ブナ科コナラ属
漢字:水楢
別名:オオナラ(大楢)
名前の由来:
「ミズ(水)」は、材に水分を多く含む。
「ナラ(楢)」は、コナラの名前の由来参照。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄同株
花期:5~6月
果実:堅果
果期:秋
備考:
冷温帯でブナとともに夏緑樹林の主要な樹種。
材は重硬で強度や弾性に優れ、建築内装材、家具材として有用。
ウィスキーの樽材にも利用。
薪炭材としても優れ、シイタケ栽培の原木にも用いられる。
<コナラとの違い>
コナラの備考参照。
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マテバシイ Lithocarpus edulis
ブナ科マテバシイ属
漢字:馬刀歯椎
名前の由来:
「マテバ(馬刀歯)」は、九州に先端の尖った槍鉋(やりかんな)でマテという刃物があり、これに葉の形が似ている説が有力、
果実の味がクリやシイのようにおいしくないので「待てば椎の味になる」説もあり。
「シイ(椎)」は、スダジイの名前の由来参照。
樹形:常緑高木
葉:互生
花:雌雄同株
花期:6月
果実:堅果
果期:翌年の秋(10月頃)
備考:
日本固有種。
虫媒花。開花時は、タケノコをゆでた時のような強い臭いがある。
果実は、渋味がなくそのまま食べられる。 -
ブナ Fagus crenata
ブナ科ブナ属
漢字:橅/椈/山毛欅
名前の由来:
ブナは用途が広いが腐りやすく、歩合がよくないことから「歩の合わない木」が転訛した説など諸説あり。
「橅」は昔は材が狂いやすく腐りやすく「木で無い」として「橅」の字が当てられた。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄同株
花期:5月頃
果実:堅果、とげのある殻斗に包まれ熟すと4裂する
果期:10月頃
備考:
日本固有種。
風媒花。
冷温帯の夏緑樹林の代表的な樹種。
陰樹(幼樹の成長が遅く、開花結実までの年数が長い)で、冷温帯の極相林を形成。
果実は、生でも炒っても食べられおいしい。
ブナ属の側脈の先端は、鋸歯の凹端に連なる(多くは凸端に連なる)。
<イヌブナとの違い>葉 側脈の数 幹回り 雌花 堅果を包む総苞 ブナ 長さ:4~8cm
幅:2~4cm
裏面は無毛7~11対 株立ち状にならない 花柄は短く、花も果実も上向き 長く
種子を完全に包むイヌブナ 長さ:5~10cm
幅:3~6cm
裏面の葉脈上に白色の長い軟毛が残る
ブナより薄い10~14対 株立ち状になる 花柄は長く、花も果実も垂れ下がる 短く
種子の半分以下 -
スダジイ Castanopsis sieboldii
ブナ科シイ属
漢字:すだ椎
名前の由来:
「スダ」は、実が巻貝の一種の「シタダミ」に似ている説、
シイタケの原木に使い、これをスダギと呼ぶ説あり。
「シイ(椎)」は、実は自然落下して木の下にあることから「下(シ)」と「実(ヒ)」から「シヒ」となった説、
刑具の用材となっていたことから、強制する意味の「シヒ(強)」に由来する説あり。
樹形:常緑高木
葉:互生
花:雌雄同株
花期:5~6月
果実:総苞に包まれた堅果、熟すと3裂する
果期:翌年の秋
備考:
虫媒花で強い香りあり。
果実は、「椎の実」といって食べられる。生でもおいしいが、炒ると香ばしくなる。
材は建築材や器具材、シイタケ原木などに用いた。
<ツブラジイとの違い>老木の樹皮 果実 材 スダジイ 縦に割れ目ができる ツブラジイより大きい(長楕円形) 辺材:灰白色、心材:灰褐~黄褐色の散孔材 ツブラジイ 縦にわれず滑らか
横の縞あり円形(球形)
最大でも長さ12mm程度淡黄褐~黄褐色で辺・心材の区別が不明瞭な放射孔材 (参考)
<芽を上から見た場合のシイ類、カシ類、クスノキ類の違い>
シイ類:楕円形
カシ類:五角形
クスノキ類:円形 -
シラカシ Quercus myrsinaefolia
ブナ科コナラ属
漢字:白樫
名前の由来:
「シラ(白)」は、材色が灰白色に近い。
