マツ科ヒマラヤスギ属
漢字:ヒマラヤ杉
別名:ヒマラヤシーダ
名前の由来:ヒマラヤ産で葉の形がスギに似ている。
樹形:常緑高木
葉:多数が短枝に束生、長枝では互生
花:雌雄同株
花期:10~11月
種子:球果
種期:翌年の秋
備考:
ヒマラヤ西部~アフガニスタン原産。
円錐形の美しい樹形で、コウヤマキ、アローカリヤとともに世界三大庭園樹の一つとされる。
球果は成熟すると果軸を残して種鱗は脱落する。球果の先端部の種鱗は脱落せず果軸に残り、バラの花のような形のため、リース、ドライフラワーなどに用いる。
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モミ Abies firma
マツ科モミ属
漢字:樅
名前の由来:
風で葉が揉み合うように揺れる様子から「揉む」が語源説、
神聖な木とされ「臣の木(オミノキ)」が転訛説、
新芽の「萌黄(もえぎ)色」説など諸説あり。
樹形:常緑高木
花:雌雄同株
花期:5月頃
種子:球果、緑色→淡黄褐色
種期:10月頃
備考:
日本固有種。
低山から標高1400m付近までに生える。
樹形が整っているので、クリスマスツリーに用いられる。
枝の出方は幹と枝で異なり、幹からは数本が輪生、横枝では平に3分枝する。
<モミ属>
樹皮にはヤニ袋あり。破るとにおいの強いヤニが流れ出る。
ヤニ(樹脂)は、樹皮の傷口を塞いだり、虫や菌の侵入を防いでいる。
球果は直立し、種鱗が種子とともに散って、球果は軸を残して脱落する。
<トウヒ属との違い>
モミ属はトウヒ属に比べて葉枕が発達せず、葉の基部が膨らんで葉痕は丸くなる。
<ウラジロモミとの違い>葉の先端 若枝 葉裏の気孔帯 球果 モミ 若木:2裂して鋭く尖る
成木:凹む程度
球果をつける枝:鈍頭から円頭黒褐色の短毛あり
溝なし‐ 緑色から淡黄褐色
苞鱗がつきでるウラジロモミ 若木でも凹む程度
葉はモミに比べて柔らかい無毛
縦に流れる溝あり幅が広く白色が鮮明 紫色
苞鱗はつき出ない -
トウヒ Picea jezoensis
マツ科トウヒ属
漢字:唐檜
名前の由来:漢字「唐檜」は、見た目が唐の国(中国)の木のようであり、材がヒノキの代用になる。
樹形:常緑高木
花:雌雄同株
花期:5~6月
種子:球果
種期:秋
備考:
日本固有種。
亜高山帯で、シラビソ、オオシラビソ、コメツガなどと混生。
エゾマツ(北海道のみに生える)の変種。
葉の裏面に2本の気孔帯があり、内側に曲がり気孔帯に日があたらないようにしている。
葉の断面は扁平。
葉の先端は尖り、老木では鈍頭になる。
トウヒ属は、葉の付け根の葉枕が隆起している。
トウヒ属の球果は、下垂し種子だけ飛び散る、種鱗は脱落せずに球果は丸ごと落ちる。
カサアブラムシが虫えいを作る。
材は音響効果がよく、バイオリンの甲板やピアノの響盤に用いる。 -
ツガ Tsuga sieboldii
マツ科ツガ属
漢字:栂
名前の由来:
木が曲がる意味の「とが」が転訛した説、
枝についた葉が下側に長い葉、上側に短い葉と並ぶことから、「継ぎあう」とか「番(つが)う」を意味する「つがう木(組み合わせる木)」と表現した説、
かつて咎人(とがにん)を張り付ける木として使われたため、トガがツガになった説などあり。
漢字名「栂」は、落葉した葉が厚く堆積して肥料となり台地を育むため、母のごとき木とした説、
楕円形の球果が、母指(おやゆび)ぐらいの大きさ説、
幹から出る白っぽい樹液(樹脂)を母乳に見立てた説など諸説あり。
樹形:常緑高木
花:雌雄同株
花期:4~6月
種子:球果
種期:10月頃
備考:
