サトイモ科テンナンショウ属
漢字:蝮草
名前の由来:偽茎(葉鞘)の模様がマムシに似る。
葉:鳥足状複葉
花:雌雄異株、肉穂花序
花期:4~6月
果実:液果、赤色
習性:多年草
備考:
<テンナンショウ属>
目立つ大型の苞(葉)は、仏像のうしろにある光背(こうはい)に見立てて「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれる。
花は、花被なしで「付属体」の下につき、成長や栄養の状態によって、雄株から雌株に性転換する。キノコに似たにおいを出すことで、キノコバエを呼び寄せて花粉を運ばせている。
地下部の球茎を輪切りにして乾燥させたものは生薬「天南星」と呼ばれ、去痰、鎮痛に、民間では球茎をすりおろしてリウマチ、肩こりなどに用いた。
全草に毒成分を含み、便所のうじ殺しに使われたほど毒性が強い。葉をちぎったり、葉から出る汁に触れたりすると皮膚炎を起こし、摂食すると吐き気、胃腸炎、心臓麻痺に至ることがある。
<マムシグサとキノコバエ>
キノコバエをだまして花粉を運ばせている。
付属体は特殊なにおいを放つ(人間には感知できない)。
においに誘われたキノコバエの仲間は、花をキノコとまちがえて交尾や産卵に集まってくる。
筒状になった仏炎苞の奥深く、突起状の花が集まった底の部分に滑り落ちる。
脱出を試みるが、仏炎苞の内側はつるつる滑って登れない。仏炎苞と花のすき間は狭すぎて飛び立てない。付属体を登ろうにも、中途に返しがあり登れない。
【雄株の場合】
出口を探して雄花の上を歩き回るうちに虫は花粉まみれになるが、仏炎苞の合わせ目には小さなすき間があるため、脱出することができる。
【雌株の場合】
雌花の上を歩き回ることで、体につけてきた花粉を雌しべにつけながら、脱出孔を探すが、雌株の仏炎苞の裾はびっちりと固く合わせられていて、脱出孔がない。
虫は、雌株の中で死んでいく。
タグ: サトイモ科
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マムシグサ Arisaema japonicum
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ミズバショウ Lysichiton camtschatcense
サトイモ科ミズバショウ属
漢字:水芭蕉
名前の由来:
水辺に生え、花後に伸びる大きな葉がバショウ(芭蕉)の葉に似ている。
「バショウ(芭蕉)」は、漢名芭蕉の音読み。
葉:
花:両性花、肉穂花序、淡緑色、仏炎苞は白色、甘い香りあり
花期:5~7月
果実:液果、緑色、褐色に熟す種子は水に浮いて流される。
習性:多年草
備考:
湿地や湿原に群生する。
最初に雌しべが露出する「雌性先熟」型。
大きく成長した塊茎から細長く短い地下茎を出して栄養繁殖することがある。
根茎には有毒なアルカロイドが含まれ、誤って服用すると吐き気や脈拍の低下、呼吸困難や心臓麻痺を起こす。葉などにもシュウ酸カルシウムが含まれ、肌につくとかゆみや水ぶくれになる。 -
ムサシアブミ Arisaema ringens
サトイモ科テンナンショウ属
漢字:武蔵鐙
名前の由来:逆さに見た仏炎苞の形を、昔武蔵国(関東地方)で使われた馬の鐙(馬具の一つで鞍の両わきにさげて足を踏みかけるもの)に見立てた。
葉:3出複葉
花:雌雄異株、肉穂花序
花期:2~5月
習性:多年草
備考:テンナンショウ属については、マムシグサの備考参照。 -
ウラシマソウ Arisaema thunbergii ssp. urashima
サトイモ科テンナンショウ属
漢字:浦島草
名前の由来:付属体が長く伸びているのを、浦島太郎が釣り糸を垂らしている姿に見立てた。
葉:鳥足状複葉
花:雌雄異株、肉穂花序
花期:4~5月
習性:多年草
備考:テンナンショウ属については、マムシグサの備考参照。