マキ科マキ属
漢字:犬槇
名前の由来:
かつてスギを「マキ(真木)」と呼んでおり、スギよりも木材として劣る説、
「ホンマキ」の別名を持つコウヤマキよりも姿形が劣る説あり。
樹形:常緑高木
葉:互生
花:雌雄異株、雄花序は黄白色
花期:5~6月
種子:備考参照
種子期:10~11月
備考:
秋に熟す種子は、赤紫色の肉質化した花托(花床)の上に球形で緑白色の実が載る。実は食べられないが、赤紫色に肉質化した花托は食べられる。
土質を選ばずよく生長し、移植も容易で、強い刈り込みに耐え、病虫害が少ないことから、生垣、防風垣だけでなく、庭木としても用いられる。
材は水湿に強く、桶材に用いる。
カテゴリー: 木本
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イヌマキ Podocarpus macrophyllus
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イヌビワ Ficus erecta
クワ科イチジク属
漢字:犬枇杷
名前の由来:ビワに似た実はビワより小さく味が劣る。
樹形:落葉小高木
葉:互生
花:雌雄異株、小花は帯紅色
花期:4~5月
果実:イチジク状果(瘦果の集まった複合果)、黒紫色
果期:10~11月
備考:
枝には一周する托葉痕あり。
イチジク属の枝葉、花嚢を傷つけると白い乳液が出る。虫の食害や微生物、菌などの侵入から身を守る。
果実に見えるのは「花嚢」で、花托が発達して袋状になり、内側に小さな花がたくさん着いたもの。
<クワ科の植物>
ヤマグワの備考参照。
<受粉方法>
イチジク属の植物とコバチ(絶対送粉共生)
イチジク属のすべての種は、それぞれ特定の種類のイチジクコバチというハチと一対一の共生関係を築いている。イチジクは、コバチに繁殖場所を提供し、コバチは、イチジクの花粉の媒介をするという両者の生存が不可欠な関係になっている。
(参考)
イヌビワとイヌビワコバチ(体長2mm程度)の場合
【雌が雄花嚢へ達した場合】
雄花嚢は、雄花とイヌビワコバチの幼虫の餌用の雌花が混在。
雌が短い花柱の雌花に産卵すると虫こぶ化し、幼虫は子房や種子を食べて育つ。
成虫になると、雄(羽なし)は雌(羽あり)と交尾して死ぬ。
雌は雄花の花粉を付けた後、産卵のために、他の花嚢を探しに外へ飛び立つ。
【雌が雌花嚢へ達した場合】
雌花嚢は、花柱の長い雌花のみ。
雌は産卵しようとしても、花柱が長いため産卵管が子房まで届かず産卵できない。
雌花嚢の中を歩き回ることで受粉する。
黒紫色に熟した雌果嚢は甘く食べられる。
花嚢に入る際、雌の羽はほとんど取れてしまうため、他の花嚢へは移動できない(一匹以上の死んだ雌バチが入っている?)。 -
イヌツゲ Ilex crenata
モチノキ科モチノキ属
漢字:犬黄楊
名前の由来:
「イヌ」は、「いな(非、否、異)」に由来し、同じように葉が小さいツゲに似ていて異なる説あり(ツゲは、ツゲ科ツゲ属で、葉は対生し鋸歯はない)。
「ツゲ」は、葉が層をなして蜜に茂ることから「次から次と茂る」が「ツゲ」に転訛した。
(参考)
イヌ〇〇:「いな(非、否、異)」に由来し、「異な物」という意味で使われていた「イナ」がイヌに変化したものとする説が有力。
「役に立つ植物に似ているが別の種」、「有用な種と同じ仲間であるが役に立たない」など、似て非なるものや劣るものを指す接頭語となっているケースが多いが、「犬」と結び付けるのはつじつまが合わない。
樹形:常緑小高木
葉:互生
花:雌雄異株、淡黄白色
花期:5~7月
果実:核果、黒色
果期:10~11月
備考:
材はモチノキより重硬緻密で、割れにくく狂いが少なく、器具・玩具・印材や櫛に用いられる。
乾燥地から湿地など幅広い環境下で生育でき、強度な刈り込みにも耐える。 -
イヌシデ Carpinus tschonoskii
カバノキ科クマシデ属
漢字:犬四手
名前の由来:
「イヌ」は、クマシデやアカシデよりも特徴がない説、
花序の様子を子犬に見立てた説あり。
「シデ」は、果穂が、神前に供えたり飾ったりする玉串や注連縄(しめなわ)などに付ける白い布や紙の「四手」に似ている。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄同株、雄花 褐黄色、雌花 淡緑色
花期:3~4月
果実:堅果が集まった複合果
果期:10月頃
備考:
