モチノキ科モチノキ属
漢字:黐の木
名前の由来:夏に樹皮を剥いで、数ケ月間水につけて腐らせ、臼でついて鳥もちをとった。
樹形:常緑高木
葉:互生
花:雌雄異株、黄緑色
花期:4月
果実:液果状の核果、赤色
果期:11~12月
備考:材は緻密で光沢があり、櫛や印材、旋削材、寄木細工に用いる。
タグ: モチノキ科
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タラヨウ Ilex latifolia
モチノキ科モチノキ属
漢字:多羅葉
名前の由来:葉裏面を傷つけると黒変して字が書ける(備考の記事参照)ことを、昔、インドで葉に経文(きょうもん)を書いたバイタラヨウ(貝多羅葉)の葉にたとえた。
樹形:常緑高木
葉:互生
花:雌雄異株、黄緑色
花期:5~6月
果実:核果、赤色
果期:10~12月
備考:
この葉の裏を棒などで引っ掻くと、黒く変色して文字を書くことができる。傷口を黒い物質で固めることで、病原菌の侵入を防ぐ。黒く文字が浮き出るのは、傷つけられた細胞内の酸化酵素が水溶性のタンニンを酸化させ、不溶性のタンニンが生じて黒褐色になるからといわれる。
ネズミモチ、トウネズミモチ、アオキ、ヤツデなどの葉も同様。
「葉書の樹」とも呼ばれ、郵便局のシンボルツリーとなっている。
葉はお茶の代用となり、材は轆轤(ろくろ)細工に用いられる。
モチノキ、ヤマグルマ、クロガネモチ、ナナミノキ、ソヨゴ同様に樹皮から「鳥モチ」が採れる。 -
ソヨゴ Ilex pedunculosa
モチノキ科モチノキ属
漢字:冬青
名前の由来:
葉柄が長く硬い葉が、風が吹くと葉が擦れ合って「ザワザワ」と音をたてる「戦(そよ)ぐ」説が有力、
他、草木染めに用いる「染め木」が転訛した説あり。
樹形:常緑小高木
葉:互生
花:雌雄異株、白色
花期:6~7月
果実:核果、赤色
果期:10~11月
備考:
全縁の葉は波打つ。
雌花の花柄は3~4cmと長い。
枝や葉は多くのタンニンを含むため、草木染めでは褐色~黄色の染料として用いる。
材は緻密で堅く、櫛や器具材、そろばん玉、ギターの象嵌などに用いる。
樹皮は水に晒して臼でつき砕き、水洗してゴム状の鳥もちを採った。 -
クロソヨゴ Ilex sugerokii
モチノキ科モチノキ属
漢字:黒冬青
別名:ウシカバ(牛樺)
名前の由来:
「クロ(黒)」は、ソヨゴに比べて樹皮が黒っぽい。
「ソヨゴ(冬青)」は、葉がソヨゴに似ている。
「ウシカバ(牛樺)」は、樹皮が黒く、表面がサクラやカバノキに似る。
樹形:常緑低木または小高木
葉:互生
花:雌雄異株、白色
花期:5~7月
果実:核果、赤色
果期:9~10月
備考:分布は、本州(山梨県以西)、四国。アカミノイヌツゲ var. brevipedunculata(赤実の犬黄楊)の分布は、北海道、本州(東北地方、中部地方北部) -
ウメモドキ Ilex serrata
モチノキ科モチノキ属
漢字:梅擬
名前の由来:葉がウメの葉に似ている。
樹形:落葉低木
葉:互生
花:雌雄異株、淡紫色
花期:6月頃
果実:核果、赤色
果期:9~10月
備考:
側芽の下に小さな副芽あり。
全体に毛のないものを「イヌウメモドキ」という。
<アオハダとの違い>
アオハダの備考参照。イヌウメモドキ
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イヌツゲ Ilex crenata
モチノキ科モチノキ属
漢字:犬黄楊
名前の由来:
「イヌ」は、「いな(非、否、異)」に由来し、同じように葉が小さいツゲに似ていて異なる説あり(ツゲは、ツゲ科ツゲ属で、葉は対生し鋸歯はない)。
「ツゲ」は、葉が層をなして蜜に茂ることから「次から次と茂る」が「ツゲ」に転訛した。
(参考)
イヌ〇〇:「いな(非、否、異)」に由来し、「異な物」という意味で使われていた「イナ」がイヌに変化したものとする説が有力。
「役に立つ植物に似ているが別の種」、「有用な種と同じ仲間であるが役に立たない」など、似て非なるものや劣るものを指す接頭語となっているケースが多いが、「犬」と結び付けるのはつじつまが合わない。
樹形:常緑小高木
葉:互生
花:雌雄異株、淡黄白色
花期:5~7月
果実:核果、黒色
果期:10~11月
備考:
材はモチノキより重硬緻密で、割れにくく狂いが少なく、器具・玩具・印材や櫛に用いられる。
乾燥地から湿地など幅広い環境下で生育でき、強度な刈り込みにも耐える。 -
アオハダ Ilex macropoda
モチノキ科モチノキ属
漢字:青肌
名前の由来:樹皮の表皮が薄く容易に剥げて緑色の内皮が見える。
樹形:落葉高木
葉:互生、短枝に束生
花:雌雄異株、緑白色、短枝に束生
花期:5~6月
果実:核果、赤色
果期:9~10月
備考:
新芽は食べられ、天ぷらにすると少しほろ苦い。
昔はお茶の代用品だった。
<ウメモドキとの違い>
本種は大木になる、著しく短枝が発達する、葉柄が長い(ウメモドキ:4~8mm、アオハダ:1~2cm)。