ツガ属の球果は下垂し、種鱗は脱落しない。
葉は偏平な針状、表面は黄色がかった緑色で艶あり、主脈に沿ってくぼみあり。裏面は二本の白い気孔帯が明瞭、葉先は少しくぼむが、モミのように尖らず丸まっている。
材は針葉樹材の中では重硬で、節やアテ材が比較的多く、加工性は容易ではない。また、ほとんどが天然性のため、成長が遅く、年輪が詰まった美しい柾目面が取れ、建築材としては柱や土台、長押(なげし)や鴨居、床柱に用いられた他、線路の枕木や器具材、指物(さしもの)、家具材、船舶材、彫刻材などにも用いた。
<コメツガとの違い>生息域 若枝 球果の長さ(mm) 果柄 冬芽 ツガ 本州中部標高1600付近
下部無毛、光沢あり 20~30 下向きに曲がる 先端尖り気味 コメツガ 本州中部標高1600付近
上部褐色の短毛あり、光沢なし 15~20 斜め下に曲がる程度 先端丸目気味 -
シラビソ Abies veitchii
マツ科モミ属
漢字:白檜曽
名前の由来:
白ヒノキ。
「シラ(白)」は、材や樹皮が白い、あるいは葉の裏が白い。
「ビソ(檜曽)」は、ヒノキの細材を意味する古語ヒソ(檜楚)に由来している説あり。
樹形:常緑高木
花:雌雄同株
花期:5~6月
種子:球果、黒っぽい青紫色
種期:10月頃
備考:
亜高山帯に生える。
材は建築材、器具材、土木用材、パルプなどに用いる。
<モミ属>
モミの備考参照。
<トウヒ属との違い>
モミの備考参照。
<オオシラビソとの違い>若枝 葉の着き方 シラビソ 灰色の細毛あり 上から見ると枝が見える。
枝の上の葉が立ち上がっているためオオシラビソ 赤褐色の軟毛あり 上から見ると枝が見えない。
枝の上の葉が張りつくように着くため -
ゴヨウマツ Pinus parvifloa
マツ科マツ属
漢字:五葉松
別名:ヒメコマツ(姫小松)
名前の由来:葉が短枝上に5個束生している。
樹形:落葉高木
花:雌雄同株(雄花は新枝の下部、雌花は新枝の頂上)
花期:5~6月
種子:球果
種期:翌年の10月頃
備考:
葉はややよじれ、アカマツやクロマツに比べて短く、柔らかい。
五葉松類は樹脂が多く、マツクイムシの被害が少ない。
材は木目がねじれておらず通直で、肌目も均質で緻密かつ狂いが少ないため、ピアノの鍵盤下地やバイオリンなどの弦楽器の腹板(ふくばん)に柾目材を用いた。また、軽軟で切削加工性に優れているため、鋳造用木型(ちゅうぞうようきがた)に用いた。 -
カラマツ Larix kaempferi
マツ科カラマツ属
漢字:唐松/落葉松
名前の由来:短枝に葉が束になってつく様子が中国の唐絵(からえ)に描かれた松に似ている。
樹形:落葉高木(森林限界付近では低木)
花:雌雄同株
花期:4~5月
種子:球果
種期:9~10月
備考:
日本固有種。
日本に自生する唯一の落葉する針葉樹。主に高地の寒さの厳しい環境に生育しており、雪の少ない場所では落葉することが、乾燥と低温対策に有効。このため、葉にはコストをかけず、常緑針葉樹に比べてやわらかい葉を付ける。
陽性で、山火事跡や崩壊地などの裸地に最も早く侵入する先駆樹種(パイオニアツリー)。<先駆樹種(パイオニアツリー)>については、アカメガシワの備考参照。
樹皮には褐色で細長い厚膜細胞があり、素手で触るとこれがとげのように刺さることがある。
材は強度があり腐りにくいが、割れやすく狂いが大きいため、建築材としては劣っていたが、最近は加工技術の進歩等により、集成材などに加工して、建築材にも使われるようになっている。
尾瀬の木道(もくどう)には、水に強いカラマツ材が主に使われている。 -
ウラジロモミ Abies homolepis