の秋につくられて冬を越す。冬の寒さで蕾の先端の細胞が壊れてしまい、春に総苞片が開くと、その先に茶色の傷が残って、先がくびれる。

    ヤマボウシ
    20230502_高山・市民の森
    ヤマボウシ
    20230502_高山・市民の森
    ヤマボウシ
    20230502_高山・市民の森
    ヤマボウシ
    20230619_富士山こどもの国
    ヤマボウシ
    20230619_富士山こどもの国
    ヤマボウシ
    20230619_富士山こどもの国
    ヤマボウシ
    20240303_高山・市民の森
    ヤマボウシ
    20240303_高山・市民の森
    ヤマボウシ
    20240517_竜爪山
    ヤマボウシ
    20240517_竜爪山
    ヤマボウシ
    20240517_竜爪山
    ヤマボウシ
    20240614_高山・市民の森
    ヤマボウシ
    20240614_高山・市民の森
    ヤマボウシ
    20240614_高山・市民の森
  • ヤマブドウ Vitis coignetiae

    ブドウ科ブドウ属
    漢字:山葡萄
    名前の由来:山に生える「ブドウ」。
    樹形:蔓性落葉木本
    葉:互生
    花:雌雄異株、円錐花序、黄緑色
    花期:6~7月
    果実:液果、緑→黒紫色
    果期:10月頃
    備考:
    葉は、五角形で長さ、幅とも10~30cmと大きく、基部は深く切れ込み、裏側は赤褐色のフェルトのような毛で覆われている。
    果実は、霜が降りる頃には甘くなっておいしい。ジャムやジュース、ワインにする。
    蔓の内部繊維は強靭で、綱の代用になる。また、表皮は細く剥いで履き物や編み袋、カバンなど生活用具を作るのに用いた。
    <ブドウ属>
    葉に対生する巻髭は、2節出て1節出ず(葉のみ)、先は2,3本に分かれる。花序の基部にも巻髭あり。
    5個の花弁は先端で互いにくっついているが、下部では花床から離れて落ちる。

    ヤマブドウ
    20230724_八島湿原
    ヤマブドウ
    20230724_八島湿原
    ヤマブドウ
    20231101_清里自然歩道
    ヤマブドウ
    20240719_富士山太郎坊周辺
    ヤマブドウ
    20240719_富士山太郎坊周辺
  • ヤマブキ Kerria japonica

    バラ科ヤマブキ属
    漢字:山吹
    名前の由来:
    しなやかな枝が風に揺れる様子の「山振り」が転訛した説、
    春に咲く花が山を黄金色に染める「山春黄」が「山吹」に変化した説、
    花の色がフキノトウに似て美しい説など諸説あり。
    樹形:落葉低木
    葉:互生
    花:両性花、黄色
    花期:4~5月
    果実:瘦果、暗褐色、種子は淡褐色
    果期:9月頃
    備考:
    茎は根本から株立ちし、直立しないでしだれる。
    白くて太い髄は「山吹髄」と呼び、釣りの浮きや目印、灯心の代用、玩具の竹鉄砲の弾、顕微鏡用の切片を切り取るピスなどに用いた。
    一重咲きのものは結実するが、八重咲きのものは園芸品種で、雄しべが花弁に変化して八重になったもので、雌しべも退化しており結実しない。

    ヤマブキ
    20220410_朝鮮岩
    ヤマブキ
    20220410_朝鮮岩
    ヤマブキ
    20220410_朝鮮岩
  • ヤマハンノキ Alnus hirsuta var. sibirica

    カバノキ科ハンノキ属
    漢字:山榛の木
    名前の由来:
    山に生える「ハンノキ」。
    「ハンノキ(榛の木)」は、ハンノキの名前の由来参照。
    樹形:落葉高木
    葉:互生
    花:雌雄同株
    花期:4月
    果実:堅果が集まった複合果
    果期:10~11月?
    備考:
    枝葉や冬芽などの毛が多い「ケヤマハンノキ(毛山榛の木)」の変種。
    <ハンノキ属の根粒菌(放線菌)による窒素固定>
    ハンノキの備考参照。

    ケヤマハンノキ
    20240527_清泉寮周辺自然歩道
    ケヤマハンノキ
    20240527_清泉寮周辺自然歩道
    ケヤマハンノキ
    20240527_清泉寮周辺自然歩道
    ヤマハンノキ
    20240603_清泉寮周辺自然歩道
    ヤマハンノキ
    20240603_清泉寮周辺自然歩道
    ヤマハンノキ
    20240719_富士山太郎坊周辺
    ヤマハンノキ
    20240719_富士山太郎坊周辺
    ヤマハンノキ
    20240719_富士山太郎坊周辺
    ヤマハンノキ
    20240719_富士山太郎坊周辺
  • ヤマハゼ Rhus sylvestris

