ウコギ科ヤツデ属
漢字:八手
名前の由来:大型の葉が7~9裂している(「八」は多数を意味し、実際には7裂または9裂し、8裂はしない)。
樹形:常緑低木
葉:互生
花:雌雄同株(上部:両性花 下部:雄花)、散形花序が集まった円錐花序、白色
花期:11~12月
果実:液果、赤紫褐色→黒紫色
果期:翌年の4~5月
備考:
日本固有種。
「テングノハウチワ(天狗の羽団扇)」とも呼ばれ、魔除け、厄除けになるとされ、疫病などが流行した時には、この葉で追い払えば治ると信じられた。
両性花は「雄性先熟」で、花弁と雄しべが散ると花の中心から雌しべが伸び、自家受粉を避ける。
花は昆虫の少ない冬に開花するが、虫媒花で、甘い蜜をたくさん蓄えてハナアブやミツバチ、オオクロバエ、キンバエなどを引き寄せる。
葉を乾燥させたものは生薬「八角金盤(はっかくきんばん)」と呼び、鎮痛、去痰など、浴場に入れてリウマチの痛み取りに用いる。
<陰樹(幹の太さにつり合わない大きな葉)>
樹高を高くしない分、風当たりが弱くなるため、幹は細くてもよい。
少ない日の光を効率よく光合成するために、葉の面積を広げ、葉柄の長さを変えている。
カテゴリー: 木本
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ヤツデ Fatsia japonica
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ヤチダモ Fraxinus mandshurica var. japonica
モクセイ科トネリコ属
漢字:谷地梻
名前の由来:
「ヤチ」は、谷地または野地で湿地に生える。
「ダモ」は、アオダモの名前の由来参照。
樹形:落葉高木
葉:対生、奇数羽状複葉
花:雄性両性異株、円錐花序、無花被花(萼と花冠なし)
花期:4~5月
果実:翼果
果期:10月頃
備考:
小葉のつけ根に茶褐色の縮れた毛が密生する。
材はかたく、加工しやすく、建築の内装材、バットなどの運動具や家具材に用いる。 -
ヤシャブシ Alnus firma
カバノキ科ハンノキ属
漢字:夜叉五倍子
名前の由来:
「ヤシャ(夜叉)」は、果穂に凸凹があり、これを夜叉に見立てた。
「ブシ(五倍子)」は、果穂にタンニンが多く、黒色染料とする五倍子(ふし)(ヌルデの虫えい)の代用にした。
樹形:落葉小高木
葉:互生
花:雌雄同株
花期:3~4月
果実:堅果が集まった複合果、緑色→黒褐色
果期:10~11月
備考:
日本固有種。
<ハンノキ属の根粒菌(放線菌)による窒素固定>
ハンノキの備考参照。
<ヤシャブシ類の区分>側脈数 花序の位置 花穂 ヤシャブシ 10~17対 雄花序:枝の先端
雌花序:雄花序の下上向
1~2個オオバヤシャブシ 12~16対 雄花序:雌花序の下
雌花序:枝先端の葉芽の下上向
1個ヒメヤシャブシ 20~26対 雄花序:枝の先端
雌花序:雄花序の下下垂
2~3個 -
ヤエガワカンバ Betula davurica
カバノキ科カバノキ属
漢字:八重皮樺
名前の由来:
「ヤエガワ(八重皮)」は、樹皮が幾重にもはがれる。
「カンバ(樺)」は、シラカンバの名前の由来参照。
樹形:落葉高木
葉:互生(長枝)、一対(短枝)
花:雌雄同株
花期:4~5月
果実:堅果が集まった複合果
果期:9~10月 -
モミジバフウ Liquidambar styraciflua
フウ科フウ属
漢字:紅葉葉楓
別名:アメリカフウ(アメリカ楓)
名前の由来:
葉の形がカエデ(モミジ)似た「フウ」。
「フウ(楓)」は、フウの木に似る。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄同株、頭状花序、無花被花(萼と花冠なし)
花期:4~5月
果実:蒴果が集まった複合果、さび色
果期:11~12月
備考:
北・中米原産。
枝の上側はコルク質が発達し翼状になる。
公園や街路樹に植えられる。 -
モチツツジ Rhododendron macrosepalum
ツツジ科ツツジ属
漢字:黐躑躅
名前の由来:
「モチ(黐)」は、萼、新芽、花柄、子房などに生えた腺毛が鳥もちのように粘る。
腺毛:植物の表皮に生じる突起状の毛で特殊な液体を分泌する。
「ツツジ(躑躅)」は、ヤマツツジの名前の由来参照。
樹形:半落葉低木
葉:互生
花:両性花、淡紅紫色
花期:4~6月
果実:蒴果
果期:8~10月
備考:
ツツジについては、ヤマツツジの備考参照。
春に出る葉は広楕円形で少し大きく、夏に出る葉は春より小さい狭楕円形。秋には紅葉するが、多くの葉は落葉せず越冬する半落葉。
<モチツツジカスミカメ>
一般の小昆虫類は本種の粘液に捕らえられるが、モチツツジカスミカメ(体長4.5mm程)はその腺毛上を自由に歩き回ることができ、動けなくなった昆虫類の体液を吸う。 -
メグスリノキ Acer nikoense
ムクロジ科カエデ属
漢字:目薬の木
名前の由来:樹皮や葉を煎じて洗眼液に用いた。
樹形:落葉高木
葉:対生、3出複葉
花:雌雄異株、散形花序、淡黄色
花期:5月
果実:翼果、ほぼ直角に開く
果期:8~10月
備考:
日本固有種。
若枝、葉柄、葉裏(特に葉脈)、花柄に灰白色の粗い毛が密生している。
<ミツデカエデとの花序の違い>
ミツデカエデの備考参照。 -
メギ Berberis thunbergii
メギ科メギ属
漢字:目木
名前の由来:木を煎じて洗眼薬にした。
樹形:落葉低木
葉:互生、短枝では束生
花:両性花、淡黄色、下向き
花期:4月
果実:液果、赤色
果期:10~11月
備考:
日本固有種。
枝には稜があり節毎に5~12mmの鋭いとげがあり、3本に分かれていることもあり。
花弁の基部に2個の黄色の蜜腺あり。
材はやや堅く割れにくく、寄木細工に用いる。
キハダ同様に、内皮にベルベリンを含み鮮黄色で苦い。
煎汁は洗眼、健胃・整腸剤に用いる。
雄しべは花弁にくっついているが、触ると「内曲運動」を起こす。
<内曲運動>
刺激を受けると雄しべの花糸が急に内側または外側に屈曲し花粉を虫や雌しべに挿しつける。