クスノキ科クロモジ属
漢字:山香し
名前の由来:
山に生える「コウバシ」。
「コウバシ(香し)」は、枝を折ると良い香りがする?
樹形:落葉低木
葉:互生
花:雌雄異株(雄株なし)、散形花序、淡黄色
花期:4月
果実:液果、黒色、多少辛味あり
果期:10~11月
備考:
クロモジの仲間は黄葉するが、ヤマコウバシは紅葉する。
紅葉が進むと茶色く枯れるが落葉せずに冬を越し、春に新葉の展開とともに落葉する。「落ちない葉っぱ」は、受験生のお守りとされることもある。
<アブラチャンとの違い>
アブラチャンの備考参照。
タグ: クスノキ科
-
ヤマコウバシ Lindera glauca
-
ヤブニッケイ Cinnamomum japonicum
クスノキ科クスノキ属
漢字:藪肉桂
名前の由来:
藪に生える「ニッケイ」。
「ニッケイ(肉桂)」は、中国語由来で日本語の音読み。中国では香木を「桂」と呼び、その中で樹皮の肉厚なシナモン類やその樹皮を肉桂と呼んだ。
樹形:常緑高木
葉:互生
花:両性花、散形花序、淡黄緑色
花期:6月
果実:液果、黒紫色
果期:10~11月
備考:
クスノキ科の樹木には、樹皮や葉に独特の香りがあるが、その中で香りが最も強い。
クスノキ同様、アオスジアゲハの幼虫の食用。
種子からは精油をとり、樹皮や葉はリウマチや腰痛、痛風、打撲の薬に用いる。
材はクスノキより少し緻密で、器具や家具などに用いる。
<ニッケイとの葉の違い>三行脈の側脈(ニ枝脈) 裏面 ヤブニッケイ 葉の肩先付近でなくなる 無毛で淡い緑色 ニッケイ 葉の先端付近に達する 伏毛が密生して粉白色
明確な肉桂の香りあり<クスノキ、ヤブニッケイ、ニッケイ、シロダモ、イヌガシの違い>
葉序 葉の特徴 花の色 花の雌雄 果実の色 クスノキ ‐ 三行脈の交点にダニ部屋あり 淡黄緑色~黄褐色 両性花 黒色 ヤブニッケイ 間隔を空けて不規則な互生状 ‐ 同上 同上 同上 ニッケイ ‐ ‐ 同上 同上 同上 シロダモ 枝から輪生状 若葉は黄褐色の絹毛でおおわれ下垂
成葉の裏面はロウ質で灰白色同上 単性花花/異株 赤色 イヌガシ ‐ 最も細長く、先が鋭く尖る
裏面はロウ質のため粉白色
他のような香りなし暗紅紫色 両性花 黒色 -
ダンコウバイ Lindera obtusiloba
クスノキ科クロモジ属
漢字:檀香梅
名前の由来:
「檀香梅」は、中国原産のロウバイの品種の漢名で、これを和名に転用した説あり。檀香は、白檀(ビャクダン)など香木の総称。材が白檀のような香りがあり、花がウメ(梅)に似ているため転用したらしい。
樹形:落葉低木
葉:互生
花:雌雄異株、散形花序、黄色、芳香あり
花期:2~4月
果実:液果、赤色→黒紫色
果期:9~10月
備考:
葉は、3浅裂の有無の異形葉性を示す。
花、枝を折ったり、葉を揉むと芳香あり。
<アブラチャンとの違い>
アブラチャンの備考参照。 -
タブノキ Machilus thunbergii
クスノキ科タブノキ属
漢字:椨の木
別名:イヌグス(犬樟)
名前の由来:
朝鮮語で丸木舟を「トンバイ」といい、丸木舟を作る木の意味から転化した説あり。
「イヌグス(犬樟)」は、クスノキより材質が劣る。
樹形:常緑高木
葉:互生
花:両性花、円錐花序、同花被花(花冠と萼が同形で区別できない)、黄緑色
花期:4~6月
果実:液果、黒紫色、果柄は赤みを帯びる(二色効果)、種子は褐色
果期:7~8月
備考:
材はクスノキより少し重硬。芳香はないが、クスノキ同様に用いられる。
卵形で大きい混芽をつける。
樹皮は、粘性があり、線香の粘着剤として用いられた。また、絹織物の黄八丈(きはちじょう)の鳶(とび)色の染料にもなる。20220223_朝鮮岩 -
シロダモ Neolitsea sericea
クスノキ科シロダモ属
漢字:白だも/白梻?