    ウルシ科ウルシ属
    漢字:山櫨
    名前の由来:
    山に生える「ハゼ」。
    「ハゼ(櫨)」は、ハゼノキの名前の由来参照。
    樹形:落葉小高木
    葉:互生、奇数羽状複葉
    花:雌雄異株、円錐花序、黄緑色
    花期:5~6月
    果実:核果、黄褐色
    果期:10~11月
    備考:
    樹液に触れるとかぶれやすい。
    ヤマウルシ、ハゼノキ、ヌルデとの違いは、ヤマウルシの備考参照。

    ヤマハゼ
    20231016_県立森林公園
    ヤマハゼ
    20231016_県立森林公園
    ヤマハゼ
    20231016_県立森林公園
  • ヤマハギ Lespedeza bicolor

    マメ科ハギ属
    漢字:山萩
    名前の由来:
    山に生える「ハギ」。
    「ハギ(萩)」は、古い株から芽を出す生え芽(はえき)から転訛した説あり。
    樹形:落葉低木
    葉:互生、3出複葉
    花:両性花、蝶形花、総状花序、紅紫色
    花期:7~9月
    果実:豆果
    果期:10~11月
    備考:
    秋の七草の1つ。
    <マルバハギとの違い>
    ヤマハギの花序は葉より長く突出する。マルバハギの花序は葉より短く葉に抱かれているように見える。

    ヤマハギ
    20240918_箱根湿生花園
    ヤマハギ
    20240918_箱根湿生花園
    ヤマハギ
    20240918_箱根湿生花園
    ヤマハギ
    20240918_箱根湿生花園
  • ヤマツツジ Rhododendron kaempferi

    ツツジ科ツツジ属
    漢字:山躑躅
    名前の由来:
    山に生える「ツツジ」。
    「ツツジ(躑躅)」は、たくさんの花が咲く様子から「続き咲き(ツヅキサキ)」が転訛した説、
    花の筒形で長いオシベが出ていることから「筒咲」が転訛した説など諸説あり。
    漢字の「躑躅」は「てきちょく」と読み、「足踏みをする」「たたずむ」「ためらう」「立ち止まる」意味。
    この字がツツジにあてられたのは、中国で毒性のあるシナレンゲツツジの葉を羊が食べて足ぶみしてもがいたり、毒であることを知っている羊はシナレンゲツツジを見ると足踏みして進まなくなることに由来している説や、人が足を止めて見とれてしまうような美しさだからという説あり。
    樹形:半落葉低木
    葉:互生、枝先に集まってつく
    花:両性花、朱色(上面に濃紅色の斑点あり)
    花期:4~5月
    果実:蒴果
    果期:8~10月
    備考:
    <ほのかに甘い蜜>
    ツツジのロート形の花びらを抜いて根本を舐めるとほのかに甘い味がする。ただし、レンゲツツジ及びキレンゲツツジは毒があるので注意が必要。
    <蝶をターゲット>
    ツツジの花は、花冠の上の裂片に蜜標あり。
    雌しべも雄しべも少し上向きに湾曲している。蝶をターゲットにしたもの。蝶が飛来した時、雌しべが最も長いため、蝶の体に着いている他の花の花粉がつく。花に近づくと、雄しべの先から花粉がずるずると引き出され新たに体につく。
    <半落葉(半常緑)>
    春出る葉は秋には落葉し、夏~秋に出る葉も翌年の春には新しい葉が出ると落葉し、1枚の葉が1年間着いていない。
    ヤマツツジ節はすべて半落葉。ミツバツツジやレンゲツツジは落葉。
    <ツツジ型菌根(エリコイド菌根)>
    ツツジ類やシャクナゲなどは、多量の鉄分等を要求するため酸性土壌を好む。このために根に菌根を形成する。酸性土壌で植物に害作用を示す重金属類の吸収を抑制するため、ツツジ類が岩場や泥炭、火山灰など酸性条件下で生育できる。

    ヤマツツジ
    20220508_高山・市民の森
    ヤマツツジ
    20220508_高山・市民の森
    ヤマツツジ
    20230502_高山・市民の森
    ヤマツツジ
    20230502_高山・市民の森
    ヤマツツジ
    20240527_清泉寮周辺自然歩道
    ヤマツツジ
    20240527_清泉寮周辺自然歩道
    ヤマツツジ
    20240527_清泉寮周辺自然歩道
    ヤマツツジ
    20240527_清泉寮周辺自然歩道
  • ヤマコウバシ Lindera glauca

    クスノキ科クロモジ属
    漢字:山香し
    名前の由来:
    山に生える「コウバシ」。
    「コウバシ(香し)」は、枝を折ると良い香りがする?
    樹形:落葉低木
    葉:互生
    花:雌雄異株(雄株なし)、散形花序、淡黄色
    花期:4月
    果実:液果、黒色、多少辛味あり
    果期:10~11月
    備考:
    クロモジの仲間は黄葉するが、ヤマコウバシは紅葉する。
    紅葉が進むと茶色く枯れるが落葉せずに冬を越し、春に新葉の展開とともに落葉する。「落ちない葉っぱ」は、受験生のお守りとされることもある。
    アブラチャンとの違い>
    アブラチャンの備考参照。

