【注意】備忘録。内容に誤りがある可能性あり。

カテゴリー: 木本

  • イヌビワ Ficus erecta

    クワ科イチジク属
    漢字:犬枇杷
    名前の由来:ビワに似た実はビワより小さく味が劣る。
    樹形:落葉小高木
    葉:互生
    花:雌雄異株、小花は帯紅色
    花期:4~5月
    果実:イチジク状果(瘦果の集まった複合果)、黒紫色
    果期:10~11月
    備考:
    枝には一周する托葉痕あり。
    イチジク属の枝葉、花嚢を傷つけると白い乳液が出る。虫の食害や微生物、菌などの侵入から身を守る。
    果実に見えるのは「花嚢」で、花托が発達して袋状になり、内側に小さな花がたくさん着いたもの。
    <クワ科の植物>
    ヤマグワの備考参照。
    <受粉方法>
    イチジク属の植物とコバチ(絶対送粉共生)
    イチジク属のすべての種は、それぞれ特定の種類のイチジクコバチというハチと一対一の共生関係を築いている。コバチはイチジクの花に産卵して繁殖するお返しに、花粉の媒介をしてあげるという相利共生関係がある。
    イヌビワとイヌビワコバチ(体長2mm程度)の場合
    【雌が雄花嚢へ達した場合】
    雄花嚢は、雄花と虫えい花(ダミーの雌花)が混在。
    雌が雌しべの短い虫えい花に産卵。
    虫えい花は幼虫の餌用で、幼虫は花の内部組織を食べて育ち越冬する。
    羽化すると、雄は羽化する前の雌と交尾して死ぬ。
    雌は歩き回って花粉をたくさん付けた後、産卵のために、他の花嚢を探しに外へ飛び立つ。
    【雌が雌花嚢へ達した場合】
    雌花嚢は、雌花のみ。
    雌は雌花の雌しべが細く長いため、産卵管が奥に届かず産卵できない。
    花嚢に入る際、雌の翅は取れてしまうため、一度入った花嚢から出られない。
    雌花嚢の中を産卵場所を探すために歩き回ることで受粉して実る。
    黒紫色に熟した雌果嚢は甘く食べられる。
    一匹以上の死んだ雌バチが入っている?

    イヌビワ
    20211030_遊木の森
    イヌビワ
    20220410_満観峰
    イヌビワ
    20220410_満観峰
    イヌビワ
    20220410_満観峰
    イヌビワ
    20220619_遊木の森
    イヌビワ
    20220619_遊木の森
    イヌビワ
    20220619_遊木の森
    イヌビワ
    20240310_満観峰・朝鮮岩
    イヌビワ
    20240310_満観峰・朝鮮岩
    イヌビワ
    20250404_県立美術館
    イヌビワ
    20250404_県立美術館
    イヌビワ
    20250404_県立美術館
  • イヌツゲ Ilex crenata

    モチノキ科モチノキ属
    漢字:犬黄楊
    名前の由来:
    「イヌ」は、「いな(非、否、異)」に由来し、同じように葉が小さいツゲに似ていて異なる説あり(ツゲは、ツゲ科ツゲ属で、葉は対生し鋸歯はない)。
    「ツゲ」は、葉が層をなして蜜に茂ることから「次から次と茂る」が「ツゲ」に転訛した。
    (参考)
    イヌ〇〇:「いな(非、否、異)」に由来し、「異な物」という意味で使われていた「イナ」がイヌに変化したものとする説が有力。
    「役に立つ植物に似ているが別の種」、「有用な種と同じ仲間であるが役に立たない」など、似て非なるものや劣るものを指す接頭語となっているケースが多いが、「犬」と結び付けるのはつじつまが合わない。
    樹形:常緑小高木
    葉:互生
    花:雌雄異株、淡黄白色
    花期:5~7月
    果実:核果、黒色
    果期:10~11月
    備考:
    材はモチノキより重硬緻密で、割れにくく狂いが少なく、器具・玩具・印材や櫛に用いられる。
    乾燥地から湿地など幅広い環境下で生育でき、強度な刈り込みにも耐える。