<クマシデ属の葉と果穂の違い>側脈 葉脚 葉形 葉身 果穂 アカシデ 7~15対 広い楔形 長卵形 6cm前後 細長い イヌシデ 12~15対 広い楔形 卵形 4~8cm 短い クマシデ 20~24対 浅心形 長楕円形 6~11cm 太い サワシバ 15~23対 心形 倒卵形 4~14cm 太い -
イヌザンショウ Zanthoxylum schinifolium
ミカン科サンショウ属
漢字:犬山椒
名前の由来:サンショウに似るが香りが悪い。
樹形:落葉低木
葉:互生、奇数羽状複葉
花:雌雄異株、散房花序、淡緑色
花期:7~8月
果実:蒴果(3個の分果)、褐色
果期:9~10月
備考:
果実は生薬の「青椒(せいしょう)」と呼ばれ、種子の精油を煎じたものを咳止めや消炎薬とした。
<サンショウとの違い>
サンショウの備考参照。 -
イヌコリヤナギ Salix integra
ヤナギ科ヤナギ属
漢字:犬行李柳
名前の由来:
「イヌコリ(犬行李)」は、柳行李(やなぎごうり:コリヤナギの皮をはいだ枝を編んで作った行李(こうり))を作るコリヤナギ(行李柳)に似ているが役に立たない。
「ヤナギ(柳)」は、アカメヤナギの名前の由来参照。
樹形:落葉低木
葉:対生(互生もあり) ※逆の記述もあり
花:雌雄異株、穂状花序、無花被花(萼と花冠なし)
花期:3月、葉の展開前
果実:蒴果、2片に裂け白綿毛のある種子がとび出す
果期:5月 -
イヌガヤ Chephalotaxus harringtonia
イチイ科イヌガヤ属
漢字:犬榧
名前の由来:
木材としてカヤに比べて劣る説、
カヤに似るが核が苦くて食べられない説あり。
「カヤ」は、カヤの名前の由来参照。
樹形:常緑小高木
花:雌雄異株、雄花:クリーム色、雌花:淡黄緑色
花期:3~4月
種子:核果状、緑色→紅褐色
種期:翌年の9~10月
備考:
種子は臭気あり。
熟した種子の肉質種皮(外種皮)は、柔らかく多汁で甘味があるため食べられ、果実酒にもした。胚乳はヤニ臭く、カヤのように食べられない。
胚乳から搾った油は、冬でも凍らず、炎が明るく煤が出ないため、優れた灯明油(とうみょうあぶら)とされた。
材は堅く強靭で耐久性も高いため、縄文時代の弓材とされ、現在も輪カンジキの材料に使う地域あり。
<カヤとの葉の違い>
カヤの備考参照。 -
イヌエンジュ Maackia amurensis
マメ科イヌエンジュ属
漢字:犬槐
名前の由来:
「イヌ(犬)」は、中国原産のエンジュ(槐)からは、漢方薬の止血剤の槐花(かいか)が作られるが、日本産のイヌエンジュでは用いられなかった。
「エンジュ(槐)」は、古名「エニス(恵爾須)」の転化で、 エニスは、エンジュの種子を意味する「エス(槐子)」に由来。
樹形:落葉高木
葉:互生、奇数羽状複葉
花:両性花、総状花序、蝶形花、淡黄白色
花期:7~8月
果実:豆果
果期:10~11月
備考:
枝を折るとソラマメに似たにおいがする。
材はエンジュより優れる。堅く強靭で、狂いが少なく粘りがある。床柱、家具、器具材、三味線や鼓(つづみ)の胴に用いる。 -
イチョウ Ginkgo biloba
イチョウ科イチョウ属
漢字:銀杏
漢名:公孫樹
名前の由来:
葉の形が水かきを持つ鴨の脚に似ており、宋時代の中国名「鴨脚」を「ヤーチャオ」と聞き転訛した説あり。
漢字「銀杏」は、種子が銀(白)色で、外種皮が杏(あんず)に似ている。
漢名「公孫樹」は、中国での当て字、孫の代にならないと結実しないことから。
樹形:落葉高木
葉:互生(長枝)、輪生(短枝)
花:雌雄異株、無花被花(萼と花冠なし)、短枝に束生
花期:4~5月
種子:銀杏(胚珠が成長したもので種子であり果実ではない)
種期:10~11月
備考:
中国原産。
起源は古生代にさかのぼり、「生きている化石」といわれる。
葉脈は途中で二股に分かれて広がる「ニ叉状脈(にさじょうみゃく)」。
種子は臭気の強い外種皮につつまれ、取り除くと堅い殻(中種皮)があり、中の胚乳は食用。
外種皮を素手で触るのは注意が必要。ウルシ科の植物にかぶれる場合、かぶれる可能性あり。
中種皮を取り除いた種子は生薬の「白果仁(はくかにん)」と呼ばれ、咳止めや痰切りに用いた。
一度に大量のギンナンを食べると、ビタミンB6欠乏症で、嘔吐、下痢、呼吸困難を起こす場合あり。
燃えにくく火災に強いが、過湿な土に弱い。
コケ植物やシダ植物と同様に精子で受精する。
材は白く美しく、ソロバン玉、木魚、碁盤、漆器の木地、まな板に用いる。
<雌雄の違い>
落葉した時の短枝の芽で比べる方法
雄木は膨らんでいる。雌木は小さく尖っている。