    ヤマコウバシ
    20220911_高山・市民の森
    ヤマコウバシ
    20220911_高山・市民の森
    ヤマコウバシ
    20220911_高山・市民の森
    ヤマコウバシ
    20221120_高山・市民の森
    ヤマコウバシ
    20221120_高山・市民の森
    ヤマコウバシ
    20230702_高山・市民の森
    ヤマコウバシ
    20230702_高山・市民の森
    ヤマコウバシ
    20230702_高山・市民の森
    ヤマコウバシ
    20231001_高山・市民の森
    ヤマコウバシ
    20231001_高山・市民の森
    ヤマコウバシ
    20231202_高山・市民の森
    ヤマコウバシ
    20231202_高山・市民の森
    ヤマコウバシ
    20231202_高山・市民の森
    ヤマコウバシ
    20250309_高山・市民の森
    ヤマコウバシ
    20250309_高山・市民の森
  • ヤマグワ Morus australis

    クワ科クワ属
    漢字:山桑
    別名:クワ(桑)
    名前の由来:
    山に生える「クワ」。
    「クワ(桑)」は、カイコ(蚕)の「食葉(くは)」、あるいは、「蚕葉(こは)」が転訛した説が有力。
    樹形:落葉高木
    葉:互生
    花:雌雄異株、穂状花序、単花被花(花冠なし萼のみ)、淡黄色
    花期:4~5月
    果実:クワ状果(瘦果の集まった複合果)、赤色→黒紫色
    果期:6~7月
    備考:
    マグワの葉は、養蚕のカイコの餌として知られる。ヤマグワの葉はマグワの代用として用いた。
    同じ枝に着く葉に、裂け目のあるものとないものがある異形葉。
    葉身基部は側脈から始まり、葉面は基部から少し離れて張り出す。
    果実は赤色から黒紫色に熟して、甘くておいしい。
    材は重硬・強靭で、床柱、高級な家具材、琵琶や三味線などの和楽器、碁笥(ごけ)などに用いられる。
    <クワ科の植物>
    若い枝や葉を傷つけると白い乳液が出る。虫の食害や微生物、菌などの侵入から身を守る(カイコはこの防御機構を克服した)。
    ヒメコウゾとの違い>
    花や果実で見分けられる。花や果実がない時期(夏~秋)

    冬芽
    ヤマグワ芽鱗4~7個
    枝に密着しない
    ヒメコウゾ芽鱗2個
    枝に密着する
    ヤマグワに比べて
    ・薄い
    ・葉柄に毛がある
    ・鋸歯が細かい

    <マグワとの違い>

    花柱果実
    ヤマグワ先端が尾状に尖る長くY字形になるマグワに比べて
    ・小さい
    ・長い花柱が残る
    マグワ先端は尖らない短くV字形になる
    ヤマグワ
    20220613_高山・市民の森
    ヤマグワ
    20220613_高山・市民の森
    ヤマグワ
    20220613_高山・市民の森
    ヤマグワ
    20220619_遊木の森
    ヤマグワ
    20220619_遊木の森
    ヤマグワ
    20220619_遊木の森
    ヤマグワ
    20230702_高山・市民の森
    ヤマグワ
    20230705_遊木の森
    ヤマグワ
    20230705_遊木の森
    ヤマグワ
    20240421_遊木の森
    ヤマグワ
    20240421_遊木の森
    ヤマグワ
    20240614_高山・市民の森
    ヤマグワ
    20240614_高山・市民の森
    ヤマグワ
    20240614_高山・市民の森
    ヤマグワ
    20250404_県立美術館
    ヤマグワ
    20250404_県立美術館
    ヤマグワ
    20250404_県立美術館
  • ヤマグルマ Trochodendron aralioides

    ヤマグルマ科ヤマグルマ属
    漢字:山車
    別名:トリモチノキ
    名前の由来:
    山に生え、枝先の葉が車輪状。
    「トリモチノキ」は、樹皮から良質の鳥もちが採れた。
    樹形:常緑高木
    葉:互生、枝先に輪生状に集まってつく
    花:両性花、総状花序、無花被花(萼と花冠なし)、黄緑色
    花期:5~6月
    果実:袋果が集まった集合果
    果期:10月頃
    備考:
    枝先に集まる葉は、下のものが大きくて葉柄も長く、上のものほど葉身が小さく葉柄も短くなっており、重ならないでどの葉にも日が当たるようになっている。
    広葉樹に普通な道管がなく「無孔材」といい、針葉樹と同じ仮道管のみ。
    <雌雄異熟性>
    「雄性先熟」と「雌性先熟」の2種類の株あり。自家受粉を避ける仕組み。

    ヤマグルマ
    20240911_箱根湿生花園
    ヤマグルマ
    20240911_箱根湿生花園
    ヤマグルマ
    20240911_箱根湿生花園