名前の由来:
「シロ」は、葉裏が白い。
「ダモ」は、諸説あるが、タブノキに似るため「タブ」をあてたとする説が有力。
樹形:常緑高木
葉:互生、枝先では束生状
花:雌雄異株、黄色
花期:10~11月
果実:液果、赤色
果期:翌年の10~11月
備考:
葉裏は蝋で覆われ灰白色。
秋には今年咲いた花と前の年に咲いた花の赤熟した果実の両方が見られる。
種子から採った油を蝋燭材料や灯明油に用いた。
新葉は表裏に黄褐色の絹毛が密生して白っぽく、展葉するにしたがって赤褐色になる。
<新葉が垂れ下がっている理由>
直射日光による葉の温度上昇や水分蒸散を避けるためと、強い紫外線に細胞組織を破壊されないようにするためと考えられている。新葉は組織が柔らかく柔軟で、これらに対応するためのロウ物質を主成分とするクチクラ層がまだ未成熟。
<新葉が赤褐色になる理由>
強い紫外線は細胞組織内に活性酸素を発生させ、細胞を破壊してしまう。葉の中に含まれる色素のカロチノイド(黄色)やアントシアニン(赤色)は、紫外線を吸収し、抗酸化物質として働くためと考えられている。 -
ゲッケイジュ Laurus nobilis
クスノキ科ゲッケイジュ属
漢字:月桂樹
名前の由来:明治時代にフランスから日本に木が渡った際に、中国では学名を月桂樹と誤訳していたが、そのままゲッケイジュと読んだ説あり。
樹形:常緑高木
葉:互生
花:雌雄異株、淡黄色
花期:4月
果実:液果、暗紫色
果期:10月
備考:
地中海沿岸地方の原産。
葉に精油成分を含み芳香がある。
葉はスープやカレーなどの香辛料、頭髪用の香水「ベーラム」の原料、リュウマチや神経痛の薬に用いる。
オリンピックなどの競技で勝者に与えられるものにこの枝葉で作られる月桂冠がある。 -
クロモジ Lindera umbellata
クスノキ科クロモジ属
漢字:黒文字
名前の由来:
緑色の小枝に煤(すす)で汚れたような黒い斑紋があり、これを文字に見立てた説が有力。
樹形:落葉低木
葉:互生
花:雌雄異株、散形花序、淡黄色
花期:4月
果実:液果、黒色
果期:9~10月
備考:
全体に芳香があり、枝葉を蒸留して精油を採り、香水や石鹸の香料に用いた。
今はアロマセラピーの香料として用いられている。また、皮付きの爪楊枝や菓子用の大型楊枝に用いる。
この香りは、シカの食害を防いでいる。
根皮は、生薬で「釣樟(ちょうしょう)」と呼ばれ、急性胃腸カタル、脚気、去痰、鎮咳、湿疹などに用いた。
材は軽く強靭なため、洋傘やカマの柄、輪かんじき、ぶり縄(木登り道具)の棒などに用いた。 -
クスノキ Cinnamomum camphora
クスノキ科クスノキ属
漢字:樟
名前の由来:
霊妙、神秘的な木「奇(くす)し木」が語源など諸説あり。
他「臭い木」、「くすぼる木」、「薬の木」、「久須(くす)は朽ちず」の略など。
樹形:常緑高木
葉:互生
花:両性花、円錐花序、黄緑色
花期:5~6月
果実:液果、黒紫色
果期:10~11月
備考:
葉を揉んで嗅ぐと「樟脳」の香りがする。病害虫を防ぐため。
材や枝葉を蒸留して樟脳を生産し、防虫、防臭剤などに用いた。
アオスジアゲハの幼虫は解毒でき、クスノキなどクスノキ科の植物の葉を食べる。
大半の葉は、新芽が伸びる初夏前後に紅葉して1年ほどで落葉する。他の常緑樹の葉のように厚く丈夫にする必要がなく薄いため、光の透過性がよく、光合成の効率がよくなり成長が早い。
材は緻密で軽く加工しやすい。強い芳香があり、建築構造材には使われないが、建築内装、家具、玩具、彫刻材、木魚などに用いられる。
<ダニ部屋/室(ドマティア)>
葉の三行脈の起点付近に小さな一対のふくらみがあり、ここに草食性のフシダニが潜んでいる。共生か寄生かはわかっていない。フシダニはクスノキにとっては害が少ないため、ダニ部屋にフシダニを住まわせることにより、肉食性のダニをおびき寄せて、他の草食性のダニも含めて食べてもらっている説あり。 -
カナクギノキ Lindera erythrocarpa
クスノキ科クロモジ属
漢字:鉄釘の木
名前の由来:
樹皮の不規則に剥げ落ち、灰色と褐色のまだら模様を鹿(か)の子模様に見立て「かのこぎ(鹿の子木)」が転訛した説が有力。
堅い材を釘に用いた説もあり。
樹形:落葉高木
葉:互生
花:雌雄異株、散形花序、黄緑色
花期:4月
果実:液果、赤色
果期:9~10月
備考:葉柄は赤みを帯びる。