モクレン科モクレン属
漢字:朴の木
名前の由来:「ホオ」は、「包」の意味で、大きな葉に食べ物を盛った。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:両性花、黄白色
花期:5~6月
果実:袋果が集まった集合果、赤褐色、種子は赤色
果期:10~11月
備考:
花と葉は日本の樹木の中で最も大きい。
大きな葉は、香りがよく、味噌、餅、寿司などを包むのに用いた(朴葉〇〇)。
花は強い芳香あり。「雌性先熟」で、雌しべと雄しべの成熟時期が異なる。
材は狂いが少なく、加工しやすく、漆器、下駄の歯、版木(はんぎ)、刀の鞘、和包丁の柄などに用いる。
炭は「朴炭(ほおずみ)」と呼ばれ、漆器の研磨や金属、石類の細工研磨に用いる。
樹皮を剥皮して乾燥させたものを生薬「厚朴(こうぼく)」と呼び、鎮静、鎮痛作用があり、胃腸、気管支喘息、利尿の薬として用いる。
落ち葉や根から他の植物を芽生えさせない物質(アレロパシー)を出している。
大きな葉は光合成の能力が高く、成長を速くする。ただし、水分の蒸散も激しく、根からの供給が追いつかなければ水不足になる。
<モクレン科の花>
コブシの備考参照。
カテゴリー: 木本
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ホオノキ Magnolia obovata
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ブナ Fagus crenata
ブナ科ブナ属
漢字:橅/椈/山毛欅
名前の由来:
ブナは用途が広いが腐りやすく、歩合がよくないことから「歩の合わない木」が転訛した説など諸説あり。
「橅」は昔は材が狂いやすく腐りやすく「木で無い」として「橅」の字が当てられた。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄同株
花期:5月頃
果実:堅果、とげのある殻斗に包まれ熟すと4裂する
果期:10月頃
備考:
日本固有種。
風媒花。
冷温帯の夏緑樹林の代表的な樹種。
雄大で美しい姿から「森の女王」とよばれる。
陰樹(幼樹の成長が遅く、開花結実までの年数が長い)で、冷温帯の極相林を形成。
1993年に、白神山地のブナ林が世界自然遺産に登録された。
果実は、生でも炒っても食べられおいしい。
ブナ属の側脈の先端は、鋸歯の凹端に連なる(多くは凸端に連なる)。
<果実生産に豊凶がみられる件>
ブナの場合、数年に一回、広い区域にわたって果実の豊作が見られ、それ以外の年は殆ど果実をつけない。
・豊凶を引き起こすしくみ
気象シグナル仮設:
気温の変化など気象条件の年変動に反応して、同種個体が一斉に開花。
資源収支仮設:
繁殖には植物体内の貯蔵物質が必要なため、大量の開花および結実によって貯蔵物質が消費され、その蓄積に数年かかる。
・豊凶が進化した意義
受粉の効率化:
大量に開花することで、受粉効率が高まり、多くの果実を実らせる。
種子食害者飽食:
種子食動物を飽食させ、一部の種子(果実)が食べられずに残る。種子食動物の個体数は一時的に増えるが、種子(果実)の少ない年は、種子食動物の個体数も減るため、種子(果実)豊作時は食い尽くされることはなくなる。
<イヌブナとの違い>葉 側脈の数 幹回り 雌花 堅果を包む総苞 ブナ 長さ:4~8cm
幅:2~4cm
裏面は無毛7~11対 株立ち状にならない 花柄は短く、花も果実も上向き 長く
種子を完全に包むイヌブナ 長さ:5~10cm
幅:3~6cm
裏面の葉脈上に白色の長い軟毛が残る
ブナより薄い10~14対 株立ち状になる 花柄は長く、花も果実も垂れ下がる 短く
種子の半分以下 -
フジ Wisteria floribunda
マメ科フジ属
漢字:藤
別名:ノダフジ(野田藤)
名前の由来:花びらが風に吹かれ舞い散る様子から「吹き散る」が転訛したなど諸説あり。
樹形:蔓性落葉木本、左巻き(ネジと同一方向として)
葉:互生、奇数羽状複葉
花:両性花、総状花序、蝶形花、紫色、下垂、芳香あり
花期:5月
果実:豆果、熟すと2裂し種子をはじき飛ばす、種子は茶褐色
果期:10~12月
備考:
種子は、昔、おはじきに使った。
種子は、炒って食べると美味しいが、下剤にもなるので食べすぎに注意。
古い茎や枝にこぶ状の「藤瘤(ふじこぶ)」ができ、粉末にしたものは、胃がんの制癌剤に用いる。 -
フサザクラ Euptelea polyandra
フサザクラ科フサザクラ属
漢字:総桜/房桜
名前の由来:
「フサ(総/房)」は、花が枝に房状に密生する。
「ザクラ(桜)」は、樹皮がヤマザクラに似ている。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:両性花、無花被花(萼と花冠なし)、紅紫色
花期:3~4月
果実:翼果、黄褐色
果期:10月頃
備考:
日本固有種。
両性花では数少ない風媒花。
崩壊地などの裸地に最初に侵入する先駆樹種(パイオニアツリー)の代表。成長が早く、水害などにあっても根元から萌芽して株を維持し続ける。
乾燥させた葉には、血圧降下作用や抗菌作用があり、健康茶として飲用する。
材は弾力があり、昔は舟の櫓や櫂、建具、薪炭に用いた。 -
ビワ Eriobotrya japonica
バラ科ビワ属
漢字:枇杷
名前の由来:果実あるいは葉の形が弦楽器の琵琶に似ている(琵琶も昔は枇杷の文字だった)。
樹形:常緑小高木
葉:互生
花:両性花、円錐花序、白色、芳香あり。
花期:11月~1月
果実:ナシ状果、黄橙色
果期:5~6月
備考:
花は冬に咲く鳥媒花だが、自家受粉も可能。
枝葉は春、夏、秋と年三回の伸長成長する。
実は食用。
材は弾力があり木目が美しいため櫛材や印材、木刀、杖などに用いた。
葉は生薬「枇杷葉(びわよう)」として、あせも、打ち身・捻挫、咳止め、暑毛(しょっき)あたり、胃腸病などに用いる。種子を乾燥させたものは生薬「枇杷仁(びわにん)」として、鎮咳・鎮静剤に用いる。