    イヌツゲ
    20211026_駿府城公園
    イヌツゲ
    20211026_駿府城公園
    イヌツゲ
    20211030_遊木の森
    イヌツゲ
    20220801_県立美術館
    イヌツゲ
    20220801_県立美術館
    イヌツゲ
    20220801_県立美術館
    イヌツゲ
    20231016_県立森林公園
    イヌツゲ
    20231016_県立森林公園
    イヌツゲ
    20231115_遊木の森
    イヌツゲ
    20231115_遊木の森
    イヌツゲ
    20231115_遊木の森
    イヌツゲ
    20231115_遊木の森
    イヌツゲ
    20240608_遊木の森
    イヌツゲ
    20240608_遊木の森
    イヌツゲ
    20240608_遊木の森
    イヌツゲ
    20240616_遊木の森
    イヌツゲ
    20240616_遊木の森
  • イヌシデ Carpinus tschonoskii

    カバノキ科クマシデ属
    漢字:犬四手
    名前の由来:
    「イヌ」は、クマシデやアカシデよりも特徴がない説、
    花序の様子を子犬に見立てた説あり。
    「シデ」は、果穂が、神前に供えたり飾ったりする玉串や注連縄(しめなわ)などに付ける白い布や紙の「四手」に似ている。
    樹形:落葉高木
    葉:互生
    花:雌雄同株、雄花 褐黄色、雌花 淡緑色
    花期:3~4月
    果実:堅果が集まった複合果
    果期:10月頃
    備考:
    <クマシデ属の葉と果穂の違い>

    側脈葉脚葉形葉身果穂
    アカシデ7~15対広い楔形長卵形6cm前後細長い
    イヌシデ12~15対広い楔形卵形4~8cm短い
    クマシデ20~24対浅心形長楕円形6~11cm太い
    サワシバ15~23対心形倒卵形4~14cm太い
    イヌシデ
    20211018_城北公園
    イヌシデ
    20211018_城北公園
    イヌシデ
    20220613_高山・市民の森
    イヌシデ
    20220613_高山・市民の森
    イヌシデ
    20220613_高山・市民の森
    イヌシデ
    20220619_遊木の森
    イヌシデ
    20220619_遊木の森
    イヌシデ
    20220619_遊木の森
    イヌシデ
    20230502_高山・市民の森
    イヌシデ
    20230502_高山・市民の森
    イヌシデ
    20230502_高山・市民の森
    イヌシデ
    20230502_高山・市民の森
    イヌシデ
    20230502_高山・市民の森
    イヌシデ
    20240421_遊木の森
    イヌシデ
    20240421_遊木の森
    イヌシデ
    20240608_遊木の森
    イヌシデ
    20240608_遊木の森
    イヌシデ
    20250309_高山・市民の森
    イヌシデ
    20250309_高山・市民の森
    イヌシデ
    20250412_高山・市民の森
    イヌシデ
    20250412_高山・市民の森
  • イヌザンショウ Zanthoxylum schinifolium

    ミカン科サンショウ属
    漢字:犬山椒
    名前の由来:サンショウに似るが香りが悪い。
    樹形:落葉低木
    葉:互生、奇数羽状複葉
    花:雌雄異株、散房花序、淡緑色
    花期:7~8月
    果実:蒴果(3個の分果)、褐色
    果期:9~10月
    備考:
    果実は生薬の「青椒(せいしょう)」と呼ばれ、種子の精油を煎じたものを咳止めや消炎薬とした。
    サンショウとの違い>
    サンショウの備考参照。

    イヌザンショウ
    20221112_高山・市民の森
    イヌザンショウ
    20221112_高山・市民の森
    イヌザンショウ
    20231001_高山・市民の森
    イヌザンショウ
    20231001_高山・市民の森
    イヌザンショウ
    20231016_県立森林公園
    イヌザンショウ
    20231016_県立森林公園
    イヌザンショウ
    20240904_遊木の森
    イヌザンショウ
    20240904_遊木の森
    イヌザンショウ
    20240904_遊木の森
  • イヌコリヤナギ Salix integra

    ヤナギ科ヤナギ属
    漢字:犬行李柳
    名前の由来:
    「イヌコリ(犬行李)」は、柳行李(やなぎごうり:コリヤナギの皮をはいだ枝を編んで作った行李(こうり))を作るコリヤナギ(行李柳)に似ているが役に立たない。
    「ヤナギ(柳)」は、アカメヤナギの名前の由来参照。
    樹形:落葉低木
    葉:対生(互生もあり) ※逆の記述もあり
    花:雌雄異株、穂状花序、無花被花(萼と花冠なし)
    花期:3月、葉の展開前
    果実:蒴果、2片に裂け白綿毛のある種子がとび出す
    果期:5月

