ヒノキ科ビャクシン属
漢字:伊吹
別名:ビャクシン(柏槇)
名前の由来:
「イブキ(伊吹)」は、滋賀、岐阜県境の伊吹山に生えていた説あり。
「ビャクシン(柏槇)」は、「柏子」が転訛した説あり。
樹形:常緑高木
葉:十字対生(小さな鱗のように見えるのが1個の葉)
花:雌雄異株
花期:4月頃
種子:球果、青白色→黒紫色(表面に白い蝋分をかぶる)
種期:翌年の10月頃
備考:
ビャクシン属の球果は、肉質で開裂しない。
材はやわらかく光沢があり、彫刻材、床柱に用いる。
公園や生け垣によく植えられている「カイヅカイブキ(貝塚伊吹)」は園芸種で、幹がねじれて、枝が巻き上がるようにつく。
<先祖返り、隔世遺伝>
葉の多くはヒノキのように細かい鱗片葉(普通形)、下部の枝や枝を切るとスギのような針葉(原始形)が出る場合あり。
タグ: ヒノキ科
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イブキ(ビャクシン) Juniperus chinensis
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メタセコイア Metasequoia glyptostroboides
ヒノキ科メタセコイア属
別名:アケボノスギ(曙杉)
名前の由来:
「セコイア」に似るが異なる木。
「アケボノスギ(曙杉)」は、日本の現在の植生成立の初期に生じていた「スギ」?。
樹形:落葉高木
葉:側枝に対生
花:雌雄同株、雌花は緑色
花期:2~3月
種子:球果、種子には広い翼あり
種期:10~11月
備考:
中国原産。
落葉する際は小枝(側枝)ごと落ちる。枝の葉痕のようなものは枝痕。
「生きている化石」として有名なことなどから、公園樹や街路樹に植えられる。
<ラクウショウとの違い>
枝も葉もメタセコイアは対生だが、ラクウショウは互生する。
ラクウショウは、呼吸根を地上に出す。 -
ラクウショウ Taxodium distichum
ヒノキ科ヌマスギ属
漢字:落羽松
別名:ヌマスギ(沼杉)
名前の由来:
小枝ごと落葉する葉が水平に並んでつく様子を鳥の羽に見立てた。
「ヌマスギ(沼杉)」は、沼地などの湿地に生える。
樹形:落葉高木
葉:側枝に互生
花:雌雄同株
花期:3~4月
種子:球果、緑白→褐色、種子は褐色
種期:11~12月
備考:
北アメリカ原産。
地中の根から直立する太い呼吸根(膝根(しっこん))を地上に出す。膝根の由来は、膝を立てたところに似ていることから。
落葉する際は小枝(側枝)ごと落ちる。枝の葉痕のようなものは枝痕。
<メタセコイアとの違い>
メタセコイアの備考参照。 -
ヒノキ Chamaecyparis obtusa
ヒノキ科ヒノキ属
漢字:檜/桧
名前の由来:
幹や枝がこすれるとすぐ火がつく説、
火起こし道具の「火切り板」に多く用いたことから「火の木」から説など諸説あり。
樹形:常緑高木
葉:十字対生(小さな鱗のように見えるのが1個の葉)
花:雌雄同株
花期:4月
種子:球果
種期:10~11月
備考:
日本固有種。
スギに比べると成長は遅いが、乾燥地にも耐えるので、スギに次いで植林されている。
材は緻密で狂いがなく、加工が容易で、光沢があり、香りがよいため、最も優れた建築材とされる。また、耐久性があり、世界最古の木造建築である法隆寺がヒノキでつくられていることは有名。
樹皮はスギの皮と同様、屋根を葺くのに用いられ、葺いた屋根を「檜皮葺(ひわだぶき)」という。
<サワラとの葉の違い>白い気孔帯 側面の葉の先端 ヒノキ Y字形 尖らず内曲 サワラ X字形 尖って開出 -
スギ Cryptomeria japonica
ヒノキ科スギ属
漢字:杉
名前の由来:
真っ直ぐの木「直ぐ木(すぐき)」から変化した説が有力、
他、上へ進み上がる木「進木(すすぎ)」説あり。
樹形:常緑高木
花:雌雄同株、雄花は淡黄色 雌花は緑色
花期:2~4月
種子:球果
種期:10~11月
備考:
日本固有種。
日本で最も樹高が高くなり、寿命も長く大木になる。
葉は冬になると緑が薄くなり、黄褐~赤褐色になる。光合成機能が低下する低温条件下で太陽光による光阻害(強すぎる光によって光合成が阻害されること)を防ぐための適応。
成長が早く、単位面積当たりの収穫材積が大きく、昔から植林された。
材は割裂性が良く、あまり固くないので削ったり、切ったりが容易で、曲げても粘りがあり折れないため、主に建築用材とされるが、建具、箱、下駄、箸など用途が広い。桶や樽などにも用いた。
樹皮は、ヒノキ同様、昔は屋根や壁を葺くのに用いた。
造り酒屋が新酒を仕込んだ目印に、枝葉を丸い玉に束ねた「杉玉(すぎだま)」を軒先に掲げた。
葉は線香の原料になる。
春先、枝先に着いたの雄花から風によって大量の花粉を撒き散らし、花粉症の原因になる。 -
サワラ Chamaecyparis pisifera
ヒノキ科ヒノキ属
漢字:椹
名前の由来:ヒノキに比べ材が「さわらか(軽く粗い)」なので「さわら木」と呼んだ。
樹形:常緑高木
葉:十字対生(小さな鱗のように見えるのが1個の葉)
花:雌雄同株
花期:4月頃
種子:球果
種期:10月頃
備考:
材は軽軟で強度的にはヒノキに劣るが、割裂性に優れ、建具や箱、漆器木地、また、耐水性に優れ、桶や樽材に用いた。
<ヒノキとの葉の違い>
ヒノキの備考参照。 -
アスナロ Thujopsis dolabrata
ヒノキ科アスナロ属
漢字:翌檜/明日檜
名前の由来:「明日はヒノキになろう」からとする俗説があるが、それほどヒノキより劣っているわけではない。
樹形:常緑高木
葉:十字対生(小さな鱗のように見えるのが1個の葉)
花:雌雄同株
花期:5月頃
種子:球果
種期:10~11月
備考:
日本固有種。
材の強度はヒノキに少し劣るが、スギよりは強い。材に含まれるヒノキチオールという精油は、強い抗菌性と防虫性をもち、ヒノキよりもはるかに耐久性があり、シロアリなどの害に強い。
材は建築、家具などに用いるほか、漆器の木地にも用いられる。
耐陰性が極めて強いため、日陰の庭木に用いたり、山林の境界木に植えられる。