「カシ(樫)」は、アラカシの名前の由来参照。
樹形:常緑高木
葉:互生
花:雌雄同株
花期:4~5月
果実:堅果
果期:秋 -
コナラ Quercus serrata
ブナ科コナラ属
漢字:小楢
名前の由来:
ミズナラの別名「オオナラ」に対して「小さい葉の楢」。
「ナラ(楢)」は、奈良の都の周囲にこの木の林ができたので、「奈良の木」と言われたとする説、
風が吹くとカサカサと乾いた葉擦れの音が「鳴る」が転訛した説など諸説ありはっきりしない。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄同株、雄花序は新枝の下部に下垂、雌花序は新枝の先の葉腋につく
花期:4~5月
果実:堅果
果期:秋
備考:
クヌギとともに、シイタケ栽培の原木(ほだ木)や薪炭材に用いた。
ミズナラの仲間は、アカシジミなどシジミチョウ類の食餌木。また、樹液はクヌギに次いで昆虫類が好む。
<ラマスシュート(土用芽)>
頂芽が休眠芽となって越冬せずに、同じ年のうちに再び伸びはじめる枝の二度伸び現象。コナラやクヌギなどのコナラ属で顕著。
<ミズナラとの違い>
ミズナラは葉柄がほとんどなし、コナラは1cm程度あり。
ミズナラの樹皮は割れ目の縁が薄くめくれたようになる、コナラは固く密着している。 -
クリ Castanea crenata
ブナ科クリ属
漢字:栗
名前の由来:実が黒褐色になるので「黒い実」→「黒実(くろみ)」→「くろ」が転じた説が有力。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄同株、雄花 穂状花序(尾状花序)、雌花 雄花穂の基部につく
花期:5~6月
果実:堅果、とげのある総苞(いが)に包まれ熟すと4裂する
果期:秋
備考:
果実は、コナラ属のようにタンニンが含まれていないため、生でも食べられる。
ブナ属、コナラ属が風媒花であるのに対して、虫媒花であり強い香りあり(男性の前立腺腋に含まれるスペルミンに例えられる)。
材は強度に優れ水湿に強く耐久性があることから、建築の土台、風呂などの水回り材、鉄道の枕木や鉱山の杭木(くいき)として用いられた。木目も美しいので、家具、器具、漆器木地などにも用いられた。
乾燥させた葉や樹皮、いがは煎じて、やけどやあせも、ウルシかぶれの患部洗浄に用いた。
クリタマバチ(体長3mm程度の中国原産のハチ)が、7月頃、葉のつけ根にある越冬芽に産卵し、翌年の4月頃から芽を寄生肥大させて虫えいをつくる。枯れる原因になっている。
鬼皮に穴の空いたものあり。クリシギゾウムシが、10月頃、鬼皮と渋皮の間に産卵したもの。幼虫が果実を食べ、老熟した幼虫は10月下旬に果実を脱出して土中に潜って越冬し、2、3年後の秋に成虫になる。
<二重雌雄異熟性(雄花穂の雄花→雄雌花穂の雌花→雄雌花穂の雄花)>
雄雌花穂は花穂の付け根に雌花あり。自家不和合性で他家受粉。周囲の雄花穂が咲き終わったころに雌花のついた花序が開花して、他のクリの花粉を着けた虫が雌花の上を通って、雄花に来るのを待つ。
<クヌギとの違い>とげ状の鋸歯の先端 側脈の数 葉の裏 冬芽の先端 クリ 緑色(葉緑素あり)で短い 20対前後 腺点あり 丸い(クリ属) クヌギ 茶色で長い クリより少ない 腺点なし 尖る(コナラ属) -
クヌギ Quercus acutissima
ブナ科コナラ属
漢字:橡、椚など
名前の由来:
日本書紀の伝承説話からきた「国木(くにき)」説、
ドングリが食べられることから「食之木(くのき)」説、
葉の形がクリによく似ていることから「栗似木(くりにぎ)」説など諸説あり。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄同株
花期:4~5月
果実:堅果、褐色、殻斗は大型の椀形で線形の長い鱗片が密生
果期:翌年の秋
備考:
シイタケの原木栽培のほだ木や薪炭材として用いられる。萌芽力があるため、適当な太さになる15~20年生で伐採して、その後の更新は萌芽で行う。
クワガタやカブトムシは、この木の樹液を最も好む。
<クリとの違い>
クリの備考参照。