    イヌコリヤナギ
    20240527_清泉寮周辺自然歩道
    イヌコリヤナギ
    20240527_清泉寮周辺自然歩道
    イヌコリヤナギ(虫えい)
    20240918_箱根湿生花園 ヤナギシントメハナガタフシ
    イヌコリヤナギ(虫えい)
    20240918_箱根湿生花園
    イヌコリヤナギ(虫えい)
    20240918_箱根湿生花園
  • イヌゴシュユ Tetradium daniellii

    ミカン科ゴシュユ属
    漢字:犬呉茱萸
    別名:ビービーツリー
    樹形:落葉小高木
    葉:対生
    花:雌雄異株、円錐花序
    果実:蒴果

    イヌゴシュユ
    20220515_その他
    イヌゴシュユ
    20220515_その他
    イヌゴシュユ
    20230625_その他
    イヌゴシュユ
    20230625_その他
    イヌゴシュユ
    20230914_その他
    イヌゴシュユ
    20230914_その他
    イヌゴシュユ
    20220917_その他
    イヌゴシュ
    20240317_その他
    イヌゴシュ
    20240317_その他
    イヌゴシュ
    20240317_その他
  • イヌガヤ Chephalotaxus harringtonia

    イチイ科イヌガヤ属
    漢字:犬榧
    名前の由来:
    木材としてカヤに比べて劣る説、
    カヤに似るが核が苦くて食べられない説あり。
    「カヤ」は、カヤの名前の由来参照。
    樹形:常緑小高木
    花:雌雄異株、雄花:クリーム色、雌花:淡黄緑色
    花期:3~4月
    種子:核果状、緑色→紅褐色
    種期:翌年の9~10月
    備考:
    種子は臭気あり。
    熟した種子の肉質種皮(外種皮)は、柔らかく多汁で甘味があるため食べられ、果実酒にもした。胚乳はヤニ臭く、カヤのように食べられない。
    胚乳から搾った油は、冬でも凍らず、炎が明るく煤が出ないため、優れた灯明油(とうみょうあぶら)とされた。
    材は堅く強靭で耐久性も高いため、縄文時代の弓材とされ、現在も輪カンジキの材料に使う地域あり。
    カヤとの葉の違い>
    カヤの備考参照。

    イヌガヤ
    20220312_満観峰
    イヌガヤ
    20220312_満観峰
    イヌガヤ
    20220410_満観峰
    イヌガヤ
    20220801_県立美術館
    イヌガヤ
    20220801_県立美術館
    イヌガヤ
    20220801_県立美術館
    イヌガヤ
    20220801_県立美術館
    イヌガヤ
    20230902_高山・市民の森
    イヌガヤ
    20240331_高山・市民の森
    イヌガヤ
    20240517_竜爪山
    イヌガヤ
    20240517_竜爪山
    イヌガヤ
    20240517_竜爪山
    イヌガヤ
    20250309_高山・市民の森
    イヌガヤ
    20250309_高山・市民の森
    イヌガヤ
    20250412_高山・市民の森
    イヌガヤ
    20250412_高山・市民の森
    イヌガヤ
    20250412_高山・市民の森
    イヌガヤ
    20250420_遊木の森
  • イヌエンジュ Maackia amurensis

    マメ科イヌエンジュ属
    漢字:犬槐
    名前の由来:
    「イヌ(犬)」は、中国原産のエンジュ(槐)からは、漢方薬の止血剤の槐花(かいか)が作られるが、日本産のイヌエンジュでは用いられなかった。
    エンジュ(槐)は、古名「エニス(恵爾須)」の転化で、 エニスは、エンジュの種子を意味する「エス(槐子)」に由来。
    樹形:落葉高木
    葉:互生、奇数羽状複葉
    花:両性花、総状花序、蝶形花、淡黄白色
    花期:7~8月
    果実:豆果
    果期:10~11月
    備考:
    枝を折るとソラマメに似た匂いがする。
    材はエンジュより優れる。堅く強靭で、狂いが少なく粘りがある。床柱、家具、器具材、三味線や鼓(つづみ)の胴に用いる。

    イヌエンジュ
    20230702_高山・市民の森
    イヌエンジュ
    20230702_高山・市民の森
    イヌエンジュ
    20230702_高山・市民の森
    イヌエンジュ
    20230702_高山・市民の森
    イヌエンジュ
    20240428_高山・市民の森
    イヌエンジュ
    20240428_高山・市民の森
    イヌエンジュ
    20240719_富士山太郎坊周辺
    イヌエンジュ
    20240719_富士山太郎坊周辺
    イヌエンジュ
    20240724_富士山太郎坊周辺
    イヌエンジュ
    20240719_富士山太郎坊周辺
    イヌエンジュ
    20241006_高山・市民の森
    イヌエンジュ
    20241006_高山・市民の森
    イヌエンジュ
    20250309_高山・市民の森
    イヌエンジュ
    20250309_高山・市民の森
  • イチョウ Ginkgo biloba

    イチョウ科イチョウ属
    漢字:銀杏
    漢名:公孫樹
    名前の由来:
    葉の形が水かきを持つ鴨の脚に似ており、宋時代の中国名「鴨脚」を「ヤーチャオ」と聞き転訛した説あり。
    漢字「銀杏」は、種子が銀(白)色で、外種皮が杏(あんず)に似ている。
    漢名「公孫樹」は、中国での当て字、孫の代にならないと結実しないことから。
    樹形:落葉高木
    葉:互生(長枝)、輪生(短枝)
    花:雌雄異株、無花被花(萼と花冠なし)、短枝に束生
    花期:4~5月
    種子:銀杏(胚珠が成長したもので種子であり果実ではない)
    種期:10~11月
    備考:
    中国原産。
    起源は古生代にさかのぼり、「生きている化石」といわれる。
    葉脈は途中で二股に分かれて広がる「ニ叉状脈(にさじょうみゃく)」。
    種子は臭気の強い外種皮につつまれ、取り除くと堅い殻(内種皮)の銀杏があり胚乳は食用。素手で触るのは注意が必要。ウルシ科の植物にかぶれる場合、かぶれる可能性あり。
    内種皮を取り除いた種子は生薬の「白果仁(はくかにん)」と呼ばれ、咳止めや痰切りに用いた。
    一度に大量のギンナンを食べると、ビタミンB6欠乏症で、嘔吐、下痢、呼吸困難を起こす場合あり。
    燃えにくく火災に強いが、過湿な土に弱い。
    コケ植物やシダ植物と同様に精子で受精する。
    材は白く美しく、ソロバン玉、木魚、碁盤、漆器の木地、まな板に用いる。
    <雌雄の違い>
    落葉した時の短枝の芽で比べる方法
    雄木は膨らんでいる。雌木は小さく尖っている。

    イチョウ
    20211018_城北公園
    イチョウ
    20211018_城北公園
    イチョウ
    20250404_県立美術館
    イチョウ
    20250404_県立美術館
    イチョウ
    20250404_県立美術館
  • イチイ Taxus cuspidata

    イチイ科イチイ属
    漢字:一位
    名前の由来:仁徳天皇が、本種に笏(しゃく)をつくる高貴な木として最高位の「正一位(しょういちい)」を授けた説あり。
    樹形:常緑高木
    花:雌雄異株、雄花は淡黄色、雌花は淡緑色
    花期:3~5月
    種子:核果状、備考の記事参照
    種期:9~10月
    備考:
    葉や木部、種子は有毒。
    肥大して杯状になった仮種皮が種子を包む。仮種皮は肉質で紅朱色になると甘味があって食べることができる。中の種子の外種皮は有毒なので、食べないように、嚙みつぶさないにする。鳥やサルが種を丸ごと食べて平気なのは、外種皮は丈夫で動物は消化できず、糞でそのまま出るため。葉や木部、種子にタキシンやタキソールなどの毒がある。
    材は年輪幅が狭く、弾力性と光沢があることから建築材、家具材、彫刻材に用いた。昔は、強靭で粘りがあり折れにくいため、弓材に用いた。
    カヤとの違い>
    カヤに比べて葉の先端がやわらかく、触れても痛くない。葉の裏の白色気孔帯が薄い緑で目立たない。
    キャラボクとの違い>
    イチイの側枝はほぼ二列に葉が並ぶ。キャラボクは葉がらせん状に並ぶ。

    イチイ
    20231101_清里自然歩道
    イチイ
    20231101_清里自然歩道
    イチイ
    20231101_清里自然歩道
    イチイ
    20231101_清里自然歩道